静岡市で長年親しまれたジャズクラブが2021年5月に閉店した。新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいたことが要因だ。
しかし、このジャズクラブは1カ月後の7月1日にリニューアルオープンした。そのわけとは?

閉店1カ月後に再開

店内に響き渡る美しいジャズの音色。7月1日、静岡市葵区のジャズクラブ「LIFETIME」がリニューアルオープンした。
しかしこの店、1カ月前に店を閉じたばかりだった。

再開したジャズクラブ「LIFETIME」(静岡市葵区)
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オープン前日、店では再開に向けて準備が進められていた。オーナーでジャズピアニストの久保田隆(ゆたか)さん。

(Q.準備はまだ残っていますか?)
久保田隆さん:
そうですね、十何年間やっていて汚れなんかもいろいろあって、そういうのをとりながらやっているものですから

再開準備に忙しい久保田隆さん

著名ミュージシャンの演奏が聴ける店

LIFE TIMEは2005年に開業。プロとしても活動していた久保田さんの人脈を生かし、国内外の著名ミュージシャンの演奏が聴ける店として人気を集めた。

久保田隆さん:
地元のミュージシャンの方がここに聞きに来て刺激を受けて、自分たちのレベルがあがっていくというのが私にとっては理想だったんです

これまで行ったライブは1000回以上。静岡の音楽文化の醸成に貢献してきた。

国内外の著名ミュージシャンが出演

新型コロナの打撃

しかし、営業の継続を阻んだのが新型コロナウイルスだ。
長引く移動制限で遠方からミュージシャンを呼べなくなったことに加え、県外のライブハウスで起きたクラスターが追い打ちをかけ、店の売り上げは激減した。

久保田隆さん:
お客さん、開けても誰もこないという状態になってしまったこともありましたし。その時点でこれはリカバリーするのが不可能かなと、ここは一回しめるべきではないかと

5月末での閉店を決定。苦渋の決断だった。

5月末で閉店を決断

閉店を惜しむ声

ただ、閉店を発表して以降、久保田さんのもとにはミュージシャンや客から閉店を惜しむ声がたくさん届く。
常連客の知久昌樹さんも店の存続を望んでいた。

常連客・知久昌樹さん:
なんかやれるんじゃないかなということで、ちょっと仲間を募って、みんなで助けないかという話をしたら『いいよいいよ』という連中が

常連客の知久昌樹さん「なんかやれるんじゃないかなと」

クラウドファンディングで資金調達

そこで仲間と行ったのが、クラウドファンディングでの資金調達だ。

山崎啓輔さん:
最初は110万円という設定をしたんですけど、開始2日で達成してしまうというスピード達成になってしまいまして。

山崎啓輔さん「目標額は開始2日で達成」

支援は想定をはるかに超え、最終的には目標額の4倍以上の518万3000円が集まった。

久保田隆さん:
たくさんのお客さんと、たくさんのミュージシャンに支えられているんだなとすごく思った。これをやっぱり終わらせてはいけないと今回実感した

最終的に目標額の4倍以上が集まる

新たな挑戦も

再スタートを切るにあたって、新たな挑戦も。
これまで使っていなかった昼の店舗を、仕事や打ち合わせができるコワーキングスペースとしてビジネスにも活用できるように。
一方、夜はジャズの演奏を継続。定額制の会員を募って一定数の利用を確保していく。

昼間はコワーキングスペースとして活用

いよいよオープン

オープン当日はあいにくの雨。昼のコワーキングスペースは、利用する人はいなかった。
そして、午後7時、1カ月ぶりにジャズクラブが開店。この日を待ちわびた常連客、そしてミュージシャンが集まった。

常連客やミュージシャンがかけつける

ジャズシンガー・若林みわさん:
なんか久しぶりで緊張しますね。緊張しちゃう。でもこうやって再開できて、本当にうれしいです。たった1カ月なんですけど、1カ月が長くてなんか…

多くの思いが詰まったステージが開演だ。

ジャズシンガー・若林みわさん「久しぶりで緊張しますね」

常連客:
やっぱりいいですね。生演奏は最高です。

別の常連客:
私ども十数年来ているので、もう生活の一部でしょうか。ここへ来るといやされる。

常連客:
コロナ禍だからこそ、ずっと演奏して頂きたいなと思う。本当に素晴らしい演奏だった。

常連客「やっぱり生演奏は最高」

「気持ちいい音楽やりたい」

久しぶりの仲間との演奏に久保田さんは…

久保田隆さん:
(弾いている時みなさん楽しそうにしていた)しばらく弾いていないと、余計そういうのがわかるんですよね。あ、こういうふうなことだったんだなって気がとてもした。お客さんの気持ちに訴えられると言ったらちょっとおこがましいんですけど、気持ちいい音楽やりたい。

一度は店をあきらめたものの、客の思いを受け復活した名門ジャズクラブ。奏でられる音色は、より美しく人々の心に響き渡っていった。

久保田隆さん「気持ちいい音楽やりたい」

◆再開した「LIFETIME」◆
リニューアルオープン初日は利用がなかったコワーキングスペースは、現在は1日10人ほどが利用。夜のジャズライブも以前の賑わいを取り戻しつつあるという。

オーナーの久保田さんは「静岡から文化の灯火を消さないよう、精一杯頑張りたい」と話している。

(テレビ静岡)