工藤会トップに死刑 法廷で明らかになる『仁義なき戦い』な世界

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特定危険指定暴力団・工藤会(北九州)が関与したとされる4つの市民襲撃事件。きょう、この4事件で殺人などの罪に問われている、工藤会総裁の野村悟被告(74)に死刑判決が、ナンバー2の田上不美夫被告(65)に無期懲役の判決が、それぞれ言い渡された。

判決では、工藤会の組員らが、市民に放った“恐ろしい”文言が次々と明らかになった。
『お前とおやじがターゲットになってる。分かってるだろうな。』
『会わんとどうなるか知らんぞ。会社と子どもをぶっ潰すぞ』
『俺は直接はやらんよ。間に何人かの人間を入れてやるよ』
『工藤会は、若い者が多いので、何をするやら分からない』
これは、まるで『仁義なき戦い』か『孤狼の血』か。

工藤会だから有罪で死刑 判決には組織犯罪に対する断固たる姿勢

画像はテレビ西日本特集記事より

裁判を通じて、野村被告らが4事件を指示・命令したとの証拠は出なかった。しかし、判決では、元漁協組合長射殺事件について、港湾利権を得ようとした野村被告には動機があり、『工藤会の組織力、指揮命令系統を利用』して殺害に至ったと認定。野村被告らの指揮・命令がなければ、組員が、勝手に射殺事件など起こす訳はないと言う“検察側の主張”が、そのまま採用された。

また、永山基準をもとに、殺害された被害者が1人の場合、死刑は回避される傾向にあるが、判決では『多額の利権を得ようとして一般市民を殺害したもので、しかもそれが暴力団組織により計画的に実行されている。特段の事情がない限り、極刑を選択すべき』と断じた。

工藤会だから、指揮・命令が認定され、死刑が選択されたという見方もできるだろう。この点、判決からは、組織犯罪に対する断固たる姿勢がうかがえる。

総裁を追い詰めた鉄の結束の”ほころび”

きょうの判決でも、工藤会の組織性について『厳格なる統制がなされる暴力団組織』と指摘され、それが、過去の捜査でもネックになってきた。しかし、過去に工藤会事件に携わった検察OBは『幹部たちが鉄の結束で事実を隠しても、実行犯たちが、自分が関与した範囲で話すようになった。そういう雰囲気ができた。その裏付けを重ね、包囲網を築くことができた』と当時を振り返る。鉄の結束の“ほころび”が、総裁を死刑へと追い詰めたとも言えるだろう。

フジテレビ解説委員 平松秀敏