突然だが、AED(自動体外式除細動器)に触れたことのある人はどれくらいいるだろうか。

AEDとは、心臓の筋肉がけいれんをしたような「心室細動」状態となり、血液を流すポンプ機能が失われてしまった際に、心臓に電気ショックを与えて正常な動きに戻す処置を行う機器。
防災訓練などで触ったことがある人もいるかもしれないが、なかなか普段は使うことがないだろう。

そんなAEDについて、9月9日、株式会社フィリップス・ジャパンが家庭用AED「ハートスタートHS1 Home」を発売した。

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この「ハートスタートHS1 Home」は高さ7.2cm、奥行19cm、幅21cmで、重量は1.5kg。
本体が使用可能な状態にあるかを自動でチェックしてくれるセルフテスト機能や、音声ガイダンス機能などがあり、緊急時に誰でも簡単に操作ができる、使いやすさを追求したAEDだという。

駅や学校などの公共機関や商業施設に設置されているというイメージが強いAED。
このAEDは、家庭内でも設置しやすいコンパクトなサイズになっているとのことだが、街中に設置されているAEDと比べて、機能が限定されていたりということはないのだろうか?どのような点が「家庭用」なのか?
フィリップス・ジャパンの担当者にお話を聞いた。

コロナ禍で増えた在宅…命を守るための備え

――「家庭用AED」開発のきっかけは?

もともとフィリップスはAEDのリーディングカンパニーとして、公共交通機関や商業施設、各自治体、学校などにAEDを設置するということを続けてきました。そんな中で昨今、在宅ということが取り上げられるようになり、家で過ごす時間が多くなってきました。

突然の心停止は、その約66%が在宅中に発生すると言われています。
屋外の施設や駅、オフィスなどにAEDがあるということはもちろん大切ですが、家庭に設置することが大切だろうということで、家庭用のAEDを新発売するに至りました。


――これまでに「家にAEDを置く」という動きはなかった?

家庭用AED設置への動きはずっとありました。実際に置いているというご家庭もありますが、まずは「外に設置する」ということが多かったので、なかなか家庭用AEDの設置は進んでいませんでした。そんな中、今回、思い切って舵を切ったという状況です。

――どんな点が「家庭用」?

駅など屋外に設置されているAEDには、予備のパッドなど、様々な付属品がついています。ハートスタートHS1 Homeではこういった付属品をそぎ落とし、よりシンプルな形で販売しています。
付属品を減らすことでケースも小さくすることができ、家の中に置きやすい、オブジェクトとしても映えるようなデザインになっています。


――機能面では街中にあるAEDと違うところはある?

AED本体の技術というものは、家庭用になっても変わっていません。

現在130か国・約200万台が設置されているというフィリップスのAED。
コロナ禍で家で過ごす時間が増えた今、家庭でもすぐに対応できるよう、家庭用AEDの開発に踏み切ったのだという。

家庭用といっても「簡易版」ではなく街中に設置されているAEDと、機能面では全く違いがない。セット内容に含まれるのは、AED本体とカートリッジ収納式のパッド(SMARTパッドカートリッジ)、バッテリー、ユーザーズガイド・クイックリファレンスガイド・スマートケース・ハサミなど。
公共施設などに設置されているAEDには付属品として2枚の予備用パッドなどが同梱されているが、必要最低限のシンプルなセット内容にすることで、持ち運びがしやすくちょっとした隙間にしまっておきやすいサイズにすることができたのだという。

「心肺停止から5分」のハードルを下げるために

――家庭用AEDを広めるために、どんな努力をしている?

AEDにはやはり怖いというイメージがありがちで、そのような声をよく聞きます。そういった怖さを取り除いていくということで、ふたを開けると誰でも使用法が分かるよう「クイックリファレンス」が同梱されていたり、公式サイトにもすぐにアクセスできるマニュアルを用意しています。
開発当初のコンセプトとして「誰でも使えるように、シンプルに」というものがありました。ボタンの配置のシンプルさや使用順序のわかりやすさなど、使用者の負担の少ないように心がけています。
これから家庭用AEDが普及していく中での課題にはなりますが、より使いやすいように理解してもらうための体制を用意しているので、ご覧いただければと思います。


日本のガイドラインでは、心停止発生から5分以内の電気ショックを可能とするための配置が適正とされています。5分以内に処置ができれば蘇生率は50%ほどになるといわれていますが、たとえば都市部の高層マンションなどでは、AEDが必要となったとき、マンションの一階にしか設置されていなかったり、設置されているエレベーターがなかなかたどり着かないなど、「5分以内に」というのは実際かなりハードルが高い面があります。

そんな中、各家庭に1台だったり、身近にAEDがあるのが理想です。
また、単に「AEDを家庭に設置してほしい」という話ではなく、地方自治体、中央政府との協力体制の構築や、ガイドラインや法の整備などを行い、実際にAEDを置くことを普及させていくことが大切だと考えています。

「ハートスタートHS1 Home」はダイバーシティメディアの公式サイトにて60カ月のレンタル定額プラン(月額3,980円・税込)で申し込みを受付中。また、Amazonにて181,778円(10月7日現在・税込。編集部調べ)で販売されている。

コロナ禍で在宅時間が増えた今、いざという時にサッと手を伸ばせる場所にAEDを置いておくことが、命を守るための手段として有効になるだろう。