感染対策で利用する機会が増えたテイクアウト。
人気のそば店のテイクアウト商品を調べてみると、知らなかったそばの知識や、店の歴史もみえてきた。
紹介するのは全て1000円以下、お財布にも優しいテイクアウトそばを食べ比べてみた。

静岡市清水区の「手打ちそば 千花(せんか)」。
自家製粉、手打ちにこだわったそばは、そばの殻ごと挽く「挽(ひ)きぐるみそば」。食感や香りがたつという、このそばがテイクアウトできる。
北村花絵アナウンサー:
大きなかき揚げがある。ニンジン、タマネギ、サツマイモ?!珍しいですね、かき揚げにサツマイモは

まずテイクアウトしたのは、店でも人気の高い「野菜かきあげ天おろしそば」(950円)。自家製そばにのるのは、なんとも大きなかき揚げだ。
北村花絵アナウンサー:
ちゃんとつゆも冷えていて冷たい。そばの風味がしっかり感じられます。挽(ひ)きぐるみなので舌触りは少しざらっとした感じで、おそばを食べているという感じです

かき揚げは口に入らない程の大きさ!
北村花絵アナウンサー:
テイクアウトなので表面は少ししんなりしているんですが、中はサクッとしています

店と同じ味が楽しめる千花のテイクアウトそば。せいろのテイクアウトなら、すったものだが、伊豆修善寺産の生ワサビがついてくる。
そのワサビだが、みなさんはつゆに入れる?そばに付ける?
ワサビは「つゆに」「直接そばに」どちらが正しい?
北村花絵アナウンサー:
私はそばに付ける派です。そば通の人に、つゆの風味がもったいなく、そばに付けた方がいいよと聞いてそうしています

そばに付ける派の主張は、つゆの香りがワサビの香りで消えてしまうから。しかし歴史を調べると、つゆに入れるのも間違いではないようだ。
ワサビの使い方は諸説あるが、江戸時代のカツオだしは臭みが強く、臭みを消すためにワサビがついていたという説がある。ワサビの使い方は、それぞれの好みでよさそうだ。

手打ちではなく「足」で踏むそば
手作りのそば、といえば手打ちそばがあたりまえだが、手ではなく体のある部分を使ってそばを作ることもある。
そんな一風変わったそばを提供するのは、静岡市駿河区の丸田そば本店。
創業は昭和28年。もともと先代が屋台ラーメンを営んでいたこともあり、自家製の中華だしを使ったラーメンや、特製カレーそばが人気だ。

そんな丸田そば本店の人気テイクアウトセットは「かつそば弁当(900円)」。その名の通り、ご飯の上に大ぶりの煮かつが乗った弁当と、自家製そばのセットだ。見た目は普通のそばに見えるが、どんなヒミツがあるのか。
北村花絵アナウンサー:
そばの甘みも感じます。多少コシが強い感じがします
店主・大田重幸さん:
足で踏んでコシを出しています。機械にかける前に踏んで、それから細長い麺にします。そばでも、足で踏むとコシが強くなります

もちもち食感のそばはもちろん、気になるのはカツの隣に入っている「モツ」。元々はおしんこを入れていたが、モツを使うメニューが多かったので、モツを入れたそう。 家呑みにももってこいだ。

衝撃コスパ…こだわりのそばセットがまさかのウン百円
続いては東京発のそば専門店「ゆで太郎」。
売りは、なんと言っても豊富なメニューとその価格。かけそばは、なんと360円という衝撃価格。テイクアウト商品もコスパ最強と、ネットで話題だ。

それがこちらの「ミニのり弁セット(600円)」。たっぷりのそば、ちくわのてんぷらと魚のフライがのったのり弁のセットだ。どこがミニ?と言いたくなるボリュームで、まさかの600円。そばの量もすごい。

そばは「挽(ひ)きたて」「打ちたて」「ゆでたて」にこだわっていて、店舗で作っている。「3たて」にこだわるからこそ、テイクアウトでもおいしいそばが食べられる。
のり弁も食材はもちろん、しょうゆやノリ、かつおぶしまで国産にこだわっていて、そばの脇役に止まらないおいしさだ。
ゆで太郎の店内写真の男性は誰?
ところで、ゆで太郎の店内にある白黒の写真の秘密をご存じだろうか?
とんでもない数のそばを担いだ男性。その数8段。
ただ、特にこの写真の説明書きもないので、ネットでは「これって合成?」「イメージ写真?」「そもそも誰?」と疑問が飛び交っている。

そこで、ゆで太郎の広報に聞いてみた。
実はこの男性は創業者の水信春夫さんで、17歳から18歳頃の写真だという。東京・青山のそば店で修行をしている際に、ふるさとに送るために撮影した記念写真で、器の中身は空だったそう。
それにしても、これだけの量を持つのは相当重たかったのではないだろうか。
そばを担いで配達する時代からずいぶん時を経て、いま、家でそばを楽しむ時がまたやってきた。各店の個性がひかる進化したそばは、テイクアウトとあなどることができない。
(テレビ静岡)