“押し歩き機能搭載”の電動アシスト自転車が登場

電動アシスト自転車の市場が、年々、拡大している。

普段の買い物や子どもの送り迎えなどで使われるだけでなく、近年は、高齢者の運転免許自主返納後の移動手段としても選ばれることがあるという。

この電動アシスト自転車だが、モーターのアシストによって、坂道をすいすい上れるなど快適な移動ができる反面、自転車自体が重いため、自転車から降りて押し歩きをする時に負荷がかかり、押すのに苦労するという課題があった。

特に歩道橋や駐輪場のスロープ、急な坂道などで、苦労しながら押して歩いたという経験がある人もいるのではないだろうか。

こうした中、パナソニック サイクルテックが、国内で初めてだという、押して歩く際にかかる負荷を軽減​する機能を搭載した電動アシスト自転車「ビビ・L・押し歩き」を7月6日に発売すると発表したのだ。

自転車には押し歩き専用の手元スイッチを搭載。乗車できないようにサドルを引き上げることで「押歩き」スイッチが点灯し、これを押している間、押し歩き機能が作動する仕組みになっている。

押し歩き専用手元スイッチ(提供:パナソニック サイクルテック)
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押し歩き専用手元スイッチ(提供:パナソニック サイクルテック)

より快適に自転車に乗ることができる機能だと思うが、そもそもなぜ、押し歩きを補助する電動アシスト自転車がなかったのか? また、この機能によって、どのぐらい負荷が軽くなるのか?

パナソニック サイクルテックの担当者に話を聞いた。

道路交通法で押し歩きの補助は認められていなかった

――これまで、押し歩きを補助する電動アシスト自転車がなかったのはなぜ?

道路交通法では、「普通自転車」及び「駆動補助機付自転車」(電動アシスト自転車のこと)の定義では、押し歩きの補助が認められていなかったため、実現ができませんでした。

2019年12月1日の法改正(改正道路交通法の施行)により、上記とは異なる区分である「歩行補助車」等の条件において、自転車も一定の条件をクリアすることにより「歩行補助車」として認められる改正が行われたため、可能となりました。

ただし、改正道路交通法では、「押し歩き時の駆動速度が6キロ(km/h)以下であること」「乗車装置(サドル)が使えず乗れないこと」「自転車から離れると駆動が止まること」という3つの条件が定められています。


――3つの条件はどのような機能で制御する?


2つの条件「押し歩き時の駆動速度が6キロ(km/h)以下であること」と「乗車装置(サドル)が使えず乗れないこと」は、サドル傾斜センサー、モーター内蔵センサー、トルクセンサー、スピードセンサーの4つのセンサーで制御を行っています

4つのセンサー(提供:パナソニック サイクルテック)

スピードセンサーとモーター内蔵センサーはモーター制御で、押し歩く速さが変わった際、歩行速度に合わせたアシストを可能とします。また、上り坂や荷物を運ぶ際は、モーター内蔵センサーで負荷を検知し、アシスト力を調整します。

ペダルの負荷を検知するトルクセンサーや、サドルが傾斜状態であることを検知するサドル傾斜センサーにより、乗車時は押し歩き機能が作動しない設計となっています。

乗車時に押し歩き機能が作動しない安全機構(提供:パナソニック サイクルテック)

――もう1つの条件「自転車から離れると駆動が止まる」、これはどのような機能で制御する?

手元スイッチの「押歩き」ボタンの操作によって、制御しております。

押し歩き機能は、手元スイッチの「押歩き」ボタンを押している時のみ、モーターが可動するようになっており、自転車から離れると、手元スイッチの「押歩き」ボタンから指が離れますので、モーター(駆動)が停止するように制御されております。

また、「押歩き」ボタンの高さ(出っ張り)は、他のボタンより0.2ミリ高い、0.7ミリにすることで操作しやすくしています。

押し歩き専用手元スイッチ(提供:パナソニック サイクルテック)

「業界団体から要望は出ていた」

――「押し歩きの補助が必要」という声を受けて、道路交通法の改正に至ったということ?

以前から、業界団体から警察庁へ要望は出ていたと聞いております。


――開発する上で苦労したことは?

安全性と利便性のバランスの見極めです。押し歩きを楽に行う場合、モーターの出力を高くする必要があります。スタート時の急発進で、押し歩き時の危険回避が困難となるため、安全性と利便性のバランスを取るのが非常に難しかったです。
 

体験した女性「楽に坂を上がれた」

――この機能を使うと、押し歩きの負荷はどのぐらい軽くなる?

70代の女性に、9キロの荷物を自転車に載せて、12度の坂を上がっていただきました。

9キロの荷物を自転車に載せて押し歩き(提供:パナソニック サイクルテック)

この女性によりますと、「楽に上がれた」とのことです。

「押し歩き機能がある場合」と「ない場合」を比較してみると、押し歩きをしている時の姿勢に大きな違いがあり、坂の頂上に到達するまでにかかった時間にも差がありました。
(※ただし、かかった時間の差は不明です)

押し歩きをしている時の姿勢に大きな違い(提供:パナソニック サイクルテック)
坂の頂上に到達するまでにかかった時間にも差(提供:パナソニック サイクルテック)

チャイルドシートは設置できない

――この自転車にはチャイルドシートは設置できる?

設置できません。


――それは残念だが、チャイルドシートを設置できるタイプの発売も考えている?

現在、検討中です。


――どのような方の利用を見込んでいる?

高齢者の方の需要です。

 

現在は、高齢者の利用を見込んでいるという「ビビ・L・押し歩き」のメーカー希望小売価格は、129,000円(税込)。子どもを持つ親としては、今は検討中のチャイルドシートを設置できるタイプがほしいところだろう。
 

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