日本が世界に誇るアニメ業界。新たな人材確保を目指して、宮崎出身の女性がアニメーターの育成に力を入れている。宮崎で始まったアニメビジネス。宮崎出身の女性が描く夢とは。

“業界の最前線”で気づいたチャンス

田原麻美さん:
色塗りのチェックをしていきましょう。お互いシャッフルで全員、色塗れています?

宮崎市出身の田原麻美さん(32)は、2021年5月から、宮崎県の内外に住む高校卒業生以上を対象に、みやざきアニメ塾を開催している。

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田原さんが教えているのは、アニメ制作のうち「動画」と「仕上げ」の工程だ。

田原麻美さん:
(原画の)間の絵をつなぐのが動画マン。そして、それを塗るのが仕上げさんです

田原麻美さん:
その2つを宮崎のアニメ塾の人たちに指導して、いずれ仕事を取ってやっていってもらう

佐土原高校産業デザイン科出身の田原さんは、大学を卒業後、東京都のアニメ制作会社に入社。国民的アニメ「ドラえもん」の制作などに携わってきた。

アニメ業界の最前線で働いて約10年。制作拠点が東京に集中している現状や、人手不足の制作現場などを目のあたりにし、田原さんが気づいたのは、地方でのビジネスチャンスだった。

田原麻美さん:
動画と仕上げの2つの工程は、アニメ業界だと、半分とまではいかないけど、結構な数を主婦の人がされていた

田原麻美さん:
宮崎では、私が小さいときにトールペイントが母親の間ではやっていたりとか、今もアクセサリー作りとか、クリエーティブなことを求めている人が、実は宮崎には多いのではないかと(気付いた)

プロに教わる子どもスクール開催

田原さんは2021年1月、知り合いの商社マンとアニメの企画・制作会社を立ち上げ、ふるさと宮崎でアニメーターの人材育成に乗り出した。

アニメの企画・制作会社を設立した田原さん

田原麻美さん:
私がターゲットにしていたのは最初、主婦だったんですけれども、実際に来られている方は、今は若い世代が多いです

受講生:
とにかく時間はかかるし、作業量は大変だけど、楽しいですね。もっとこれができたら、面白いものを作れるんだろうと思います

8月16日から3日間、田原さんの会社が初めて開催したこどもアニメスクール。
講師の清水洋さんは、ジブリ作品などを手がけたプロのアニメーターだ。子どもたちにキャラクターの描き方やアニメーションの基礎を教えた。

ジブリ作品などを手掛けたアニメーター・清水洋さん

ジブリ作品などを手掛けたアニメーター・清水洋さん:
形を立体的に考えることが最初だと思います。立体を考えながら描くと描きやすいよ

そして2日目の8月17日、子どもたちは、実際にタブレット端末を使ってアニメーションの制作に挑戦。少しずつ位置をずらしたボールの絵を並べ合わせて、バウンドしているような動きを表現した。

(Q:自作のアニメーションを見て?)
参加者:

なんか、ちょっと気持ち悪い感じがします。こういう面白いアニメを作れたり、いろんな絵のコツを学べたりして(良かった)

参加者:
将来はまだ決まっていませんが、アニメに関することや絵を描くことがいいなと思います

(Q:地方にアニメ制作会社が少ないのは?)
田原麻美さん:

接する機会がないからなんじゃないかな。すごく遠い世界だと思われている。絵に自信がない人とか、絵が極端にうまいわけではない人たちも参加できる

目標は「地産地消アニメーション」

宮崎で、アニメ業界を身近に感じられるきっかけを作り、地方にいながら、アニメ制作に携わる人材を育成する。
田原さんが、その先に見据える目標とは。

田原麻美さん:
いまだかつて、1つの県の中にあるアニメ制作会社で(アニメ制作の)全てを完結させたということがない

田原麻美さん:
宮崎で企画から全てやって、宮崎の素材で作って、宮崎で育ったアニメーターの人たち・クリエイターの人たちと作って、それを宮崎の中で消費する地産地消アニメーションをやっていきたいと思っています

田原さんによると、アニメ業界は人手不足で、工程の一部を海外に発注しているため、時間や費用が余分にかかっているという。
そうした業務を、アニメに興味はあるが制作に携わる機会のなかった宮崎の人材が担うことができれば、大きなビジネスチャンスになるのではと話している。

(テレビ宮崎)