東京・足立区で64歳以下への接種開始

高齢者に続き、基礎疾患を持つ人や64歳以下の人へのワクチン接種が始まっている。こうした中、東京都新宿区は20代や30代の若者へ優先接種する方針を発表し、議論を呼んでいる。

ワクチン接種は各地で次のステップへ。基礎疾患を持つ人や64歳以下の人に広がりつつある。

東京都足立区では既に64歳以下の基礎疾患のある人の接種が始まっている。小さな村などを除き、都市部では最も早い移行となる。

高血圧の女性(63):
もちろん安心して自由になれますので。病院の方に来てキャンセル待ちをしていました

東京都では6月3日、新たに508人の感染を確認。21日連続で前の週の同じ曜日を下回った。しかし、年代別で見ると依然として20代から30代が多くを占めている。

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新宿区の若者優先接種、政府の「夜の街」接種案に街の意見は…

こうした現状を踏まえ、新宿区は59歳以下の年齢層では、若い世代から優先的に接種を勧めることを明らかにした。

集団接種の予約を20代から30代の人から受け付け、その後、40代から50代や20歳未満に広げていくというやり方だ。

新宿区長に若者からワクチン接種を始める理由を聞いた。

東京・新宿区 吉住健一区長:
新宿区の特徴として、上京して会社勤めとか、大学に通い下宿しているとか、留学生とかが1万数千人います。かかりつけ医にかかりにくいのが、20代から30代の方々。感染者がたくさん出ている若い世代にも着目した方がいいとアドバイスをいただいた

新宿区では、地域のかかりつけ医での個別接種を行う予定で、40代から50代はこちらが中心になると想定している。

また、若い世代を念頭に夜の街での接種も検討されている。

政府内では夜の街が感染拡大の一因になっているとして、新宿や渋谷などの歓楽街で働く人を対象に集団接種を行う案が浮上。

この案について、新宿歌舞伎町のホストクラブ従業員からは歓迎の声が聞かれた。

歌舞伎町のホスト(22):
感染源として扱われて非常に苦しい面もあったけれど、今回、ワクチン接種を優先的にしていただけるという話があって、それ自体はありがたいですし、感染収束につながる、早く収まってほしいという思いもある。もう少し早く動けなかったのかなという思いは少しあります

若い世代が優先されることに街の意見はさまざまだ。

新宿区民(50代女性):
子どもが私より外に出る回数が多いので、学校とか仕事とか。(外出)回数が多い人から先に打った方がいいんじゃないかなと…

新宿区民(20代女性):
20代、30代って歌舞伎町とかに行くじゃないですか。悪化を食い止めるっていう意味ではいいと思います

新宿区民(30代女性):
早めに受けられる見込みがあるなら受けたいです。できればマスクなしでみんなに会ったり、そういうことをしたい

厚生労働省によると、ワクチンの接種後も感染をどの程度予防できるかはまだわかっておらず、人にうつしてしまう可能性はあるとしている。

接種が進んでもマスクなどの感染予防対策は引き続き求められる。

自治体の状況に応じて優先順位を決めるべき

加藤綾子キャスター:
若い世代は行動範囲も広いですし感染者数も多いので、若者が多い繁華街を抱える自治体などでは拡大を抑え込むための一つの手にはなるのかなと思いますが、橋本さんはいかがですか?

橋下徹氏:
新宿区の取り組みが本来の原則論です。このコロナ禍、コロナ感染はある意味、有事。火が燃えさかっているところの消火作業に似ているわけです。消火作業というのは、火が燃えさかっているところないしは火が出そうなところに、消火剤をどんどん打っていくものでしょう

橋下徹氏:
だから、ワクチンも同じようにリスクの高いところ、リスクが広がりそうなところにどんどん打ち込んでいくというのが本来のあり方なのですが、成熟した民主国家の場合には、戦略的な行動ということになると不公平だという声が必ず出てくる。だから、満遍なく人口に応じてワクチンを給付したというのが今までのやり方です

橋下徹氏:
でも僕は、本当は東京都や大阪府など感染リスクが高いところにワクチンをどんどん打ち込むべきだと思っていて。河野大臣もそれを言ったんですけれども、そうすると「都会の命と地方の命は同じゃないか」という声が出ます。しかし、ここはやはり優先順位をつけるのが政治家の役割であって、選挙で選ばれた者は、批判を受けても本当に効果的なワクチンの使い方をするべきだと思います

加藤綾子キャスター:
自治体の状況に応じて、ということですね?

橋下徹氏:
歓楽街のない、若者もそんなに多くないところは当然、高齢者優先ということもあるだろうし、これは自治体の状況に応じてやるべきだと思います

(「イット!」6月3日放送より)