子どもたち自身、そして子どもたちの心に居場所はありますか?

1991年、多摩川沿いの小さなアパートの一室で、学校に行けない子どもたちの「居場所」づくりを始めたNPO法人「フリースペースたまりば」の理事長である西野博之さん。

いじめ、貧困、虐待、ひきこもりなど、さまざまな問題を抱える子どもたちを見守り、寄り添い続けてきた。

失敗を受け入れ乗り越える力を

「自分のことを『バカだ』『ダメだ』って自己肯定感が低い子どもたちがすごく増えている。『危ないからやめなさい』『汚いからやめなさい』って言われちゃうでしょ?『やってみたい』ということを押さえ込まれる社会になっている」と西野さんが語るように、少子化と共に失敗することを恐れ、自信や活力のない子どもたちが今、増えている。

そこで西野さんは、子どもたちが安心して失敗できる場所を作ろうと、川崎市で「子ども夢パーク」の運営を始める。

スタッフと子どもたちが作った遊具があったり、廃材と工具を自由に使えるコーナーや井戸水を使った泥水遊びもできる。

ここには禁止事項がなく、やりたいことをやりたいだけやることができる。火おこしも何度も失敗しながら、子どもたちは火の怖さとありがたさを学んでいく。

こうした子どもたちの本気の挑戦を大人はただ見守るだけ。

西野さんは「『やった』『できた』という経験を積んでいくことと、失敗を受け入れて乗り越えていく力を手に入れていくことが大事なんです」と話した。

生きてて楽しいよと思える社会を

そんな西野さんは、不登校の子どもたちに向けての「居場所」作りも行っている。

近年、生きづらさを感じる子どもたちは増え、不登校の小中学生は全国で14万人を超え、児童生徒(小中・高校生)の自殺は1年間で332人と昭和63年の統計開始以来過去最多となった。

西野さんによると、不登校の子どもたちは自分でもその理由が分からないケースが多いという。

学校に行きたいのに行けない。体が動かない。そんな子どもたちに対し、親はなんとか行かせようとして、子どもたちはさらに追い詰められる。

「学校に行きたくても行けなくて、『こんな自分は死んじゃった方がいいんじゃないか?』って思う子どもたちもいる。私たち大人にできることは、生きてて楽しいよと思える社会を作ること」と話す西野さんは、17年前の2003年に日本で初めてとなる公設民営のフリースペース「えん」を川崎市に開設した。

西野さんの「学校以外にも成長できる場所はある。だから死なないでほしい」という強い思いから生まれた、子どもたちの居場所だ。

不登校の子どもたち150人が登録する「えん」は、いつ来てもいつ帰ってもいい。

どう過ごすかも自分で決め、勉強するのもゲームをするのも、外で遊ぶのも自由。

そんな中でも大切にしているのは昼ご飯。畑で取れた野菜を使って、作りたい子どもたちがスタッフと一緒にお昼を作る。

食べるのはみんな一緒。しかし、強制はされないので、気分が乗らない時は一人で食べてもよく、お弁当を持ってきてもOK。

最初は一人でいる子も、自分の意思が尊重される自由で闊達な空気の中で少しずつ心を開き、気が付けば大家族の一員になっているのだという。

「えん」を卒業した子は、学校に復帰する子もいれば、大検を受けて大学に通う子、留学する子、就職する子とさまざまだ。

西野さんは「心に安心が広がってくると、子どもは勝手に動き出すんです。だから、『生まれてくれてありがとう。あなたがいてくれて幸せだよ』と、子どもたちに届けるメッセージはこれだけでいいんです」と語った。

NPO法人「フリースペースたまりば」
http://www.tamariba.org/

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