国の新たなエネルギー政策の方針「エネルギー基本計画」の策定が大詰めの段階に入った。
菅政権が掲げた、温室効果ガスの排出量を2030年度までに45%削減する目標を踏まえた議論は、3年に1度の改定に向け最終局面を迎えている。
焦点は、2030年度の電源構成をどうするかだが、なかでも太陽光など再生可能エネルギーの比率が大きなポイントだ。
いまの目標では、総発電量に占める再生エネの割合は「22~24%」だが、これを10ポイント以上引き上げて「36~38%」にまで高め、「主力電源として最大限の導入に取り組む」と明記する方向だ。
一方、二酸化炭素を排出する火力は今の計画の「56%」から「40%程度」にまで大幅に削減する方針だ。
原子力は、「20%から22%」と、いまの計画と同じ水準を維持することで調整していて、「必要な規模を持続的に活用していく」として、原発の新設や増設、建て替えについては盛り込まないことになりそうだ。
原発の運転期間は、運転開始から原則40年、最長60年となっているが、延長論も浮上している。こうした結果、再生エネと原子力をあわせた「脱炭素電源」は6割に達する見通しだ。

再生エネの比率を大幅に高めたかなり野心的な計画といえそうだが、主力のひとつとなる太陽光ではパネルを置く用地が少なくなっているほか、天候不順で発電できない場合のバックアップとして火力や水力にかかるコストをどうするかなど課題も多い。
温室効果ガスの削減を図る一方、エネルギーの安定供給を実現する実効性のある計画に仕上げられるのか。企業活動や国民生活にも大きな影響が及ぶ計画の改定案は、近く経産省の審議会で示される。