交差する人間模様…最も滑走路に近い空港のスカイデッキ
愛知・常滑市の中部国際空港のスカイデッキは、日本の空港で最も滑走路に近いとあって、様々な人たちが集まる。
コロナ禍の2021年夏、お盆期間中のスカイデッキには、再会や別れ、様々な人間ドラマがあった。
滑走路に向かって伸びるセントレアのスカイデッキ。そこには、旅立つ人や見送る人の姿があった。
北海道出身の男性:
地元の友達の結婚式があるので。北海道に戻るのは1年半ぶりくらいですね、コロナだったので…
フィリピン人の女性:
寂しいですね。もう長い時間会えなくなるから
午前10時。スカイデッキの先端で、スマートフォンを気にする一人の女性が…
歯科衛生士の女性(39):
今から仙台に行こうと、牛タンを食べに。彼との初旅行なんです。今まで我慢して、やっと行けるので…
念願だった彼との初旅行…
しかし、ギリギリまで仕事だった彼は、今大急ぎで空港に向かっているという。
同・女性:
もしかしたら飛べないかもしれない…。(飛行機に)一人で乗って、彼は新幹線で…
彼はなんとか間に合った。
3000キロの遠距離恋愛はじまる…フィリピンへ帰国する彼を涙で見送る
フィリピンからの技能実習生の男性は、3年ぶりに帰国する。
フィリピン人の男性:
仕事本当に終わりましたから、家族も会いたいから大丈夫
故郷にいる家族との再会に心躍らせる近くで、一人の女性が涙を拭いていた。2年半交際している彼が、これからフィリピンに帰国する。
フィリピン人の女性:
(彼は)ビザきれましたので。寂しいですね、長い時間会えなくなるから…。(彼は)優しいです。日本にいる私のおばさんと、いとことも知り合いましたので、仲が良くなりました
約3000キロもの遠距離恋愛の始まりだ。
スカイデッキは最適な散歩コース…同級生2人は65年来の付き合い
スカイデッキは、滑走路までわずか300メートルのため、機体が浮き上がる瞬間まで間近で体感できる。離発着機の多い午後は、多くのカメラマンで賑わう。
ベンチには、くつろぐご年配の2人があった。
81歳の男性:
同級生であり、俺の奥さんの兄貴。気が合うか合わんか知らないけど、これだけ続いているのは少ない
高校の同級生で65年来の付き合い。散歩のためにやってきた。
同・男性:
あんまり歩いてないもんで…。人生足から衰えるから、転んじゃあかんよって。こけたらダメ、ここ(頭)がダメになればね、人間ダメになるでね
景色もよく、2人には最適な散歩コース。「こけたらダメ」だよ~。
「めちゃくちゃ好きマイラブ」22歳年上の日本人女性と結婚したパキスタン人男性
仲睦まじげにベンチに座る二人は、山口めぐみさん(47)とパキスタン出身のラル・バチャさん(25)。
山口めぐみさん:
この人のお母さんが50何歳で、私とあまりかわらない
2人は2019年に結婚し、2020年11月から愛知で一緒に暮らしている。22歳差の2人の出会いは、フェイスブックだった。
山口めぐみさん:
最近多いんですよね、フェイスブックで外国人の方と知り合って、詐欺にあう方もみえるし…。パキスタンの人と恋愛している人は、不安になる人いますね、一夫多妻制が気になるでしょうね
ラル・バチャさん:
(山口さんのこと)いっぱい好き、めちゃくちゃ好き。マイラブ…
ラル・バチャさんは、めぐみさん一筋だ。
ラル・バチャさん:
あまり日本語分からない。給料安いし、部屋やタックス、全部払うできない。一人で頑張りましょう、ではなく奥さんは…(休んでください)
奥様想いのラル・バチャさんだが、なぜスカイデッキに…
山口めぐみさん:
日本ってストレス社会じゃないですか。大変だと思うんですよ、彼にとっては…。気分転換ですかね…。気分はすっきりした?すっきりわからない?ハッピーになった?
ラル・バチャさん:
うんハッピー、エンジョイした、ハッピーOK
スカイデッキでは、十人十色の人間模様が交差する。
「去年は一人で帰った」生まれた息子を1年越しで親にお披露目できた女性
飛行機を見つめる一人の女性がいた。
事務職の女性(26):
飛行機を見に来て、行った気分になっているだけです。あの飛行機どこに行くのかなって考えたりするといいなって
ロサンゼルスに行く計画を立てていたが、コロナで白紙に…。飛行機を見て、旅行気分だけでも…。
到着ロビーにあったのは、年配夫婦の姿。妻の実家がある沖縄へ初めて挨拶に行った、息子夫婦の出迎えだ。
母親(60):
おじさん、おばさんに会って?
息子(35):
みんな喜んどったよ
1年越しで、妻の家族に孫のお披露目もできた。
息子:
1年間会えなかったので、今回初めて会えて、家族っていいなって思えましたね
妻(40):
去年(2020年)は一人で帰ったので…。今年結婚して、旦那さんも連れて子供もできて、みんなにお披露目できてよかったなと思います
「飛び立つ飛行機見て、自分の悩みなんて小さいねって」
午後7時。日が暮れたスカイデッキには談笑する2人が…。ロードサービスの会社を経営している社長とその部下だという。
部下の女性(20):
会社のことで相談にのってくださるってことで
社長(53):
彼女は1番のオペレーターなんだけども、仕事のことで悩みがあるといっていたので、飛行機でも見てスカッとせんかなと思って
職場の人間関係の悩み相談…。なぜスカイデッキに?
社長:
大きい空に向かって飛行機が飛ぶのは、自分の悩みなんて小さいものだねって…。天にむかっていく、それを彼女にも知ってほしかった
女性:
コロナの中で皆がんばっているんだなって、こういうの(空港)を見ながら思います。連れてきてもらっているお気持ちも含めて、すごく晴れてはいます
大空の下、心機一転…飛び立つ飛行機のように…。中部空港のスカイデッキには、様々な人間ドラマがあった。
(東海テレビ)