富山・魚津市の寺につとめるユニークな僧侶がいる。
分野の違う3つの活動に取り組む、いわば「三刀流」のお坊さんの心には、伝えていきたい一つの思いがあった。
お坊さんは「三刀流」
魚津市の寺・華王寺で副住職をつとめる坂本真也さん(33)。

坂本さんは、実家でもあるこの寺の敷地内で運営する川原保育園で、職員としても働いている。子どもたちは、坂本さんとバスケットボールで遊ぶのが大好きだ。

実は坂本さんは、ボールを使ってさまざまな技を繰り出す「フリースタイル バスケットボール」の県内唯一のパフォーマーでもある。

坂本さんは9月、プロバスケットボールB1富山グラウジーズのプレシーズンの試合会場でも技を披露した。
シーズン中、ハーフタイムに出演できる権利を懸けたパフォーマンスのコンテストで予選を勝ち抜き、会場での審査に参加。そして、会場を盛り上げた坂本さんは見事優勝を勝ち取った。
坂本さんは、高校生のころから独学でフリースタイルバスケの練習を重ねてきた。
今では、県内各地からイベントなどに呼ばれることもある。

坂本真也さん:
フリースタイルバスケには、「型」がない。フリースタイルというだけに。自分のやりたいことがやれる
寺や保育園の運営もあり、「三刀流」で取り組む日々だ。

自身を見つめ直し…「生きるしかない」
自分らしい、まさに「フリースタイル」で多忙な日々を送る坂本さんだが、学生時代には人間関係や自身の生き方で悩み、ひきこもっていた時期があったという。
坂本真也さん:
元気そうに見られるが、すごく悩みやすかったり、すぐ落ち込んでいたりして…

坂本さんは大学中退後、実家の寺を手伝おうと修行へ。
しかしその後、うつ病を発症してしまった。

坂本真也さん:
もともと持病があり、体調が悪い時もあって、そんな中で修行に行った。
今でこそ保育園と寺を頑張っていきたいと思うが、当時はまだ決断できていなくて。目標がないまま体調も悪い、精神的にもちょっと落ちていると、やはり結構きつくて、「うつ」みたいな感じになって…。本当に苦しくて、ずっと生きる気力もなく、死のうと思っていた

坂本真也さん:
なんとかなんとか耐えていって、生きるしかないなと思った。生きるなら、グダグダ体調が悪いままではなく、楽しく生きようと思って、頑張って動き始めた

その後 坂本さんは、ボランティアや僧侶が集まるイベントに参加するなどして多くの人と出会う中で、自身の強みも見つめ直すことができたという。

生き方も“フリースタイル”で
寺・保育園・パフォーマンス。「三刀流」の僧侶だからこそ、子どもたちや観客など、より多くの人たちと関われる…。自分の経験を生かして伝えていきたい思いがある。
坂本真也さん:
一番強い思いは、悩んでいる人、苦しんでいる人の助けになりたい。「こうでなければ」という社会(の考え方)とはちょっと違うことをしていてもいい。それをフリースタイルバスケでも、生き方でも表現したい

坂本真也さん:
(自分と)接する人が、「これでいいんだ」と、「こうでないといけない」という思いを手放すきっかけになったらいいなと

坂本さんのパフォーマンスには、生き方もフリースタイルでいいというメッセージが込められている。
(富山テレビ)