「火砕流がどんなものか知る人はほとんどいなかった」 防災ジオツアーで学ぶ雲仙・普賢岳大火砕流【長崎発】
常識が通用しない…いま備える防災

「火砕流がどんなものか知る人はほとんどいなかった」 防災ジオツアーで学ぶ雲仙・普賢岳大火砕流【長崎発】

テレビ長崎
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半島内3市が協力して「定点」を防災ジオツアーに

1991年に起きた長崎県の雲仙・普賢岳の大火砕流惨事。その災害遺構「定点」を「防災ジオツアー」として生かそうという取り組みが始まり、地元の観光関係者が、実際のツアーコースをめぐって課題を洗い出した。

島原半島は2009年、日本で初めて地質遺産「世界ジオパーク」に認定されていて、地質や地形を保護しながら、ジオツーリズムを通じて地域経済の活性化にも役立てようと、半島内3市(島原市・雲仙市・南島原市)が協力して取り組みを進めている。

雲仙岳災害記念館
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今回の防災ジオツアーは、島原半島観光連盟とジオパーク協議会、それに雲仙岳災害記念館の初の共同企画だ。

参加者は、まず災害記念館を訪れ、普賢岳で起きた災害の全容を学ぶ。

7月中旬から実際に一般客の募集が始まるのを前に行われた有料のモニターツアーには、宿泊や飲食、行政など島原半島の観光関係者20人が参加した。

島原半島の観光関係者が参加した有料モニターツアー

新型コロナウイルス感染防止対策として、移動には、大型バスを使う。1人で2座席を使用し、座席の前後には、間仕切りも設置されている。

新型コロナ対策も万全

「経験・教訓を未来に生かす場に」

島原半島ジオパーク認定ガイド・満行豊人さん:
火砕流がどんなものであるかを十分知った人は、ほとんどいませんでした。「おまわりさんがここは危ないと言われているから、帰ってください」と言っても、報道関係の人たちは、いい映像を撮りたい。「(乗客の)報道関係者の人を残して帰るわけにはいかんじゃないか」、そして(タクシー運転手の)立光さんは、最後の言葉を残して亡くなりました。

島原半島ジオパーク認定ガイド・満行豊人さん

1991年6月3日、消防団や警察官、報道関係者など43人が亡くなった島原市の上木場地区は、砂防指定地のため、通常は立ち入りが規制されている。

立ち入りが規制されている上木場地区

これまでも、島原半島の子どもたちの災害学習や、修学旅行は行われてきたが、一般の観光客は受け入れていなかった。

しかし2021年春、報道関係者が亡くなった、いわゆる「定点」一帯が整備され、被災した車両が展示されたことで、災害記念館での事前の学習とジオガイドの案内を前提に、防災ツアーという形で、普賢岳噴火災害についてより深く知ってもらおうとしている。

島原半島ジオパーク協議会・大野希一さん:
ここで私たちが得た経験・教訓を未来に生かす場、自分の命は自分で守る、あるいは人の命を守るということを考えるきっかけとして、この場所を活用していきたいです。

島原半島ジオパーク協議会・大野希一さん

被災地に、かつては人々の暮らしがあったことを感じてもらうため、エリア内は徒歩で移動する。

島原半島ジオパーク認定ガイド・満行豊人さん:
亀甲積み、亀の甲羅のような、このような手の込んだ石垣を組まれて生活しておられたんです。

参加者(有馬町ガイドの会):
ガイドの立場としては、多くの方にこういうことを知っていただきたい。でも実際被害に遭われた方にしてみれば、(ツアーには)何となく違和感を感じていらっしゃるのかもしれない。

参加者(宿泊業):
山がこんな近いところから火砕流が流れてきたんだな。遠くからしか見ていなかったから、ここにいた人たちが、どう考えていたんだろうと考えさせられました。

集客への強みは 問われる発信力

災害記念館の入館料も含むツアー料金は、約3時間で4,980円。一般的な観光バスツアーと比べると、かなり割高に感じられるが、主催者側では、通常は立ち入りが制限されている地域に入れるのはこのツアーだけという強みを生かしたいとしている。

島原半島観光連盟・中尾武志企画・営業部長:
今、伊豆の方の土石流とか昨年の球磨川の洪水だとか、自然災害は毎年いろんなところで起こってますので、もう全然人ごとではないと思います。

島原半島観光連盟・中尾武志企画・営業部長

防災ジオツアーは、7月下旬から始まり、今のところ、9月まで月2回の日程が決まっている。島原半島観光連盟が販売の窓口となるほか、旅行会社からの団体予約受付を7月15日から始めていて、すでに秋には、長崎市内の小学校の修学旅行6校が決まっている。

全国的にも例がない砂防指定地の中にある災害遺構であり、大地の営みを伝えるジオサイトとして集客につなげられるか、発信力が問われることになる。

(テレビ長崎)

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