コロナ禍で苦しむ子育て家庭と、苦境に立たされた飲食店を結ぶ新たな取り組みが、北海道帯広市で行われた。「弁当」で広がる支援の輪とは、一体どのようなものか。

お菓子や生活用品も “年の数”を目安に注文

弁当を受け取った人:
ありがとうございます。すごく助かる

エビフライやグラタンが入ったお弁当。9月25日、帯広市で子育て家庭を対象に無料で配られた。

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地域住民が参加し、子育て家庭と飲食店の双方を支援。

企画したのは「とかち子育て支援センター」の長岡行子さん。

普段は子育て相談や子どもの居場所作りなどを行っている。コロナ禍で保護者の失業や、子育て家庭の孤立を目にすることが多くなったという。

とかち子育て支援センター 長岡行子さん:
パートの母親が仕事の時間が少なくなり、月6~7万円の収入があった人が4万円になってしまうなど、低所得の人がさらに低所得になっています

その「子育て家庭」と、やはりコロナ禍で苦境に立たされている「飲食店」を支援する新たな枠組みを作った。

地域住民に協力を募り、協力する人は自分が支援したい飲食店で弁当を購入。その弁当が希望する人に無料で渡されるという仕組みだ。午後4時から配布を始め、60世帯が受け取った。

受け取った人:
仕事がすごく減ってしまい、出勤日がなくなりました。子どもたちも喜んでお弁当を食べると思います

受け取った人:
休職中で経済的に厳しいので、娘たちに食べさせるのに…。中学生2人なんですよね

受け取った人:
全てうれしいですね。全部使えるものですし、食べられるものなので。シングルマザーなので、本当に助かってありがたいです

弁当だけでなく菓子や地元の野菜、生活用品なども届いた。協力者は自分の年の数を注文することが目安とされている。中には3人分の年齢を合わせた、120個の「たい焼き」を購入した人も。

支援した人:
1食作らなくていいだけでも気持ちがすごく楽になる。普段食べないものを食べるだけでも、楽しい気持ちになれると思って支援しました

「おいしい」の声が飲食店の励みに

帯広市の居酒屋「男こぶし」では、地域住民から30食の注文があった。

居酒屋 男こぶし 佐藤忠さん:
コロナ禍で売り上げは4分の1くらい。営業もほとんどできない状態なので、弁当を食べて子どもに喜んでもらえたら。「おいしかった」と言ってくれればそれだけで十分

無料配布は1カ月おきに行っていたが、参加する人が増えたため、今後は毎月行う予定だ。

とかち子育て支援センター 長岡行子さん:
思い出してもらえたら…。顔を見て不安なことや心配なことを聞けるのは、大事なことだと感じました

コロナ禍に見舞われた子育て家庭を地域でどう支えていくか。支援の輪が広がる。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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