新型コロナウイルスの全国の新規感染者が3日連続で2万人を超えた。こうした中、感染した女性の赤ちゃんが死亡した問題について、様々な対策が動き出した。
千葉県柏市で新型コロナウイルスに感染した妊娠8カ月の女性が、入院先が見つからないまま自宅で出産し、赤ちゃんが死亡した問題。

「おなかが痛い」中等症の妊婦 9カ所の医療機関に断られ…
8月20日、新たに女性が少なくとも9カ所の医療機関に受け入れを断られていたことがわかった。
この件について千葉県では…
千葉県 田村圭医療整備課長:
妊婦に限らずですけれども、日々ギリギリの状態でやっています…
妊娠8カ月の30代女性は8月11日に新型コロナウイルスへの感染が確認され、自宅療養を開始。14日には中等症と判断されながら、入院調整がつかず引き続き自宅療養を続けていた。

17日に「おなかの痛み」を訴え、自ら保健所に連絡したものの受け入れ先が見つからないまま、自宅で男の子を出産した。
29週の早産で生まれた赤ちゃんは心肺停止の状態で病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。
柏市消防局副局長 伊藤政則さん:
(救急車が到着した時、赤ちゃんは)その時点で心臓も止まっている、呼吸もしていないという状況だったと…
出産した女性は現在入院中。1人暮らしで過去に出産経験があったが、ワクチンの接種は受けていなかったという。

優先されるのは妊娠36週以降…基準の落とし穴
今回の問題で女性の搬送が難航した背景には、感染した妊婦の場合、入院が優先されるのは妊娠36週以降という千葉県の基準があった。
今回の件を同じく妊娠中の女性はどう感じているのだろうか?
30代女性(妊娠9カ月):
(夫と)怖いねって話をちょうどしていました。(受け入れ先が)見つからないってなった時にどうしたらいいのかが分からない…
東京・千代田区の産婦人科クリニックを訪れていた妊娠6カ月を迎える夫婦に話を聞いた。
榎並大二郎キャスター:
奥様が妊娠されていてコロナの不安というのは感じてらっしゃいますか?

妻が妊娠6カ月の男性:
何かあったときに、SOSを出したときに、すぐ助けてもらえる体制というのを求めたいし、そうじゃないと、何かあったときに心配でならないので…
妊娠6カ月の女性(30代):
自宅で重症化してしまったときとか、早産もそうですけど、そういうとき自分がどうなってしまうんだろう?子どもはどうなってしまうんだろう?というのはすごく心配ですね
千葉県は20日会見し、妊娠36週未満であっても、中等症以上の妊婦の受け入れ体制を強化するよう医療機関に依頼したことを明らかにした。
また千葉大学医学部附属病院は、今回の件を受け感染した妊婦を受け入れる専門病床を母体胎児集中治療室の一部に設置することを決めた。
妊婦のワクチン接種には課題も
しかし妊婦へのワクチン接種にも課題がある…

妊娠中の女性にワクチン接種を受けたか聞いてみると…
20代女性(妊娠10カ月):
なんか怖くて打っていないというのもあるので…
20代女性(妊娠9カ月):
お腹の中にどういう影響があるか分からないですし…
と、妊娠中のワクチン接種を不安視する声が多かった。
日本産婦人科医会は「妊娠中、特に妊娠後期に感染すると重症化しやすい」としている。

さらに妊婦の感染は約8割が夫やパートナーからの感染で、パートナーと共にワクチン接種することを呼びかけている。
産婦人科でもワクチンに関する相談が増えているという。
丸の内の森レディースクリニック 宋 美玄医師:
(ワクチン接種の)ご相談内容はやはり副反応の心配。胎盤までいって赤ちゃんに影響するのは、ほぼ考えられないとご説明しています。妊婦さんは週数に関係なく(ワクチンを)打って欲しい

妊娠6カ月の女性(30代):
今月やっと(夫婦共に)打ち終えたところで。打たないことのリスクを考えたときに、打つ方がいいかなと思いました

(イット! 8月20日放送より)
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