昨シーズン、アイスダンス競技会デビューを果たしたフィギュアスケート・アイスダンスの村元哉中・髙橋大輔組。

リズムダンスはジム・キャリー主演の映画「MASK」を演じ、観客を魅了した。

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今季選んだプログラムについて聞くと、「みんな選曲を聞いたら『え?』ってなると思う」と、笑いながら話した村元。

それはなんと、『ソーラン節』。

一体どんなプログラムになっているのか。期待高まる結成2年目の2人が、2022年の北京オリンピックに向けての抱負などを語った。

オリンピックを意識した選曲

髙橋は今季のプログラムについて、「曲はめちゃくちゃ格好いいですよ。(昨シーズンの)MASKよりシンドイんじゃないかな?」と笑顔を見せる。

“日本っぽいもの”を探す中でたどり着いた『ソーラン節』。

北海道を代表する民謡で漁師が魚を水揚げする時にうたわれたソーラン節を、和楽器の琴を用いたヒップホップ調の曲と組み合わせたプログラムを作り上げた。

村元は「波とか大きい動きをイメージしている。大ちゃんのアイデアがいっぱい詰まっていて、本当は振付師に“髙橋大輔”って入れたいくらい」と話す。その世界観は「浮世絵の世界」のように現実離れした感じだという。

見どころは『ミッドラインステップ』の部分。髙橋は「あれはバチバチに決まったらめちゃくちゃカッコイイ!」と自信を見せる。

またもう一つの見どころとして、リフトを挙げた。昨シーズンのプログラムでは、村元を持ち上げながら回転するリフトを披露。

一方の今回は、「リフトはソーラン節からの流れでヒップホップに入るんですけど、魚が釣られているようなリフトで、ユニークなリフトです。これも見どころかもしれない」と村元。

「お互いに緊張感が高いリフトだよね」とその難易度の高さに髙橋が苦笑いを浮かべると、「今までやったリフトで一番ビビっているリフトです」と返した。

北京オリンピックを意識してプログラムを選んだという2人。

「オリンピックシーズンなので、和テイストを入れたら面白いのでは?という話になり、日本代表だからこそできるプログラム」

そう話した髙橋は、「すごくトラディショナルな(伝統的ある)ものですし、それを取り入れて素敵なものを仕上げていきたい」と続けた。

髙橋の存在は唯一無二

昨シーズンを振り返った髙橋は、新型コロナウイルスの影響で思うように大会などで経験を積み上げられず、消化不良な部分があったとこぼす。

「(シングル時代から)アイスダンスは見ていたので、ある意味目が肥えているというか、理想は高い。そこに全然近づけない自分がいるので、『道のりが長いな』という感覚が大きかった」

たった2試合しか経験できなかった昨シーズンは、“手応え”よりも、感覚をつかんだシーズンだった。

一方の村元は「(ペアの)結成が決まってからあっという間。改めてアイスダンスをやるって決めてくれて感謝しています。もちろん今までのアイスダンサー達のお陰もあるけど、大ちゃんのおかげでより一層盛り上がっていると感じますし、ラッキーだなと思いました」と髙橋に感謝する。

さらに、「唯一無二の存在だというのは間近で見ていて思った。1人で滑っている凄さをアイスダンスでも無くさず、2人でも大ちゃんの良さを残しつつ滑れたら、本当に凄いことになるんじゃないかと思っています」と期待を込める。

2人の覚悟が伝わる、こだわりのプログラム。

勝負のシーズンとなる今年、髙橋は「北京オリンピックの前に、12月の全日本選手権で結果を出さないと、オリンピックどころではない」と話し、村元も「全日本のことしか頭にない。そこを目標にしないと北京は見えない」と目標は一緒だ。

それでもシングル時代、ソチやバンクーバーオリンピックに出場した経験がある髙橋。同じようにオリンピック出場へ近づいている感覚があるか聞くと、「違います。むしろ遠いくらい」とこぼす。

一方の村元は「組んだときはあまりオリンピックのことは言っていない。(髙橋と)組むことは、オリンピック以上のものがあると思っているので。やっていけば(オリンピックに)つながっていく」と明かした。

最後に髙橋は「全日本まで時間がないのでレベルアップをハンパなくやっていきたい。超進化じゃないですけど、『今シーズンは全く違う!何があったの?』みたいなものを見せていくモチベーションでいれば、やっていけるのかなと思います」と語った。

結成2年目の2人の勝負のシーズンがいよいよ始まる。

(ディレクター・山本草太/水橋謙志郎)

フィギュアスケート取材班
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