29日に投開票が迫る自民党総裁選。
コロナ禍で街頭演説や地方遊説が難しい中、各候補はSNSやオンラインでの発信を強めている。

【河野陣営】ネット戦略は控え目 背景には「炎上リスク」警戒か

ツイッターのフォロワー数が240万人を超える河野規制改革相。大々的なネット戦略を展開してくると見られていたが、思いのほか堅実だ。これにはコロナ禍の現状や「炎上」への懸念が影響しているという。

河野規制改革相記者会見
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河野氏を巡っては、自身のツイッターの発信内容に対して批判的なフォロワーをブロックしていることが話題となった。本人は9月7日の会見で、「道などで通りすがりに見知らぬ人を罵倒することはやらないのだろうと思うが、SNS上では、そういうことがかなり頻繁に起きている」と、ブロックすること自体は問題ないとの認識を示している。

一方で河野氏は総裁選に向け「河野太郎@自民党総裁選」という新たなアカウントを作成。フォロワーは15万人ほどだが、周囲は「これについてブロックしない」と語っていて、二つのアカウントを使い分けることで「ブロック批判」を交わす狙いがあるようだ。

河野氏の推薦人を務める平将明衆院議員は、「普通の候補と違うのは、河野さんの個人アカウントで多くのフォロワーがいること。ブログなども充実しているので、基本はこれまでの本人アカウントで、事務的なことは総裁選アカウントの2つに分けて運用している」と説明する。

また平氏は大規模なネット戦略を行わない理由について、河野氏が現職のワクチン担当大臣で「公務最優先」を基本としているため、総裁選に関するツイートを「極めて抑制的に行っている」と指摘。さらに「コロナ禍なので奇をてらったことはやらない」と解説する。

一方、炎上リスクを最小化するという戦略も見え隠れする。河野氏の周辺は、ツイッターなどを抑制的に行う理由として「河野氏の主張に否定的な保守層からの反発により、悪い意味で広がりをみせてしまう懸念がある」と明かす。SNS上で大きな影響力を持つ河野氏だけに、「炎上」すると却ってダメージを受けることになる。河野氏にとって、SNSは「諸刃の剣」と言える。

【岸田陣営】「なんでもやる」異例の家族出演も

河野氏と対照的と言えるのは、岸田前政調会長だ。岸田氏のツイッターのフォロワー数は6万人弱と、河野氏と比べるとかなり少ないが、岸田氏は思い切ったネット戦略を選択していると言える。

ネット上で質問や意見を募る目安箱「岸田BOX」を開設し、ユーザーからの質問に答える取り組みを行っているほか、ツイッターでの拡散を狙い「#チーム岸田」というハッシュタグを作成。ともに岸田氏が長所と自認する「聞く力」や「チーム力」をネット上でも示す狙いがある。

さらに岸田氏はインスタグラムでの生配信にも、これまで2度挑戦。20日夜に行ったインスタライブには、裕子夫人と長男・翔太郎氏が参加するという異例の「家族配信」を行った。生配信の視聴者数は500人超に留まったが、岸田氏は「私や私の家族を理解して頂ける上で参考にして頂ければ幸いです。家族で力を合わせて頑張ります」と感想を述べた。

岸田前政調会長 家族でインスタライブ

また自身の夕食をSNS上で紹介するなど、これまでの「生真面目」なイメージからの脱却を狙う。

岸田氏のネット戦略について陣営は「なんでもやっていく。それが岸田文雄だ」と語る。

【高市陣営】ツイッター再開で盛り上がり 他陣営も警戒

一方、他陣営から「ネットですごく盛り上がっている」と警戒の声があがるのは、高市前総務相だ。

高市氏は出馬表明後の9月11日、2年8ヶ月ぶりにツイッターを再開したことを報告。23日時点で、フォロワー数は21万人を超えた。高市氏が「総裁選の投票先には高市早苗とご記入よろしくお願いいたします」と投稿すると、3万を超える「いいね」が集まった。

オンラインミーティングを行う高市前総務相

さらに安倍前首相の支援がSNS上でも追い風となっている。フォロワー数228万人を超える安倍氏が「日本の主権は守り抜くとの確固たる決意と、国家観を力強く示した高市早苗候補を支持いたします」と16日にツイッターに投稿、9万5千もの「いいね」が集まった。

高市陣営は、保守層の根強い支持を武器にネット戦略を描いているとみられる。

【野田陣営】「私はブロックしない」

他候補から遅れての出馬表明となった野田幹事長代行だが、表明の数日前からツイッターやブログでの発信を強化している。「だれもが『わかる政治』を」をキャッチコピーに、自身の政策の柱である「多様性」などについて訴えているほか、人気ユーチューバーとの対談を行うなど、若者層への浸透を狙う。

野田幹事長代行 「イット!」出演

また17日に出演した「イット!」では「SNS上で河野さんに勝っているのは、ブロックしないこと。どんな嫌なことも受け止める」と皮肉った上で、「発信力はささやかだが、発信したことは実行する」と強調した。

(フジテレビ 政治部)

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