「中国は目立たない所で一歩ずつ侵略し、最終的には全部変わっている状況を作ろうとしている。そうしたことを許さない」

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4月22日、このように中国を強くけん制したのは岸信夫防衛相だ。中国外務省の報道官が「でたらめで無責任」と強く反発したこの発言を含め、中国が東シナ海や南シナ海などで軍事的覇権拡大と言えるような動きを強め台湾海峡の緊張も高まる中で、「親台湾派」として知られる岸防衛大臣の発言が注目されている。

岸大臣は、4月17日、視察のため、日本の最西端である、沖縄県の与那国島を訪問した。与那国島は台湾から約110km、尖閣諸島から約150kmの距離で、2016年に日本で一番西の自衛隊駐屯地「陸上自衛隊与那国駐屯地」が設置されるなど、日本の南西諸島防衛にとって、重要な戦略的要衝となっている。

島内には在来馬の「与那国馬」も歩いているなど牧歌的な風景も広がっているが、約1700人の島民のうち、約160人が与那国駐屯地の隊員であるなど、日本の離島防衛や、台湾海峡を含む東シナ海の安定を監視する最前線としての性格も併せ持っている。

岸防衛大臣が視察した4月17日は、折しも、日米首脳が会談し共同声明に「台湾海峡の平和と安定」と明記した直後だった。視察日程が先に決まっていたので、タイミングの符合は偶然だったようだが、岸大臣は日本最西端の岬、西崎に立って台湾の方向を望み、「最西端の碑」の前で記者団の取材に応じ、次のように語った。

「改めて、台湾の近さ、また我が国の南西地域の防衛の重要さということを改めて再認識したところであります。ここ与那国島は台湾から100キロ余りというところでございます。我が国の最も台湾に近い島でありますが、台湾をめぐる情勢については、南西地域を含む我が国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとってもこの台湾の安定というものが重要であります」

この「台湾の近さ」という言葉は、距離だけの話ではなく、岸大臣として台湾に寄り添う姿勢を示したメッセージと見られる。

岸大臣はその後、与那国駐屯地を視察して自衛隊員を激励し、「中国海空軍の活動範囲は、東シナ海のみならず、太平洋や日本海にも拡大しています。国境付近で任務にあたる隊員の活動が、重要な抑止力となっています」と強調した。

そして岸大臣はこの視察の直後の4月22日に、自民党議員のセミナーで講演し、冒頭に紹介した「中国は目立たない所で一歩ずつ侵略し、最終的には全部変わっている状況を作ろうとしている」というけん制の言葉を発した上で、次のように危機感を露わにした。

「台湾がもし赤くなっちゃったら大変な状況の変化が起こるかもしれない。そういうことにしっかり備えていかないといけない」

中国の軍事的な動きから、どのように日本と周辺地域を守っていくか、岸防衛相の積極的な発信は続きそうだ。

(フジテレビ政治部 伊藤聖)