陛下の髪型をどう思いますか?
街の人に聞いてみると、「七三っていうんですかこれって。あんまり見なくないですか歩いてて」「こういう髪型って決めてるのかな?」「昔ながらの髪型っていう感じですかね」
陛下の髪型、世間では、こんなイメージのようです。
しかし、そこには特別な思いがあることをご存じの方がいました。
3代続く天皇の理髪師一家
大場隆吉さん(67)は3代続く天皇の理髪師で、祖父・秀吉さんと父・栄一さんは昭和天皇の散髪を、3代目の隆吉さんは上皇さまを担当という由緒ある理髪師一家。

そんな大場家には、天皇の髪にはさみを入れる際受け継がれてきた「しきたり」があるといいます。
大場隆吉さん:
気持ちを整えるために、気持ちをつくるために1つの儀式をやろうということで、冷水を30杯ほど被って、(天皇の髪を切る)前日にね。
たとえ、真冬の夜でも天皇の髪を切る前日は、冷水を30杯…雑念を払い、覚悟を決めるためです。

「髪型は乱れてはいけない」
2007年からの10年間は、当時皇太子だった陛下の髪も切ってきた大場さん。
陛下の髪型に対する、強い思いを聞いていました。

大場隆吉さん:
髪型は乱れてはいけないということについては、大変に意識を強く持っていらっしゃると思いますね。海外に行かれて飛行場に降りられた時、風なんか強いですから「その時にどうしても髪が乱れるんですよね」ということをよくおっしゃいますので。
思い返せば、陛下は10代のころも20代のころも、キッチリ七三分け。
そこに、ひと工夫、加えたかった大場さんは…
大場隆吉さん:
お人柄がね、どこかこう、ほのかに漂うような感じをヘアスタイルで出来ないかな?という思いがありましたので。

陛下に提案した意外な髪型
陛下の髪型を変えたい!
しかし、それはあまりに畏れ多いこと。言おうか言うまいか、葛藤することおよそ1年…2008年の春。
大場さんはついにニューヘアスタイルの提案をするのです……それは!
大場隆吉さん:
ちょっとサーファーっぽい感じですね。「こういうスタイルも殿下(当時)はお似合いかもしれませんね」と。
陛下に提案したのはサーファーカット!?
実際に大場さんが当時の髪型を再現してくれました。


「温かなお人柄を表現したい」と思い提案したニュースタイル。果たして陛下の反応は…
大場隆吉さん:
「なかなかこれも良いですね」というご評価をいただきました。
ならば、その髪型をぜひ見てみたいと当時の映像を探したものの、全く見つかりません。
それもそのはず、わずか1か月後…
大場隆吉さん:
その次の回に来られた時に「(髪型を)どうしましょうか?」と言ったら 「今日はいつもと同じでいいですよ」ということでしたね。それからまた、分け目のことが何回か私と陛下の中で話題になりましてね。(ヘアチェンジの提案は)いい印象を持ったような感じがしましたね。
その「いい印象」がきっかけとなり、最近の陛下の分け目は少しずつ真ん中寄りになっているようです。

(11月10日午後8時~午後9時54分放送「陛下と雅子さま 知られざる笑顔の物語」より)