重症化リスク70%減、抗体カクテル療法とは
『制御不能』とされる新型コロナウイルスの感染急拡大。そんな中、都内の宿泊療養施設で始まった抗体カクテル療法とはどのようなものなのか。東京都モニタリング会議のメンバーで、東京都医師会の猪口副会長に話を聞いた。
猪口副会長:
抗体カクテル療法の投与対象となるのは、
●50歳以上で、発症から7日以内の軽症者
●基礎疾患などがある50歳未満の軽症者
これらの人に投与すると、重症化リスクを70%減らすことが可能。50歳以上の感染者で、酸素投与を受けていない人は、文句なく使える。

抗体カクテル”ステーション”を作るべき
猪口副会長:
現在、病院に入院しているのは、酸素投与を受けるような中等症、重症者がほとんど。入院待機ステーションでさえ“入院レベル”の中等症患者ばかりで、全員酸素投与を受けている。軽症患者が治療を受けている所で投与することに意味がある。自宅療養者など軽症者を集めて、抗体カクテル療法の点滴を行う”拠点”を作ることが重要。
「点滴1回だけでいいんです」
猪口副会長:
抗体カクテル療法は、2つの中和抗体を生理食塩水に溶かし、それを20分から30分かけて点滴する。回数は1回だけでいい。その後24時間経過観察する。副作用として気持ちが悪くなったり、熱が出る人もいると言うが、それで回復が遅れる訳ではない。一方で、次の日からすごく元気になった人たちもいると聞いている。

同意書必要、『点滴してくれてありがたい』と涙ぐむ人も
猪口副会長:
抗体カクテル療養を受ける場合、同意書が必要。患者はチェックリストに記入し、患者と医師の双方が署名する。同意書には
●抗体カクテル療法が『特例承認』により承認されたこと
●有効性や安全性が改めて評価される予定であること
●同意しない場合でも不利益は一切受けないこと
などの項目がある。
『不利益は一切受けない』とは、仮に抗体カクテル療法を拒否しても、療養施設から追い出されるなどの不利益はないと言うこと。都内の宿泊療養施設で抗体カクテル療法を行っているのは、現在1カ所。今月13日に、軽症者4人に対して投与した。「こういうところで点滴してくれて本当にありがたい」と感激して泣いている人もいた。200人分を確保しているので、さらに投与を進めたい。