石破派内からは「悲観論」も他陣営は注目
自民党総裁選を巡り去就に注目が集まる石破元幹事長は、11日、自らの出馬について、「明日一日よく考えたい」と語った。
告示が17日に迫る中、石破氏はさらに「(出馬の判断が)ギリギリ前日というのはご迷惑をかけるが、拙速な判断というのも決して良くない」と話した。

総裁選には既に岸田前政調会長、高市前総務相、河野規制改革担相が名乗りをあげている。
各々が政策を発表するなど発信を強める中、石破派内からは「出馬しても勝てない」という悲観論が広がる。にもかかわらず、他陣営から「石破さんが出てくるとどうなるんだろう」という声があがるなど、石破氏の動向には高い関心が寄せられている。これは、石破氏が出馬するかどうかが「ポスト菅」レースを巡る各陣営の戦略に非常に大きな影響を及ぼすからだ。
石破氏出馬なら“決戦投票”必至か
石破氏の動きがカギとなる理由は、総裁選の仕組みにある。
総裁選は、383の議員票と383の党員票、計766票を巡って争われる。しかし投票の結果、いずれの候補も過半数を超える票を獲得できなかった場合は、上位2名による決選投票(議員票383票+地方票47票)が行われる。
岸田氏、高市氏、河野氏の3人が既に出馬を表明しており混戦が予想される中、現時点でも1回目の投票ではいずれの候補も過半数に達しない可能性がある。この3人に加えて知名度の高い石破氏が出馬することになれば、票がより分散することになるので、いずれの候補も過半数を獲得できず、決選投票になる可能性がより高まることとなる。
また、決選投票では1回目の投票と比べて議員票の占める割合が大きくなるため、各陣営とも2位以内に入る争いをしながら、「2位3位連合」を模索するなど決戦投票を睨んだ動きが必要となるので、熾烈な駆け引きが行われることとなる。
つまり「1回目で決められるか」「決戦投票まで行われるか」どちらになる見通しなのかが、各陣営の戦略に非常に大きな影響を及ぼす。そのため石破氏出馬の有無が決選投票にまで発展するかのカギを握るので、各陣営ともその動向を注視している。
5人の候補者で争われた2012年の総裁選では、1回目の投票では石破氏がトップに立ったものの過半数に及ばず、決選投票の末、安倍前首相が総裁の座を勝ち取った。
「3人の主張を拝聴して決断」 石破氏の選ぶ道は
石破氏は10日に自身のブログに、3位に終わった前回の総裁選を振り返り「多くの同志の負担や犠牲を伴いながら同じことを繰り返し、何も得られないとすれば、それは自己満足にしか過ぎないのだろうと考えておりますし、今回それを繰り返すことは避けなければなりません」と綴っている。石破派内からは「河野氏を支援すべき」との声も出ている中、石破氏はブログで「岸田氏、高市氏、河野氏の主張をよく拝聴しながら、私のとるべき道を決断するつもりです」と続けた。
総裁選全体の構図に、そして「ポスト菅」に誰がなるかに大きな影響を与える石破氏の決断が待たれる。