全国の新規感染者は過去最多に。災害級の感染爆発で医療体制が逼迫する中、救える命が救えなくなっている。
子供たちの笑顔の一方で子育て世代には大きな不安が広がっている。
子供2人の母親(30代):
すぐ見てもらえない。すぐ運んでもらえない。考えただけで怖い
妊娠9カ月の女性(20代)
このあと出産もありますし、怖いですけれど、予防するしかない…
入院先見つからず…自宅で早産
“救える命が救えない”…そうした事態がまさに現実となってしまった。

8月11日、新型コロナへの感染が確認された千葉県柏市に住む30代の女性。妊娠8カ月だった。自宅療養中だった17日朝から出血があり、自ら保健所に連絡。入院調整が行われたが、受け入れ先が見つからなかった。

千葉・柏市の会見:
患者から電話がありまして、15時15分に自宅で出産をしたと…
女性は自宅で出産。早産で生まれた赤ちゃんは心肺停止の状態で病院に搬送され、その後死亡が確認された。女性は妊娠29週目だった。
早産で生まれた赤ちゃんの状態について産婦人科医は…
産婦人科クリニックさくら 桜井明弘院長:
一番最後に赤ちゃんの機能ができるのは呼吸器。人工呼吸器は子どものものは特殊なので治療を受けられる施設は限られてしまうんです。

妊婦の感染倍増「重症化しやすい」
日本産婦人科医会によると、東京都で感染が確認された妊婦の数は5月の時点では50人だったが、7月には98人とほぼ倍増。
加藤官房長官は妊娠された方の受け入れは“コロナ対応の課題”とした上で次のような方針を示した。
加藤官房長官:
各都道府県に対して、改めて妊産婦等の搬送体制、入院体制の確保またはその構築について具体的な対応を求めていく
頼みの綱となるはずのワクチンについては、妊娠中の女性からはこうした声も…
妊娠10カ月の女性(20代):
自分はまだワクチンを打っていない。怖くて打ってないというのもあるので…
妊娠9カ月の女性(40代):
たぶんワクチンを打たれてない方多いと思うんですよね。妊婦さんって…
日本産婦人科医会は「妊娠中の、特に妊娠後期に感染すると重症化しやすい」として妊婦とパートナーへのワクチン接種を推奨しています。

救急出動の6割は搬送できず
東京では19日過去2番目に多い5534人の感染を確認。全国の重症者は18日時点で1765人で前の日から49人増え7日連続で過去最多に。
東京都内では新型コロナ陽性者を扱う救急隊の出動件数も増え続け、今月8日までの1週間では1668件。しかし6割にあたる959件は受け入れ先の病院が見つからず搬送できなかった。

「医療の連携さえできていれば…」
榎並大二郎キャスター:
妊娠8カ月といえば、もう赤ちゃんも1000グラムぐらいまで育ってきているはずなんですよね。
だから適切な医療を受けていればもう、助かる命だったと思ってしまうのですが…
ジャーナリスト・柳沢秀夫氏:
本当にあってはならないことだったと思います。切ない話だったと思います。もしこれがこの妊婦さんが入院できていれば、もっと早い対応が取れていたかもしれない。そのことはやっぱり関係している方が肝に銘じてほしいと思います

ジャーナリスト・柳沢秀夫氏:
医療の連携さえできていれば本当に助かった命だということ、事が起きてからでは遅いんですよね。現場の方いろいろ苦労されていると思いますが、もう二度と繰り返さないという思いを胸にして体制をとってほしいなと思います
榎並大二郎キャスター:
本当に、病床の確保と、地道な感染対策かなと思います。
(「イット!」8月19日放送より)