最近よく耳にする、LGBTQという言葉。
L=レズビアン(女性の同性愛者)、G=ゲイ(男性の同性愛者)、B=バイセクシャル(男性・女性ともに性的指向がある)、T=トランスジェンダー(身体的な性別と心の性別が一致しない)。
さらにQはクエッショニングで、「自分の性別や好意を抱く性別が決まっていない立場」を指す。

6月はこのLGBTQへの理解を広げる「プライド月間」で、日本を含めて世界各国で啓発イベントが企画されている。

性的少数者の理解を広げようと、動画などを通じて情報発信を続けている男性が、福井市にいる。人気ユーチューバーとして活躍する男性が目指す、未来を問うた。

セクシャリティを公開しYouTubeで活動

かずえちゃん:
(同性)結婚ができる国もあれば、できない国もあるって、すごくおかしなことじゃない?

オンラインで動画を収録する、福井市のユーチューバー藤原和士さん(38)。通称「かずえちゃん」。
かずえちゃんの恋愛対象は男性で、同性愛者・ゲイである事をカミングアウトしている。

この記事の画像(18枚)

かずえちゃん:
(同性同士で)付き合っても、その先を想像しくいと思うの、この日本社会って

会話の相手は、アメリカ在住の日本人男性。アメリカでは同性婚が認められており、この男性は4年前、男性と結婚した。

アメリカで同性婚をした男性:
守る家族がいるってことで、日々の生活や仕事にすごくポジティブになれる。こんな当たり前のことが、なぜ日本ではまだ実現していないんだろうという感じ

「そのままでいい」両親の言葉に救われる

かずえちゃんがYoutubeを始めたのは、5年前。
週に1本ほどのペースで動画を公開していて、その数は300本にのぼる。いまや、約9万人の登録者を持つ人気チャンネルに成長した。

「息子がゲイだと知ったときの母の気持ち」「ゲイの人が女性から告白されたら?」など、これまで隠されてきた性的少数者の日常や悩みなど、ありのままの姿を届けるため、動画をアップしている。

かずえちゃん:
YouTubeの(動画制作の)根底には、僕が子どものころに教えてもらいたかった事、というのがあるんですよ。
僕が小学校の時に、ゲイである事を肯定できるものが何もなかった。笑われるとか、色物だと思われるとか。
子どもの時にすごく教えてほしかったんですよね。ゲイは悪いことじゃないって

かずえちゃんが、自分の性の指向に違和感を持ったのは小学5年生の時。恋愛の対象が自分だけ、男の子に向いていたのだ。
中学・高校の思春期に入っても、それは変わらなかった。
ただ当時、同性愛者に対する差別や偏見は今以上に根強かったと、かずえちゃんは振り返る。

かずえちゃん:
男の子同士でふざけあっていると、先生が「お前らホモか!」と言って、笑いを取るような感じ。そう言われた男の子たちも「気持ち悪い!」って言って離れる。
自分が男の子が好きだとは絶対に言えないと思ったし、結局は馬鹿にされたり、笑われるんだなというのを色々な場面で刷り込まれたんだと思う。テレビや周りの大人たちから

転機となったのは24歳の時だった。初めて「彼氏」ができた。
家族にだけは「大好きな彼氏」を紹介したい。
その思いが、かずえちゃんを「カミングアウト」へと突き動かした。

かずえちゃん:
最初に両親に伝える時には、すごく悪いことをしている息子だと思っていた。だから「ごめんなさい」と謝ったんです。
でもその時、最後に父親が「お前が幸せだったらそれでいい」と言ってくれて。
自分の全てをさらけ出して「そのままでいいよ」って言ってくれた時に、初めてゲイである自分を肯定できたなと思った

民間の調査によると、LGBTQの割合は約10人に1人。左利きやAB型の割合とほぼ同じ確率。
ただ社会の理解はいまだ十分ではなく、「生きづらさを感じる」当事者は、全体の約45%、10代では6割を超えている。

性的少数者をめぐっては、国会でも議論が始まっている。
5月、与野党で性的少数者への理解を進める法案が審議された。

福井県選出・稲田朋美衆院議員:
日本が多様性を認め、寛容な社会を作っていく

しかし、党内からは慎重な意見も。

福井市出身・山谷えり子参院議員:
女性の競技に(トランスジェンダーの)男性が参加してメダルをとったりする可能性がある。もっと議論を深める必要がある

議論はまだ継続していて、今国会への提出は見送られる方針。

「誰もが住みやすい町」目指す町長たち

5月 福井市内で開かれたLGBTQの勉強会に、かずえちゃんが招かれた。かずえちゃんから話しを聞くのは、福井県内8つの町の町長たち。

かずえちゃん:
市町独自のパートナーシップ制度を作ってみるの良いんじゃないのかな、という感じはします

パートナーシップ制度とは、自治体が同性のカップルを「結婚と同等の関係」と公的に認める制度。7月から、北陸で初めて金沢市が運用を始める予定だが、福井県内で導入した自治体はない。

かずえちゃん:
この社会には、いろんな人がいるんだというのを知らせ、可視化させるための一つになるんじゃないのかな、と僕は思います

かずえちゃんの訴えは、町長たちの心を動かした。

県町村会長・杉本博文池田町長:
町民に「誰もが住みやすい町を作る」と絶えず言ってきたけど、かずえちゃんが言うのは「その中に私たち(性的少数者)は入っているのか」ということだと思う。
池田町だけでなく、県内の8つの町で一斉に導入という話もあるかもしれないね

河合永充永平寺町長:
やりましょう!

少数者の声を届け続けることで、社会は少しずつ変わり始めている。
好きな人に好きと言える…大多数の人たちにとってそんな当たり前の世界が、かずえちゃんが望む理想の未来。

かずえちゃん:
いずれLGBTQやカミングアウトと言った言葉自体が無くなればいいのになと思うんです。
異性愛者の男性が、「僕は女の子が好きなんだ」といちいちカミングアウトしないじゃないですか。
YouTubeでいちいち「LGBTQとは」とかを言わなくても、「僕はあの子が好きなんだ」「私は○○ちゃんが好きなんだ」と言えるのが当たり前な社会になってくれるのが一番嬉しいなと思う

(福井テレビ)