初心者の約8割が「レシピ語」に戸惑っている

新型コロナウイルスの影響もあり、家で食事をする機会が増えた。さらには、せっかくならと料理作りに手を伸ばした人もいることだろう。

しかし、いざ料理に挑戦するとなった際、苦手な人はもちろん初心者を悩ませるのが、「少々」「しんなり」「適宜」といったレシピで目にする独特な表現の“レシピ語”だ。

レシピ語に戸惑ってしまう(画像はイメージ)
レシピ語に戸惑ってしまう(画像はイメージ)
この記事の画像(15枚)

ハウス食品株式会社は、こういったレシピでしか聞かない独特な表現に着目し、インターネットで全国の20~60代の男女1000人を対象に調査したところ(4月6日~8日実施)、やはり初心者ほど戸惑っていることがわかった。

まず「新型コロナウイルスの影響で、普段の生活にどのような変化があったか?」との質問には、92.7%の人が自宅で過ごす時間が「コロナ前より増えた」と回答。それに伴い、料理をする頻度が「コロナ前より増えた」と答えた人が87.3%もいる結果となった。

87.3%の人が料理する頻度増(「完熟トマトのハヤシライスソース」レシピ語調査)
87.3%の人が料理する頻度増(「完熟トマトのハヤシライスソース」レシピ語調査)

そして、「少々」といったレシピの独特な表現について聞いてみると、戸惑ったことがある人は57.3%。このうち、コロナ禍で料理を始めたという初心者に限ると77.4%にも上った。

料理初心者は77.4%の人がレシピ語に戸惑う結果に(「完熟トマトのハヤシライスソース」レシピ語調査)
料理初心者は77.4%の人がレシピ語に戸惑う結果に(「完熟トマトのハヤシライスソース」レシピ語調査)

約8割の料理初心者が戸惑っているという「レシピ語」。ではどういったレシピ語に頭を抱えているのか? そのランキングもまとめている。

<戸惑ったことがある「レシピ語」ランキング>
1位:「適宜」30.1%
2位:「少々」16.1%
3位:「さっと」12.5%

戸惑ったことがある「レシピ語」ランキング1~10位
戸惑ったことがある「レシピ語」ランキング1~10位

ちなみに、こういったレシピ語を理由に失敗してしまった事を聞いてみると、「同じ料理でもレシピによってやり方がいろいろあり、自分に一番合っているレシピかわからない」が26.8%。次いで「感覚で対処したら失敗」が23.1%という結果になった。

レシピ語による失敗経験も…
レシピ語による失敗経験も…

たしかに目安になる量や時間が分からないと、思うような仕上がりにならなかったりする。料理初心者だとなおさら、そもそもの感覚がないことから困惑した人も多いのではないだろうか。

そんな料理初心者の悩みを解決すべく、ハウス食品が「完熟トマトのハヤシライスソース」の特設サイト上で、「レシピ語超解説辞典」として30のレシピ語を具体的に説明しているのだ。

戸惑うレシピ語第1位「適宜」って何?

まずはランキングベスト3の解説を見てみる。

戸惑ったことがあるレシピ語第1位「適宜」は…

「適宜」
「てきぎ」と読みます。意味は「自分の好みで加減した、ちょうどよい量」。味見しながら好きに入れてね!ということです。よく似た言葉「適量」は、ちょうど良い量を必ず入れるという意味ですが、「適宜」は入れても入れなくてもいいという意味もあります。あえて何も入れないという選択もできる。そう、あなたは自由なのです。お好みの味を見つけてください!

「適宜」とは
「適宜」とは

そして、第2位「少々」と第3位「さっと」も紹介。

「少々」
これまでも、「どれくらいだよ!」という声が挙がっていたであろう「少々」ですが、計量スプーンやキッチンスケールを使わずに測る「手ばかり」という方法のひとつ。親指と人さし指の2本でつまんだ程度の分量です重さは約0.5~0.8g、小さじ1/8~1/12相当。手の大きさは人それぞれなのでだいたいでOK。自分好みの「少々」がいつかきっと見つかるはずです。

「少々」とは
「少々」とは

「さっと」
「さっと」のスピードが謎ですよね。実は「さっと」は、ゆでる具材によって違うんですモヤシは30秒、小松菜は1〜2分、オクラは少し長めの2〜3分。なので、さっとゆでる際は、モヤシ、小松菜、オクラを思い浮かべ、この食材はどれに近いかで判断するといいでしょう。さっとゆでたものを後から加熱することもあります。その場合はさらに短い時間でさっとゆでましょう。

「さっと」とは
「さっと」とは

「ひと煮立ち」「弱火・中火・強火」の解説も

他にも、耳にしたことがあるけれども詳細は実は知らなかったかも、といったレシピ語も解説している。改めて説明してと言われると戸惑う人も多いかもしれない。

「ひと煮立ち」
煮汁が沸騰して、ひと呼吸おいてすぐ火を止めることをさします。急いで止めても、ふた煮立ちくらいしちゃうんですけど!という完璧主義な方もいるでしょうが、煮立ってから30秒程度が目安なので焦らなくて大丈夫です。特にハヤシライスは煮込んでもおいしいのであまり気にせずに。

「ひと煮立ち」って1回煮るってこと?
「ひと煮立ち」って1回煮るってこと?

「水で戻す」
わかめやひじき、干ししいたけなどの乾物を、水や湯につけて柔らかくすること。 水分を含ませて元の状態に近くするという意味で「水で戻す」と呼んでいます。水で戻したひじきはハヤシライスにもよく合いますよ!

「水で戻す」は水を含ませて元の状態に近くすることを言う
「水で戻す」は水を含ませて元の状態に近くすることを言う

さらに、料理で煮たり焼いたりするのに重要なものとして「火加減」がある。

これについても説明していて、弱火・中火・強火とは、それぞれ、「弱火:鍋の底に火があたらない程度の火加減」「中火:鍋底に火の先があたる程度の火加減」「強火:鍋底全体に火があたるくらいの火加減」なのだそう。火が鍋の底にどれくらい当たるかが目安になっているのだ。

弱火・中火・強火の火加減はどれくらい?
弱火・中火・強火の火加減はどれくらい?

なんとなく自分で勝手に解釈していたレシピ語もあり、この説明を読むとたしかに料理の失敗が減りそうな気がする。

なぜこのような調査を行い、レシピ語の解説を公開したのだろうか? そして、このレシピ語の調査結果は、今後の商品説明に何か反映されるのだろうか?

ハウス食品株式会社・食品事業一部の亀田浩司さんに話を聞いた。

レシピ語のあいまいさをも楽しめる内容に

ーーなぜ、今回のような調査を行った?

在宅時間の増加に伴い、料理をするようになった方も増えていると思います。初心者の方に、もっとハヤシを、もっと料理を楽しんでいただくために、どのような切り口があるかを検討した結果、目にする機会も増えているであろうレシピ独特の表現に着目して調査を行いました。


ーー料理初心者の多くがレシピ語に戸惑っているという結果に対しては、どう感じている?

料理や味には人それぞれの好みがありますので、まずはレシピ語のあいまいさ自体を楽しんでもらいたいです。さらには、レシピ語を気にせず、簡単に作れる「完熟ハヤシライスソース」の魅力を知っていただければと思っております。

レシピ語のあいまいさ自体を楽しんで
レシピ語のあいまいさ自体を楽しんで

ーー特設サイトでレシピ語を解説した経緯を教えて。

料理にあいまいな表現があるのは、人それぞれ好みがあり、味や仕上がりの調節ができるようになっている背景があるそうです。ただ、料理初心者にとっては戸惑う要因になっていることが調査でわかったため、それを紐解いていくことで、レシピ語を気にしなくても簡単な「完熟トマトのハヤシライスソース」の魅力や、料理そのものの楽しさをしっていただけるかなと考え、解説を行いました。

「レシピ語超解説辞典」では、ただ単にレシピ語の正解を提示するのではなく、レシピ語に対する「あるある!」な気持ちとイラストと合わせて、わかりやすく噛み砕いて解説し、レシピ語のあいまいさをも楽しめる内容にしました。

「製品の説明文を変更するなどの予定はございません」

ーー紹介されている30のレシピ語はどんな基準で選ばれたの?

レシピ語を気にしなくても大丈夫な、誰でも簡単につくれる「完熟トマトのハヤシライスソース」を、もっと楽しんでいただくために、ハヤシのレシピ(アレンジレシピ含む)に使用しているレシピ語を中心に選びました。

解説されている30語
解説されている30語

ーー今後、解説するレシピ語は増える予定は?

お客様のお声や反応をお聞きしながら、検討していきたいと思います。


ーー調査結果を受けて、商品の説明文は変更したりするの?

現時点では、製品の説明文を変更するなどの予定はございません。今回の「レシピ語超解説辞典」をきっかけに、もっと料理を楽しんでいただきたいと思います。

レシピ語を気にしなくても簡単な「完熟トマトのハヤシライスソース」
レシピ語を気にしなくても簡単な「完熟トマトのハヤシライスソース」

今回の記事内で紹介した他にも特設サイトでは、さまざまな「レシピ語」を解説している。不安になった人はもちろん、ちょっとした復習に料理好きの人ものぞいてみるのはどうだろうか?

実は勘違いしていた…なんていうレシピ語が見つかるかもしれない。
 

【関連記事】
「開け口」から切るとレシピも切れちゃう…食品パッケージの“モヤッ”に共感続々 キユーピーに理由を聞いてみた
わずか約1㎝の野菜“間引き菜”が話題…「生産者は数えるほど」どんな味か担当者に聞いてみた

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。