日本円で売上5兆円のオンラインセール

売上5兆円を超える、中国のネット通販大手のオンラインセール。
注目は、特に若者に人気だという国産ブランドだ。

北京支局:岩佐雄人記者:
いまスクリーンに売上が表示されていますけれども、3000億元。
日本円で5兆円に達しています。

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中国のネット通販業界2位の「京東(ジンドン)」。

業界1位のアリババが始めた、独身の日「11月11日」のセールに対抗して、自身の創業記念日「6月18日」をセールの日に設定した。

現地時間午後2時時点で、売り上げは日本円で約5兆円を突破。
「独身の日」と並ぶ規模となっている。

国民的買い物の祭典で2021年に注目されるのが...。

京東 ファッション部門・PR担当者:
若者は「国潮」デザインを偏愛しています。
伝統文化を愛し、クールでファッショナブルなものが好きです

人気の「国潮」デザインとは

「国潮」とは中国風のデザインを取り入れたファッションや商品を指す造語。

北京支局:岩佐雄人記者:
このTシャツこうした漢字のロゴに、背中も中国の伝統的なモチーフが使われています。
こうした中国っぽいファッションが今若者の間で人気となっているんです。

「国潮」の代表格とされるのが、スポーツブランド「李寧」。

漢字のロゴなど、中国風を前面に押し出したデザインが若者に支持され、国内の売り上げはナイキやアディダスに迫る勢い。

中国の若者:
伝統文化の伝承という感じでいい。
一種の愛国心の表現だと思う

京東によると、2021年のセールで「李寧」をはじめとした中国のスポーツブランドの売り上げは2020年の9倍に急増している。

スポーツブランドだけではない。

日本円でおよそ9,600円のアイカラーは、世界遺産「故宮」とコラボしたもので、伝統的モチーフが彫刻された芸術品のようなデザインが人気で、コラボ商品全体の売り上げは2020年の3倍にのぼる。

女性:
国潮のものはよく買っています。
化粧品とか。
国産ブランドの方が中国人のセンスやニーズに合っている

ますます高まる愛国心とも結び付き、国潮ブームは続くとみられる。

国産ブランド人気の理由は

内田嶺衣奈キャスター:
このニュースについてはマーケティングアナリストの渡辺広明さんにお話を伺います。
中国のネット通販、大変な売り上げを記録しているようですが、渡辺さんはこのニュースをどうご覧になっていますか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
コロナ禍の巣ごもりで、ネット通販は世界的に売り上げが加速しています。

日本もEC化率が2019年は6.7%なのですが、リアルのチェーン小売業が少ない中国は36.6%、大変進んでいるのです。
また2023年には60%を超えるともいわれています。

今回の618セールは、夏の繁忙期前の谷間月の対応で売り上げの底上げだったり、夏場の消費アップのトリガーとなる企画ともなっているのですね。

内田嶺衣奈キャスター:
特に若い世代にとっては、国産のコスメや国産ブランドのファッションなども人気のようですね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏
化粧品やファッションは生活が豊かになって売り上げが伸びていく商材なのです。
それだけ中国の経済と、生産技術が成熟したということでなっているのだと思います。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
日本もかつて欧米の化粧品が多かったのですが、国内の技術の発展で信頼を得て国産ブランドが主流になったという歴史があるのです。

また巣ごもりで、若年層を中心に世界的に過去の文化を尊重するというノスタルジーがブームになっていて、SNSが後押ししているので中国ではチャイナ服なども人気が出ているようです。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
中国は来年北京オリンピックを控えているので、国に対する思いが高まっていて国産ブランドブームはしばらく続いていくのではと考えられます。

内田嶺衣奈キャスター:
日本でも国産ブランドは安心感があったりですとか、日本人の肌に合った色味や質感のものを販売していたりします。
同じように中国でも国産コスメに対する信頼というのがあるのかもしれないですね。
若い世代だけではなく、より幅広い世代にも今後定着していくのでしょうか。

(「Live News α」 6月18日放送分)