「スタバに行きますか。行ったら何を飲みますか?」
「はい、行ったことはもちろんあります。あまり詳しくありません。大変おいしく頂きました。以上です。すみません。」

自民党総裁選に出馬表明している岸田文雄前政調会長(64)が10日夜、単独インスタライブを行った。「国民の声を聞く政治」をスローガンに掲げる一方で、発信力ではライバルに後れを取っている。若者へのリーチと発信力の強化を狙う岸田氏は今回、政策的な質問ではなく、プライベートな質問に答える形で、“不慣れ”なインスタライブに挑戦した。

インスタライブに戸惑う岸田氏 「自分を見ながらずっと話すの?」

スタッフからインスタライブの説明を受ける岸田氏(10日)
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開始前、スタッフからインスタグラムの活用例の説明を受けた岸田氏は「インスタとツイッターは何が違うのか」と質問。スタッフから「インスタは温かい応援コメントが付きやすいですが、ツイッターは・・・」などと説明を受け、「ツイッターの方が厳しいコメントが多いのね」と少し安堵した様子で席に腰を据えた。

リハーサルでスマホに対峙すると、スマホの画面に映る自分を見つめながら話すことに違和感を覚えたようだ。「自分の姿をみながらずっと話すの?」「どんな感じか分からないな」などと話しながら、手探りの状態のまま20分に渡るインスタライブは始まった。

22の「プライベートな質問」に回答 “自虐的”な受け答えも

「はい、皆さんこんばんは。衆議院議員の岸田文雄です。きょうは私の初めてのインスタライブ、ご視聴頂きまして誠にありがとうございます」

インスタライブは、インターネットで質問や意見を募る目安箱「岸田BOX」に集められた「プライベートな質問」が書かれた紙を、くじ引きの形でランダムに取り出し、一問一答の形式で進められた。

「それでは始めます。まず最初の質問は『スタバに行きますか。行ったら何を飲みますか?』はい、行ったことはもちろんあります。あまり詳しくありません。大変おいしく頂きました。以上です。すみません」

20分間のインスタライブで、岸田氏は22の質問に回答した。その中のいくつかを取り上げる。

インスタライブ中の岸田氏(10日)

質問:酒豪で有名な先生ですが、最高でどのくらい飲まれましたか?お酒でこの人には勝てないという方はおられますか?
岸田氏:はい、最近は多少控えていますが、30代、40代のころは1年に何度か、記憶がなくなるまで飲んだ記憶があります。えー、朝起きたらウチに帰っている。どうやってウチに帰ったのか、すごく不安になった、そういった経験も度々ありました。私より強い議員がいるのかですが、多分いっぱいいると思います。特に自民党、女性議員が酒強いですから、私より強いと信じています。

質問:筋トレメニューを知りたいです。
岸田氏:自分なりに1日のメニューを決めています。腕立て、腹筋から始めてスクワット、それからダンベルを使って、あわせて20分のメニューを毎日繰り返します。

岸田氏らしい実直な受け答えも目立った。

質問:政治家以外になりたい職業は?
岸田氏:政治家以外になかなか通用しないかもしれませんが、私は学生の頃はぜひ、小説家になりたいと思っていました。小説もずいぶん我流で書きましたが、全部ものになりませんでした。
でも今でも憧れています。

質問:面接ではどんな自己アピールをしますか?
岸田氏:サラリーマンをしていたことがあり、面接を受けたことがありますが、大変苦手でした。自己アピールでは学生時代の話をした記憶があります。基本苦手なので、あまり参考にならないと思います。

質問:得意料理は何ですか?
岸田氏:インスタントラーメンというと怒られそうです。せいぜい目玉焼きです。すいません、料理も不得手です。

「ふみきゅん」使って欲しい “美顔”の秘訣も

親しみやすさをアピールする受け答えも目立った。

質問:「ふみきゅん」ってあだ名、嫌ですか?
岸田氏:はい、好きです。ぜひ使ってください、お願いします!

質問:いつもお肌が綺麗ですが、何か気をつけていることはありますか?
岸田氏:朝起きた時とお風呂入ったとき、必ず石けんで顔を洗います。それはずっと続けています。それが少しはいいのかもしれません。それ以外は特段はやっていません。

インスタライブ中の岸田氏(10日)

質問:好きな果物はなんですか。私は桃が好きです。
岸田氏:私も桃好きです。やっぱり子供の時の思い出で、なぜかスイカが好きです。季節として夏が好きなんですけど、夏の思い出、やっぱりスイカ、子供の思い出として強く残っています。
好きな果物を挙げるとしたら私はスイカです。みなさんどうでしょうか

「好きな野球選手は?」「親子げんかは?」「奥様の手料理は何が好きですか」など永田町の政治の世界では聞かれないような質問に、自ら進行しながら真剣に答える岸田氏の姿にスタッフから笑い声も起きる中、インスタライブは終了した。

岸田氏は「初めてのインスタライブ。質問をぱっと見てぱっと答える。大変、反射神経がいるものだった」「なんとなく自分自身で自分を理解する一つの材料になった気がする」と振り返り、機会があれば続けて行きたいと手応えを話した。

「財務省のポチ」批判に「謙虚に受け止める」

YouTube生配信中の岸田氏(5日)

岸田氏はこれ以外にもSNSツールの活用も積極的に進めている。5日にはYouTubeで生配信する形でのイベントを実施。当日、生配信の中で投稿されたコメントにも随時回答した。

「できる限り私自身の言葉でお答えしたい」と挨拶した岸田氏には冒頭から鋭い質問が飛んだ。「『財務省の犬』『財務省のポチ』と言われているがご存じか?」「財政均衡主義の財務省の言いなりではない日本の若者が将来に希望が持てる経済政策を示してほしい」との指摘に対しては「指摘は謙虚に受け止める」としつつ、こうしたイメージを持たれていることに戸惑う様子も見せた。

YouTube配信中の岸田氏(5日)

発信力強化なるか 岸田氏のSNS戦略

「国民の声を聞く政治」の実現を掲げる岸田氏としては、コロナ禍でもこうしたSNSを活用して国民との接点を拡大し、総裁選のカギと言われる地方の党員票の獲得を広げたい狙いがある。

総裁選には抜群の知名度と発信力を擁する河野太郎規制改革担当相のほか、勝ち抜けば女性初の総理大臣誕生となる高市前総務相もすでに出馬を表明している。岸田氏は「アピールポイントは聞く力とチーム力。聞くということは信頼の原点。そして官僚も含めて、多くの関係者としっかりとしたチームを組むことが大事。怒鳴ってばかりだけではチーム力というものは発揮できない」と他候補と自身の違いを強調している。

17日に迫った総裁選の告示。SNSも活用しながら地道に国民の声を聞くなど、「国民の声を聞く政治の体現」を貫く決意の岸田氏は総裁選で今後どのような戦いを見せていくのだろうか。

(フジテレビ政治部・平河クラブ 亀岡晃伸)