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音や声が聞き取りにくい難聴の子どもたちに対し、学校で必要な配慮を知ってもらおうと、2021年春にある冊子ができた。
子どもたちが笑顔でいられるよう、制作した耳鼻科の医師の思いが込められている。

難聴の子どもたちに必要な配慮まとめ…

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
後ろから横からというのも聞きにくいし、例えば学校の先生が板書をしながらしゃべっている内容も、かなり聞きにくかったりする。
板書を終えて、向きを変えて正面を見て、子どもたちを見てしゃべる方が聞きやすいと書いてある

音や声が聞きとりにくい難聴の子どもたちに、学校でどんな配慮が必要なのかを紹介した冊子がある。

この冊子は、岡山市の岡山大学病院の医師・片岡祐子さんがまとめた。

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師

医学の進歩で、生まれてすぐに聴覚の障害が分かるようになった。
早い段階で聞き取りを助ける機器などを使うことで、難聴の子どもたちでも、健常者と会話ができるようになり、地域の学校に通うケースが増えている。

岡山市内の小学校に通う鈴木亮丞君(12)もその1人だ。

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
学校の先生に、これ知っていてほしいことはある?

鈴木亮丞君:
たまに授業が聞こえない。でも、みんながどんどん進んでいるから、手をあげて伝えることができない

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
周りの様子を読むこともすごく大事だけど、なんとか先生にサインをするとか、聞き取れていないことが分かるものを作ったらいいかもね

子どもたちの声に耳を傾ける片岡祐子医師

片岡さんは、通院の際に学校の様子なども気にかける。

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
医療にも限界がある。それを補っていくのが福祉、支えていくのが教育、それぞれの役割がある。それなら医療と福祉と教育をつなげていくという役割も重要かなと思って

子どもの声にアドバイスを添えて

2019年、片岡さんは難聴の子どもたちがどんなことに困っているかを知るため、アンケートを実施した。協力してくれたのは、約120人の患者たちだ。

約120人の患者たちから寄せられた声

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
印象深かったのは、「授業中に突然(先生が)質問してくるのはどうかと思う」と

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
授業中の突然の質問って普通じゃないですか。普通のことだと思うけど、難聴児にとっては「どう思いますか? 何とかさん」と当てられるのが苦痛。最初に当てられていたら、少しはそのつもりで聞けたかもしれないと、そういう思いを書いている人もいた

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師

授業で順番に1人ずつ音読する時、どこを読んでいるのか分からないので、自分の順番と読む場所を数えて待つ…という内容もあった。

岡山大学病院耳鼻咽喉科・片岡祐子医師:
ちゃんと確実に、先生に対しての情報提供をしていかないといけないと感じました

冊子には、子どもたちが勇気を出して上げたその声に、片岡さんのアドバイスが添えられている。

片岡祐子医師が子どもたちの声をまとめた冊子

製本されたものとダウンロードされたもの、合わせて約5,500部が全国の学校や難聴の子どもたちが通う施設、病院などに配付されている。

鈴木亮丞君:
先生に気持ちが伝わって、それが本になってみんなにも伝わるから、とてもうれしい

子どもたちが、笑顔でいられるために必要なこと。それは、誰にでもできる、ちょっとした気遣いだ。

難聴の子どもたちが、コミュニケーションや社会参加から取り残されないよう、岡山大学はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを続けていくという。

(岡山放送)