体験型の演劇

見るだけではなく体験もできる。
ウィズコロナ時代ならではの新たな演劇の形とは。

4日にお披露目されたのは、東京・お台場に5日にオープンする日本初の常設イマーシブシアター。

この記事の画像(18枚)

イマーシブとは「没入感」を表す言葉。

これまでの座って鑑賞する舞台とはまったく別のものということだが...

黒瀬翔生キャスター:
黒いマスクに着け替えるそうです。
これも何か演出の1つなんですか。
場内での私語は厳禁となっているんですね。
静かにしていきます

 

場内を歩き物語を鑑賞

幕が上がるとマスクをつけた役者たちが現れ、客の目の前でダンスを繰り広げる。

今回の舞台は、秘密クラブで開かれるオークションを題材にしたミステリーで、観客の行動によって登場人物たちの運命が変わるマルチエンディングストーリー。

観客は場内を動き回り、物語を鑑賞する。

役者のセリフは全て吹き替えで行われ、飛沫による感染への配慮もされている。

DAZZLE・飯塚浩一郎代表:
こういう状況とアートやエンターテインメントが、どのように共存できるのか極力考えて、感染対策もしながら、本当に五感を使ってどんどん作品、世界に入っていくことを体験してもらえれば

そして、もう1つの特徴が、客が物語の一部となり進行する体験型の舞台であること。

ある部屋では、役者に促され椅子に座ると、「塗っておいて」と書かれた紙が置かれ、目の前のリンゴに色を塗るよう指示が。

さらに、観客に配られたお金にも仕掛けがあり、お金を集めると劇中のオークションに自分も参加でき、実際に落札することもできる。

会場ではそれぞれの場所で、さまざまなシーンが繰り広げられていて、追いかける役者によって見える物語も違ってくる仕組み。

黒瀬翔生キャスター:
今、終わったんですけど本当に、舞台の世界に入っていましたね。
あれだけ間近で同じ目線で見られるのが本当に初めてで新しい体験でした

DAZZLE・飯塚浩一郎代表:
ずっと孤独にこのコロナ禍で耐えている方々が、誰かと同じ時間を共有したいと思った時に、僕らがずっとここで全力でダンスをしているので、ぜひ来てもらえれば

鑑賞型から体験型へ。

コロナ禍で、オンラインでの鑑賞が一般的になる中、リアルに体感できる新たなエンターテインメントが注目を集めそうだ。

演劇がもたらす「セレンディピティ」

内田嶺衣奈キャスター:
松江さんはお仕事とは別に、長年劇団の運営にも携わっていらっしゃるそうですが、今回の体験型演劇はどうご覧になりますか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
演劇とかミュージカルが結構好きで、30年近くボランティアで運営に携わっていますが、今回のこういった演劇の特徴は、演劇がもたらす「セレンディピティ」にあると思っています。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
「セレンディピティ」という言葉は偶然との出会いとか、またその出会いから生まれる想定外の発見。
こういったことを意味する言葉ですが、今回のケースに関しては2つの新しい出会いと発見があると思います。

1つは観客と演者が融合することによる新しい発見と出会いですね。

もう1つが未来との新しい出会いです。

通常の演劇の場合は脚本があってストーリーがありますが、今回はまさに観客と演者が一体になって体験しながら進んでいきますので、エンディングのストーリーが読めない、一歩先の未来が見えない。
ここにまた想定外の発見がある。
この辺もまた魅力になっているのではと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
観客側にとっても、観に行くたびに新たな発見があるというのはとても嬉しいですよね。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
実際ビジネスとしても伸びてきていますが、体験型の演劇というのは今世界で30億ぐらいの市場規模ですがまだまだこれから伸びていくんですね。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
それに加えて実際にこういった体験に浸るようなエンターテイメント、まさにイマーシブエンターテインメントの産業全体でいうと、最近はテーマパークがかなり伸びてきてますから世界全体で7兆円とも言われています。

かなり裾野が広いんです。
背景にはバーチャルリアリティーとかARとか、デジタル技術の進展によって時間と空間を超えて新しい出会いが作れるようになった。
これが非常に大きいと思うのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
ですからこういった新しい出会い、まさに「セレンディピティ」によって新しいエンターテイメントさらに新しい文化がこの日本から発信できるようになるといいな、そんなふうに期待して見てみたいと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
新型コロナによってさまざまなイベントが中止となってしまい、改めてエンターテイメントの持つ力を感じた方も多いと思います。

アフターコロナではさらに進化したエンターテイメントが見られるのを楽しみにしたいです。

(「Live News α」 6月4日放送分)