日本人初 民間宇宙船「クルードラゴン」に搭乗

5月に3度目の“宇宙の旅”を終え帰還した、宇宙飛行士の野口聡一さん。

Live News αでは野口さんが感じたこれからの時代が求める宇宙開発について、三田友梨佳キャスターが直接話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
野口さん、お帰りなさい。3回目の宇宙の旅、まずは率直に振り返っていかがでしたか?

宇宙飛行士・野口聡一さん:
ありがとうございます。無事に帰ってまいりました。1つは楽しめた。あと3回目は“人類初のことしたい”なと…

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この旅で、人類初となる偉業を達成した野口さん。それは3種類の違った方法で地球に帰ってくること。

1回目はアメリカ・NASAのスペースシャトルで、2回目はロシアのソユーズで、3回目となった今回はアメリカ・スペースX社のクルードラゴンでと、異なる宇宙船で地球に戻ってきた。

野口聡一さん:
3種類の違った方法で地球に帰ってくる。これはこれまで60年間、ガガーリンさんから始まっていろんな宇宙飛行士がいましたけれども、今この時点で3種類違った方法で地球に帰ってきているのは僕1人なので…

今回、日本人初となる、アメリカ・スペースX社の民間宇宙船「クルードラゴン」に搭乗、ISS(=国際宇宙ステーション)に長期滞在した野口さん。

三田友梨佳キャスター:
クルードラゴンに乗っている感覚としても技術の進歩を感じるものですか?

野口聡一さん:
今回のスペースXに関しては、凄く感じました。1つは、実際に我々が使う操作パネル。タッチスクリーンで、その場面その場面で必要な操作ができるようになっています

ISS滞在中に野口さんは、ドラゴン宇宙船から見える地球の姿をYouTubeに投稿していた。

野口さんのYouTube動画:
ドラゴン宇宙船からこんにちは!こんな感じで地球が見えます。大きな窓が2つあります。

ISS滞在中に野口さんが投稿したYouTube動画

三田友梨佳キャスター:
スタイリッシュな宇宙船だなという印象があったんですが、窓が大きいのも1つの特徴なんですか?

野口聡一さん:
スペースXの1つの戦略として、この次に来るのは宇宙観光旅行であると。もうすでに来てるんですけど、そういう意味では窓の大きさというのは譲れないというのがあったと思うんですよね。ですからまさにスタイリッシュなインテリアクールな操作パネル宇宙服もデザイン重視、見ていてワクワクする。「これかっこいいな」ということで、宇宙への夢、宇宙に行く事への夢ですよね

多様性こそがレジリエンス(強靭性)

“宇宙新時代”を告げる、民間の力による宇宙開発。

そして、今回のミッションの大きなポイントとなったのが“多様性”だ。

三田友梨佳キャスター:
野口さんは帯同するメンバーの皆さんについて、「多様性こそがレジリエンス(強靭性)」だとおっしゃっていましたが?

野口聡一さん:
まさに白人、黒人、女性、アジア人。多様性そのものを象徴する人選だったと思いますし、最終的には女性のシャノン・ウォーカー飛行士がコマンダーになりましたから。そういう意味では、女性のリーダーシップを象徴するミッションでもありましたし、多様性があるからこそ、打たれ強い、壊れにくい

おととしLive News αが取材した際には、“宇宙ビジネスと日本の技術”ついて、ユニークな表現でその可能性を示した野口さん。

野口聡一さん:
宇宙をより豊かに使っていく部分で、日本の技術力がこれから生きていくといいなと、「カラフルな宇宙」になっていくのではないか…

2019年7月放送より

三田友梨佳キャスター:
今回実際に行かれてみて、カラフルな宇宙の実現性をどう思われますか?

野口聡一さん:
(宇宙にも)やっぱり人間が行くからにはそこに生活があり、その生活は楽しむべきだと思います。そういう意味では、今回ずいぶん食事、いろんな日本のおいしいもの。伝統的な宇宙食も日本食もあります

野口聡一さん:
宇宙での生活
がもっとビビットカラフルに、アクティブ楽しい生活の様子というのが、あの宇宙船からまた次の人たちへ発信していくと思うと凄い楽しみです。

三田友梨佳キャスター:
野口さんはISSに入ると子供の頃に過ごしたおじいちゃんの家に帰ってきたような懐かしい感覚になったそうです。しかし技術は確実に進化していて、宇宙船については「黒電話からスマホになったような感じ」と表現されていました。帰還されて2カ月。すでに宇宙が恋しいと話す野口さんのキラキラとした瞳が印象的でした

宇宙開発は競争から協調の時代に

番組ではコメンテーターで早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
長内さんのご専門は新たな技術の開発やイノベーションですが、宇宙開発にもその波は来ていそうですね?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
宇宙開発も民間の出番が来たという感じですね。野口さんがスペースXの宇宙船をスタイリッシュと表現していますが、国のプロジェクトですと税金が原資ですから、開発に遊びの要素はなかなか入れられない。民間ですと様々なアイディアを持ち寄って、機能、性能だけじゃない宇宙船のイノベーションを起こせると思います。また、この原動力というのが野口さんも指摘しているもう1つのキーワード「多様性」です

三田友梨佳キャスター:
多様性がイノベーションの原動力ですか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
20世紀の宇宙開発というのは、アメリカとソ連の2大国が国という単位で競争していました。しかし21世紀に入って今の国際宇宙ステーション、宇宙開発は様々な国の人種の人が異なる文化や価値観を持ち寄って作り上げた、競争から協調の時代になったわけです。宇宙ではどんな不測の事態が起きるかわかりません。様々な可能性、方法を備えておくことが不確実性の備えであって、多様性がレジリエンス(強靭性)だと思います

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
カラフルな宇宙という話もありましたが、ジェンダーの多様性を示すのにレインボーフラッグがあります。6色は1色に交わるのではなくて、それぞれが違う色のまま1つにまとまっている。それが多様性です。1つの価値観を押しつけるのではなくて、様々な意見や立場を尊重する。これが今の時代の多様性なのではないでしょうか。

三田友梨佳キャスター:
野口さんは今後について、これまでのご自身の経験を活かして、民間企業が様々なイノベーションを宇宙という場で結実できるように協力していきたいと話していました。民間の持つスピード感、活力、イノベーションによって遠い星がぐっと身近になっていきそうです

(「Live News α」7月8日放送分より)