大分県内の高校の校則の実態を把握しようと、テレビ大分では県内全ての全日制の県立高校38校分(分校含む)の校則について、情報公開請求をして調べた。
高校の校則の実態について、教育評論家の尾木直樹さんに聞いた。

県議会で質問も…高校の校則の実態は?

全国的に「ブラック校則」の見直しが進められている中、2021年6月の大分県議会では、県内の校則について以下の質問が出た。

後藤慎太郎県議:
大分のテレビ局が、大分市の全中学校など27校分の校則を調べたと。びっくりしたのが、下着は白、絵柄ははがきの大きさまで、とか

「校則特集」の第1弾では、視聴者からも多くの反響をいただいた。
また、高校の校則については、こんな実態も明らかになった。

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岡本天津男県教育長:
夏服着用時の下着の色を限定したり、地毛の色を確認するために申請を要するといったものがありました。学校での指導にあたっては、人権に十分配慮して行っています

高校の校則の実態は?
「尾木ママ」の愛称でおなじみ、教育評論家の尾木直樹さんに聞いた。

「下着」「髪型」「男女交際」…校則について尾木ママに聞く

「下着」に関する校則について。
制服の下に着るシャツなどの校則は、約8割の高校にあり、色を白に限定しているところもあった。

下着は白という校則がある高校の見解は、「制服はフォーマルな服。柄物だと透けるから、下着は白がふさわしいです」としている。

教育評論家・尾木直樹さん:
白というのは、清潔感にあふれていますよね。「子どもたちは清潔感にあふれた純粋であってほしい」みたいな、教師の幻想だと思いますよ

続いて、「髪型」について。
染めるなど髪の毛の加工は全ての高校で禁止されていたが、その4割近くでは、「色」や「くせ」といった地毛の特徴を、申請書などで高校に伝えるよう求めていた。中には、小学生以前の写真の提出を求めるところもあった。

校則に地毛申請がある高校の見解は、「学校生活の中でいらぬ軋轢(あつれき)を生まないようにするためです。強制ではありません」としている。

教育評論家・尾木直樹さん:
これは完全に身体に関わること。制服の着用の強制とはレベルが違う。ダイバーシティ(多様性)が求められている社会なわけですよね。証明を出せだとか、小学生の時の写真を添付しろとかですね、これはありえない

また「男女交際」について、「男女2人だけの行動は避けること」とする高校もあった。
この校則がある高校は、「実際には、男女2人だけのところを見つけても注意したりはしていません。昔の名残ではないかと思います」という見解だった。

教育評論家・尾木直樹さん:
学校には、古いものが残っていくんですね。狭い閉じた空間だからです。社会の風が全然吹いていないんですよ

「衣替えの時期を設けない」生徒と教師で話し合う高校も

こうした厳しい意見の一方、尾木さんは学校をより良い学びの場とするためには、校則自体は必要だと考えている。

教育評論家・尾木直樹さん:
校則は必要だと思います。自らの学校のルールは自分たちが作って、自分たちが守っていくと。民主主義のルールを担っていける主体を作らないといけないわけです。そこが抜けてしまうと、まったく意味がないんです

実際、大分県内では、こんな動きも見られる。
大分市にある大分県立大分西高校。登校中の生徒たちをよく見ると、半そで姿や長そでの制服のほか、半そでにベストを重ね着している生徒もいた。
多くの高校では、すでに夏服に移行している時期だが…

大分西高校・田北聡教頭:
衣替えの時期を設けていません

この高校では、気候や体調に応じて、生徒が自分で考えて制服を選べるよう、2020年に校則を変更した。

大分西高校・田北聡教頭:
毎年 生徒会を通じて、校則についての要望が上がっています。しっかり自分のことを考えて、主体的にものが言えて、行動できる生徒に育っていけばいいなと考えています。

こうした取り組みは、ほかの高校でも進んでいる。

大分雄城台高校・堤荘司教頭:
校則に対する率直な意見を集約するために、アンケート調査を行いました

大分市の大分雄城台高校では、全校生徒を対象にアンケートを行った。その結果を生徒と教師で共有するとともに、お互いの代表が校則について話し合う機会を予定している。

大分雄城台高校・生徒会長:
こういう機会を設けられたのは、生徒側からしたらありがたいことで。本音を話したり、先生からは「本当はこうしてほしい」とか、そういう要望が飛び交う話ができればいいと思っています。合理的な校則の改善が行われると思っています

教育評論家の尾木さんも、「こうした取り組みは評価できる」と話していて、高校生たちにエールを送る。

教育評論家・尾木直樹さん:
学校の主人公は、高校生のあなた、皆さんです。どういう生活スタイルだとやりやすいかなというのを、皆で先生と一緒に提案しあって、決めていってください。
そしたら、自分たちの責任も伴いますから、守っていくのがやりやすくなります

お互いの思いや考えを尊重しながら、より良い校則の実現に向けた意見交換が行われることを期待したい。

(テレビ大分)

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