島根・出雲市にある荒神谷史跡公園で、これから見頃を迎えようとしている古代ハス。
しかし、外来種による被害が問題となっている。その外来種とは「ザリガニ」。
こうした中で、今「釣って駆除するザリガニ釣り」が、家族連れの釣り人の間で人気となっている。

古代ハス・2000年前の地層で発見された奇跡の花
古代ハス・2000年前の地層で発見された奇跡の花
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奇跡の花・古代ハスに“外来種”による大きな危機

約50年前に千葉県の2000年前の地層で発見された奇跡の花、古代ハス。

約28アールの池を持つ出雲市斐川町の荒神谷史跡公園で、古代に思いをはせる上で欠かせないこの古代ハスに、いま大きな危機が訪れている。

それが…

男の子:
とれた!とれた!

池に竿を入れて…とれた!
池に竿を入れて…とれた!

さおで次々に釣れるのは、外来種の「アメリカザリガニ」。
このやっかいものがもたらす“危機”とは…

荒神谷史跡公園 小林浩司さん:
ハスの新芽を挟んで切るのが、あの子たちは得意なので。それで、ハスの成長も止まっちゃってるのもあります

さらに、池の土に巣穴を掘ることで水が抜けて、3年前から池の約半分で花が咲かない被害が発生している。

池の底には大きな穴も
池の底には大きな穴も

水が抜け、土だけになった場所には雑草が生える状態。

1年に2回の繁殖期に1日約400~1000個の卵を産む

TSKは、2019年にこの危機を取材していたが、当時の池には数千匹のアメリカザリガニがすでに生息し、公園では毎日わなをしかけ、捕獲作業を続けていた。

卵を1日に約400~1000個も産む
卵を1日に約400~1000個も産む

しかし、春と秋に繁殖期を迎えるアメリカザリガニが1日に産む卵の数は、約400個から1000個。

そこで状況を打開しようと、釣って駆除する作戦が始まった。

荒神谷史跡公園・小林 浩司さん:
来園された方にバケツと釣竿をお貸しして、一緒にザリガニ釣りをしている。みんなでこのハス池を守っていこうと思っています

3カ月で2000匹以上捕獲

来園者に呼びかけたところ、このザリガニ釣りは口コミで広がり、大人気になっている。
2020年度の捕獲は約2300匹だったが、2021年は4月からの約3カ月で、すでに2000匹以上を捕獲。

手ぶらで来園し、用意された道具で駆除開始。
糸の先にサキイカをつけ、無料で楽しみながら捕獲。一石二鳥というわけだ。

サキイカを餌にザリガニ釣り
サキイカを餌にザリガニ釣り

この日 訪れたのは25組の親子などで、その「釣果」は356匹にのぼった。
その後、公園管理者が駆除した。

男の子:
(ハス池でザリガニが釣れるのが)めっちゃビックリ。増加していたら(今後も)釣りたいです

男性:
少しでもザリガニを減らして、きれいなハスが咲いてくれたら良いなと思います

地元の人たちの頑張りに応えるように、雑草に埋もれたハスの葉から蕾も…

荒神谷史跡公園・小林浩司さん:
健気に咲いてますよね、ド根性があるというか。アメリカザリガニを根絶、全くゼロにするというのは聞いたことがないので。低密度と言いますけども、それを図っていくことが一番大事かなと思いますね

大繁殖を食い止めるためには釣り続ける必要があり、荒神谷史跡公園は古代ハスの池を守るため、今後も釣って駆除に協力してほしいとしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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