軽くて動力がある「ロボット義足」

車いすから離れて自由に体を動かせる「ロボット義足」という希望を見つめた。

義足を着け、ゆっくりと歩く乙武洋匡さん。

OTOTAKE PROJECT
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ソニーコンピュータサイエンス研究所が約3年もの歳月をかけて開発した、ロボット義足の研究発表会が28日に開かれた。

乙武洋匡さん:
最高です。チームでいろんな試行錯誤を重ねながら、それがこの距離に表れたので胸がいっぱいです。

生まれつき手足がなく、歩いた経験がなかった乙武さん。

トータルで66.2メートル歩くことに成功した。

この歩行を可能にしたロボット義足の研究開発者は・・・

ソニーコンピュータサイエンス研究所・遠藤謙研究員:
軽くて動力があることにこだわって作った。軽くするためにモーターの出力を最小限にして、人間の力を最大限引き出すような使い方をすればモーターが小さくなる。

膝の状態を感知するセンサーを組み込み、股関節の動きに連動させ、スムーズな膝の曲げ伸ばしを実現しているという。

技術のさらなる進化とビジネス拡大目指す

ロボティクスで人間の体の進化を目指す今回のプロジェクト。
今後の課題は。

遠藤研究員:
設定が同じなのに義足の調子が悪かったりするのは何でだろうと。
人間は日によって、例えば足がむくんだり、調子が悪いときがある。人間の日々の変化に敏感に反応できる技術はやっぱりない。そういったものがないと人間の身近なものにはなり得ない。
人間の変化に対応できることが大事なんです。

さらに遠藤さんは手に届く価格にするため、義足やスポーツの市場だけではなく、ビジネスモデル自体を広げる必要もあると語る。

遠藤研究員:
究極は障害がなくなるくらいの技術が世の中にいっぱいあふれていればいいなと。
今まで大量生産、大量消費の延長上で正義というか論文でもたくさん出てきたけど、これからは人それぞれ違うという観点から、それぞれ違う用途で使えるもの、ビジネスとして回るものがあればいいなと。

ロボティクスが人の体の一部となり、誰もが体を自由に動かせる。
そんな未来がすぐそこまできている。

企業に問われるテクノロジーの活用法

三田友梨佳キャスター:
社員全員がリモートワークで働くスタートアップ企業、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。今回の試み、どうご覧になりましたか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今まで体と義足だったりテクノロジーとは違うモノとして捉えていましたが、今回の取り組みは義足も含めてその人の体そのものになってきたなと思えるぐらい進化していると感じました。

これは仕事の分野でも同じことが言えるのかなと思っていて、人間の能力や可能性を最大限引き出すテクノロジーはこれからどんどん出てくると思います。

三田キャスター:
全ての人が活躍できるようになれば、ではなくて、ならないといけないですね。

石倉秀明さん:
今回の件は最先端のテクノロジーを活用していますが、実は既存のサービスとかテクノロジーを使うだけでも、ハンディなく働く、活躍の機会を広げることはできるんです。

例えばテレワークひとつをとってみても、自宅で仕事ができることで足が不自由な方でも問題ないわけですし、耳が不自由な方でもテキストでのコミュニケーションだったら出来たりとか、会議で話している声をその場で文字にして表示する技術もすでにありますから、そういったことを活用することで問題なく働ける人を増やしていくことができます。

三田キャスター:
今ある技術に加えて新しいテクノロジーが職場に入ってくると、さらに人が活躍できる機会が増えるということですね。

石倉秀明さん:
新しいテクノロジーをどう使えば人の出来る範囲や可能性を広げて生産性を上げられるか、これはあらゆる企業が問われていることだと思います。

これから医療、介護、飲食などエッセンシャルワークと呼ばれる職場に新しいテクノロジーはどんどん入ってくると思います。

例えば介護業界でしたら、ロボットを導入することで、女性スタッフ1人でも介護する人を支えて体への負担が減って、結果として長く働けたりとか、生産性が上がって賃金が上がるということも期待できると思います。

AIが仕事を奪うという「人 vs テクノロジー」の文脈で語られることもありますが、「人 and テクノロジー」だからこそできるサービスとか提供価値を作り出せるかが今後のテーマだと思います。

三田キャスター:
AIが人の代わりになる仕事もありますが、AIを上手く活用することでさらに高い価値を作る仕事が新たに生まれるように思います。
このロボット義足のように人間の体を進化させていく挑戦があるように、ビジネスにおいてもAIがさらなる高みへと導いていくのかもしれません。

(「Live News α」9月28日放送分)