2021年2月に軍事クーデターが起きたミャンマー。
なぜ彼らは民主化に向け、外国で声をあげるのか…。沖縄で暮らすミャンマー人たちへの関心が徐々に高まっている。
この記事の画像(13枚)ミャンマーの現状を知ってもらいたい…大学生と交流
クーデターを起こした軍による市民への弾圧が続く故郷。その現状を知ってもらいたいと開催された抗議デモ。
沖縄で暮らすミャンマー人たちで作る「在沖縄ミャンマー人会」によると、軍の弾圧で犠牲になった市民の数は1000人を超えるという。民主化を取り戻すため、国際社会へ支援を求めている。
名護市 名桜大学の学生:
皆さんと仲良くなれたらなと思うんですけど、沖縄に来て最初に印象に残った、あったかいエピソードってありますか?
トウ・ヤ・ソウさん:
(最初は)一生懸命日本語しゃべるけど、覚えている言葉が少なくて「県道330号線行きたい」それだけしか話せなかった。おじいちゃんが、一生懸命教えるんですよ。「ゴー・ストレート!ターン・ライト!ターン・レフト!ゴー・ストレート!」って言うけど、僕には日本人が言う英語には慣れてなくて。最終的におじいちゃんが「いいよ、おいで」みたいな感じで案内してくれて、とても温かいと思った
笑いを交えながら、親切にしてくれたおじいさんとのエピソードを話すのは、トウ・ヤ・ソウさん(38)。沖縄で暮らすミャンマー人たちの兄貴分的な存在だ。
ミャンマーの現状を知りたいと名護市の名桜大学の学生たちが企画した交流会に参加した。
ミャンマー人の女性:
「ミャンマーの人はすぐ笑顔を見せてくれるので、ミャンマーに行って本当に温かさを感じました」という話をミャンマーにいたことがある職場の人たちからも聞いていたので。私たちは普通って思っていたんですけど、それを旅行に行った人たちは本当に温かく感じたと思った。そして、今クーデター、本当に本当に大変です
ミャンマー人の男性:
本当若い人たちは(抗議デモを)全然やりたくない。自分のために勉強して、いろんな夢とかあるじゃないですか。そこを目指して生きたいんですけど、いきなりこういうクーデターが起きて、抗議とかやっているんですけど、国際社会は何もしてくれない。だから自分たちが戦うしかない。そういう思いが深くあります
彼らが口にするのは、海外に出たからこそ知ることができた故郷の魅力と、軍事クーデターによって閉ざされた未来への失望感だ。
名護市 名桜大学の学生:
ミャンマー人から「軍事クーデターについてどう思うか?」と直接聞かれた時に、すぐに答えられなかった自分がいて。普段からそういうニュースは見ているんですけど、それに対して真剣に考えることができていないという証拠だと思うので、そういうニュースを気にするきっかけになりました
名護市 名桜大学の学生:
自分たちには人権があって、選挙権とか、自分の言いたいことができる環境があるのに対して、ミャンマーの方たちはデモでしか自分たちを表現することができないっていうのが、本当に違うんだなというのを改めて実感した
写真や映画を通してミャンマーに関心を
沖縄から遠く離れたミャンマーの現状について関心を持つのは、学生だけではない。
那覇市にある映画館「桜坂劇場」は、新型コロナウイルスの影響で営業自粛を余儀なくされている中、ミャンマーのことを知ってもらおうと写真展を開催。関連した映画も上映している。
トウ・ヤ・ソウさん:
クーデター当時の写真は、展示会にはあまり向いていないかなと思って。美しいミャンマーの写真をみんなに見てほしいなと思っています
桜坂劇場 興行部 上間黎亜さん:
今、すごく大変な状況の中で、自分たちの生活を考えるだけでも大変なことがたくさんあると思うんですけど、そこで他の国で起こっている惨事に対して目を向ける機会があるというのは、すごく大切なことなんじゃないかなと思う
トウ・ヤ・ソウさん:
抗議はミャンマーでやればいいと思う声もあるかもしれないけど、今はグローバルな世界なので。困っているところに、皆さんの力でミャンマーを平和的に変えていければと思う
ソウさんは沖縄での抗議活動に批判の声があることを承知で、多くの人にミャンマーの現状について感性を寄せてもらいたいと訴える。
(沖縄テレビ)