7月、静岡県沼津市の水族館で行われたアシカの水中ショーで、女性トレーナーがデビューを果たした。子供の頃からの夢をかなえるまでの1カ月半に密着した。

「ずっとショーのトレーナーがやりたかった」

「伊豆・三津シーパラダイス」のトレーナー、青山唯さん。大阪出身の25歳だ。

青山唯さん:
小学校の時からイルカと一緒に泳ぐ体験に毎月通っていて、動物に関わる仕事をしたいとずっと思っていました

アシカトレーナーになるため大阪から静岡に転職した青山唯さん
アシカトレーナーになるため大阪から静岡に転職した青山唯さん
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トレーナーになるための専門学校を卒業後、地元大阪のレジャー施設に就職し、イルカのふれあいコーナーを担当していた。しかし、2020年3月にレジャー施設が閉園。新天地として10月に三津シーパラダイスに就職した。

青山唯さん:
ずっとショーのトレーナーがやりたくて。前職ではふれあいの担当だったのでショーは全くやってなくて、いいチャンスで転機かなと思いました

伊豆三津シーパラダイスで人気のイルカやトド、アシカのショー
伊豆三津シーパラダイスで人気のイルカやトド、アシカのショー

襲われることも…真剣勝負のアシカショー

こちらの水族館ではイルカやトドにアシカと、動物たちの様々なショーが人気だ。青山さんが挑戦するのはアシカのショー。それもトレーナー自身もが水に入ってパフォーマンスする「水中ショー」だ。

2021年5月、ショーの練習がスタートした。指導役は先輩トレーナーの大城結香さん。

先輩トレーナー・大城結香さん:
イルカと違って(襲って)くるので気をつけて。常にサニーを見てないと、ないとは思うけど可能性もあるから

青山唯さん:
めちゃくちゃ緊張してます。アシカは陸上ショーはやっているけど、距離感的にこんな近くにくることはないので怖さもちょっとあります

先輩トレーナーの大城さんから指導を受ける新人・青山さん
先輩トレーナーの大城さんから指導を受ける新人・青山さん

ショーの相棒となるのはカリフォルニアアシカのサニー、19歳のメスだ。

まずは大城さんが手本を見せる。水面に顔を出して、アシカと一緒にぐるっと水平に一回りする練習だ。

青山さんの相棒・アシカのサニー(19・メス)
青山さんの相棒・アシカのサニー(19・メス)

先輩トレーナー・大城結香さん:
来たら手を出さなくていいんで、そのまま(エサを)あげる。鼻にタッチしてあげる。じっとしていられないからね。

青山さんも初めてやってみる。

先輩トレーナー・大城結香さん:
右手を出して腕しっかり伸ばして。手を出しっぱなしは絶対ダメ

アシカと一緒に回る練習 アシカとの距離が近く怖さも感じる
アシカと一緒に回る練習 アシカとの距離が近く怖さも感じる

青山唯さん:
めちゃくちゃ緊張しました。ちょっと怖かった。顔が近かったので

先輩トレーナー・大城結香さん:
サニーも青山さんも落ち着いていたので、最初にしては上出来だと思います

健康管理はトレーナーの重要な仕事

魚屋のように見えるが、ここは動物たちの食事を準備する場所。食べるのはサバやアジにイワシなど、その量は1日に100kgを超える。

動物たちの体格や体調に合わせて、量や種類を細かく管理している。

1日100kg以上のエサを準備する
1日100kg以上のエサを準備する

青山唯さん:
動物のことを毎日観察して、普段と違う行動をトレーナーが気づいてあげないと。動物はしゃべれないので

アシカに”なめられている” 信頼関係が大切

先輩トレーナー・大城結香さん:
前にきたら手で誘ってあげて、後ろまでいったらリングを下に沈める

この日は「輪くぐり」の練習。道具を使う、初めての練習だ。練習中にサニーがエサで遊ぶような動きを見せた。

先輩トレーナー・大城結香さん:
もう完璧にサニーがなめてきている証拠。なにしてもエサをもらえるんだろうな、もう飽きてきた、面倒くさいなと思ってくると、チャッチャとエサで遊ぶから。アシカは特になんだけど、初めてのことやできなかったことが最初にできたときに評価してあげないと

動物たちの行動や能力を観客に見せるためのショー、大切なのは動物たちとの信頼関係だ。俊敏な動きや愛らしいしぐさなどを表現できた時、しっかりとほめてあげることが大切なのだ。

青山さんのデビューは1カ月後に決まった。

ショーでは水中の様子も見られていて、トレーナーにも優雅な動きが求められる。先輩の大城さんは冒頭の飛び込みで深くまで潜り、観客をショーの世界に引き込む。

一方の青山さんは足がバタついたり、パフォーマンスの位置が柱にかぶってしまったりと、まだまだ課題が山積み。練習の日々が続く。

水の中の動きも観客から見えてしまう水中ショー 青山さんは足がバタついてしまう
水の中の動きも観客から見えてしまう水中ショー 青山さんは足がバタついてしまう

成功なるか? 迎えた「水中ショー」デビュー初日

いよいよデビューの日がやってきた。青山さん、かなり緊張している様子。

青山唯さん:
心臓から血が漏れてる感じ

先輩トレーナー・大城結香さん:
ご飯を食べにいっていいよと言ったら、無理無理と

青山唯さん:
無理、ほんとに無理。やばい、やばい、やばい…。

先輩トレーナー・大城結香さん:
笑って笑って

本番直前、緊張する青山さん
本番直前、緊張する青山さん

ついにショーが始まった。まずは青山さんとサニーが、そろってお客さんにごあいさつ。

息の合ったサニーとの演技
息の合ったサニーとの演技

水中に入って、サニーがぐるぐる回る技も上手くできた。青山さんの足の間をサニーがくぐって、最後はハグで決まった!

サニーとハグ 満足のショーができた
サニーとハグ 満足のショーができた

青山さんと大城さん:
やったー!大成功だった。

青山唯さん:
お客さんがいて、私もすごくモチベーションが上がって。サニーも今回はちゃんとやってくれたので楽しく終わりました。アシカって陸上でやってるショーはコミカルで面白いイメージだと思うんですが、意外と優雅で、イメージとは違う魅力もあることを伝えたいと思います

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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