LGBTQ+への理解を深める

P&Gが、職場でLGBTQ+に関する理解を進める研修プログラムを無償提供する。

5月27日に東京都内で開かれたイベントで、あるディスカッションが行われた。

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東京レインボープライド・杉山文野共同代表理事:
私自身が学生時代、まず就職活動をしようにも、履歴書に男と女どっちに丸をすればいいのかから始まって、自分がトランスジェンダーであることをオープンにして面接を受けたら、それが理由で落とされてしまったりとか、そういう原体験がある。

一般社団法人 fair・松岡宗嗣代表理事:
男性が女性的な振る舞いをしていると、何か変であったりとか、そういった部分で侮蔑的な言葉を言ってしまったりとかで傷ついてしまうんです。

こうした悩みへの理解を深め、寄り添う人たちの輪を広げる新たな取り組みが始まった。

「アライ」の認知率はわずか7.7%

キーワードは「アライ」。

「アライ」とは、仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源。一般的に、性的マイノリティーのLGBTQ+の理解者・支援者を指す。

P&Gは今回、日本における「アライ」の実態について全国調査を行った。

アライという言葉を知っているか尋ねると、詳しく知っているは1.8%、聞いたことがある程度は5.9%と、認知率はわずか7.7%という結果に。

一方で、「アライ」という言葉を説明したところ、半数以上の53.8%が考え方に共感すると回答。理解不足や知識不足が、行動のブレーキにつながっている可能性があることがわかった。

また、職場におけるアライの存在は、わずか3.6%だった。

東京レインボープライド・杉山共同代表理事:
キーワードは心理的安全性なのかなと思っていて、本当にこういったアライみたいな人たちがどれぐらいいるかと。しっかりと目に見える形になっていく、そうすると、どんどん自分の能力を発揮しやすくなる。アライの存在は何よりもだと思っている。

アライの輪を広げる研修プログラム

こうしたことから、P&Gはこのアライの輪を広げる研修プログラムを開発し、5月末から社外への無償提供をスタートすると発表した。

その研修プログラムとは、自分らしく最大限の能力を発揮できる職場作り。

まず、性の多様性を知ることから始め、どのように行動すればよいのかについて学ぶ。

P&G ヒューマンリソーシス・市川薫シニアディレクター:
やはりこのLGBTQ+の方は、自らそうであるというふうに名乗っているばかりではないケースが多いので、知らず知らずの間に人を傷つける発言をしているかもしれないということを1つ胸に手を当てながら、“そうかもしれないな”ということを考えながら、今からの話を聞いてもらえたら幸いです。

アライの輪を広げる新たな取り組み。今後については…

P&G 広報渉外本部・住友聡子さん:
職場の環境というのは、必ずしもLGBTQ+当事者の方にとって過ごしやすい環境ではない。どの組織に属していても、最高の自分のパフォーマンスを発揮できるかどうかというのは、その組織にとって非常にいいこと。それぞれの組織が最大限の結果につながるようになれば、日本にとって必ずいいことだと思っているので、そういうふうに広げていきたい。

内田 嶺衣奈キャスター:
自分の近くにいないのではなく、見えていないだけかもしれません。身近な人にも話せない、そんな息苦しさを感じている人がいます。

例えば、「普通」「普通じゃない」。そういう表現が、知らず知らずのうちに誰かを傷つけてしまうことになるのかもしれません。少しの思いやりを持つことが大きく世の中を変えていくことに繋がるのではないでしょうか。

(「Live News α」5月26日放送分)