乗客からのクレームで水分をガマン…不理解も熱中症の原因に

厳しい暑さが続く中、「車内での熱中症」にも注意が必要だ。
名古屋市では7月、運行中の市バスの運転士が、意識がもうろうとなり電柱に衝突する事故があり、「熱中症の疑い」と診断された。
専門家に「車内での熱中症」の原因と、対策について聞いた。

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7月24日、名古屋市瑞穂区の県道で、運行中の市バスがバス停を出た直後、59歳の男性運転士が体調不良で意識がもうろうとなり、バスは減速しながら時速4キロで道路脇の電柱に衝突した。運転士と乗客約10人にケガはなかった。

その後、運転士は病院で「熱中症の疑い」と診断されたという。

市バスを運営する名古屋市交通局によると、エアコンはついてはいるものの、コロナ対策で窓を開けていて、出入口の扉も頻繁に開閉されるので、熱風がかなり入ってくるとのこと。また、前部は大きなフロントガラスで、日差しも強くなっている。

ペットボトルなどでの水分補給は認められているが、信号で停車中に飲むと乗客からクレームが入ったこともあり、運転士の多くが出発前や終着点でしか飲まないようにしているのが現状だという。

日本東洋医学会名誉会員で日本小児学会専門医の野崎豊先生に伺うと、こうした「車内での熱中症」は、バスだけでなく乗用車を運転するときにも起こりうるという。

エアコンが効いていても、直射日光で熱が体の中にたまりやすく、車内はエアコンで乾燥しているので汗が出てもすぐに蒸発してしまい、水分が不足していることに気づきにくくなる。

また、運転中はトイレに行かなくてもいいようにと水分補給をしないことで、脱水症状に拍車がかかり、熱中症になってしまうということだ。

車内での熱中症対策におすすめの飲み物は、熱中症を防ぐ効果があるミネラル成分が入った麦茶で、これを一気に飲むのではなく、少しずつ飲むのが効果的としている。(1時間にコップ1杯程度)

コーヒーや緑茶、紅茶などは、カフェインが含まれていて利尿作用があるため向かず、スポーツドリンクは悪くはないが、糖分が高いため激しい運動の後の方が向いているとのこと。

(東海テレビ)

東海テレビ
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