東京2020パラリンピックは秋篠宮さまがご臨席の中、9月5日夜、閉幕しました。この日の午前女子マラソンが行われ、視覚障害のクラスで道下美里さんが見事金メダルを獲得、リオパラリンピックで銀メダルだった雪辱を果たしました。

競技終了後の6日代表インタビューを受けた道下さんは、メダルの重さについて「思ったより重たくて、リオ大会の時よりさらに重くなっていますよね。今まで支えてくれた人たちの風が吹いて、重みもさらに増したんじゃないかと勝手に思っています」と支えてくれた関係者への思いを語っています。

女子マラソン視覚障害クラスで金メダルを獲得した道下美里さん
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萩生田文部科学相に報告をする選手たち

そして、インタビューの最後には、これまで応援されてきた天皇陛下への思いも語ってくれました。道下さんは、陛下との交流について、次のように述べています。

「リオ大会の後にお会いする機会をいただいて、その時に、陛下と約束をしたんですね。終わった後の園遊会は開かれないかもしれないですが、終わった後に、またお会いしたいですということを。お会いする機会をつくれるよう頑張りますと伝えたので、また機会があれば、お会いしてご報告させていただきたいなと思います」

陛下と道下さんとの交流はすでにご存じの方も多いことでしょう。

陛下と道下さんとの交流

陛下は2017年秋に開催された園遊会で道下さんとお話をする機会をもたれています。その際、陛下が、園遊会の会場をジョギングしていることを話されたところ、道下さんから「ご一緒する機会があれば」と言われたということです。

こうした経緯から、2018年6月に、陛下はいつも走られている赤坂御用地で道下さんの伴走をされることになったのです。陛下は、どのようにリードすればいいか、事前に本を読んだり動画を見たりし、事前に調べて本番に備えられました。

そして、本番。
最初は、いつもの伴走者と道下さんが走り、途中から伴走者を交代し、陛下が、道下さんと約20分、2.3キロくらい走られました。道下さんと実際に走ってみると、陛下は、どこで声をかけるかなど戸惑われることもあったということです。

道下さんの伴走をされる陛下(2018年6月)

2019年のお誕生日会見で陛下は、「一例を挙げますと、例えば2メートルくらい先にマンホールがありますということを道下さんにお話しようと思いましたら、気が付いた時にはもうマンホールの上にいるような感じで、走っていると随分スピードもあるんだなと思いましたし、実際に伴走の方がどのように選手をリードされているのかということも私も分かって、自分としても大変いい経験になったと思います」と、苦労談を明かされています。

「自分としても大変いい経験になったと思います」と語られた道下さんの伴走

また宮内庁によれば、「今回一緒にジョギングすることにより、障害者スポーツにさらに理解を深めるとともに、伴走することによって自分自身の世界も広がった」というご感想もお持ちだったということです。

障害者スポーツでは、ほとんどの競技で、サポートする人が必要となっています。

陛下は、障害者が競技をする中で、いかに支援者との間に「相互理解と信頼」が大切か実感されたのではないでしょうか。

「ブラインドマラソンを知っていただきたい」

天皇陛下と赤坂御用地内を走った道下さんは、今回そのときの気持ちも述べています。

「本当に幸せな気持ちですね。私もいろんな方にロープを持っていただいて走ったんですけれども、まさか走り始めた当初、そんな機会をいただけるなんて思っていなかったので。陛下と一緒に走ることを通して、ブラインドマラソンというものをたくさんの方に知っていただく機会をくださったのだと思うので、そのお気持ちに本当に感謝したいです」

満面の笑顔の陛下と道下さん

天皇ご一家も道下さんを含めブランドマラソンに出場する選手の活躍を楽しみにされ、側近によれば「平成30年に陛下が伴走された道下美里さん等男女合わせて5人が出場するため皇后さま愛子さまともども、大変楽しみにされているのではないかと拝察」とレース前に天皇ご一家のお気持ちを明らかにしています。

「共に生きる社会」

こうした、皇室の皆様の思いについて、道下さんはこうも述べています。

「共に生きる社会というものを、共に率先して取り組んでくださっているので、私たちも、その背中を見ながら見習っていろんなことを伝えていけたらいいなと思います」

前回のパラリンピックの開催を支援された上皇ご夫妻、ろう者の競技大会への理解や手話などの普及に尽力されている秋篠宮ご一家、そして、全国障害者スポーツ大会にご臨席され続けた両陛下。

ブラインドマラソンという競技を続ける道下さんには、皇室の方々から障害者に心を寄せられるお姿がはっきり見えていることでしょう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 橋本寿史】