新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法をわかりやすく解説。
今回は「江戸川病院(東京・江戸川区)」の腫瘍血液内科副部長でがん薬物療法専門医の後藤宏顕先生に、「胃がん」の最新の治療法と日本の現状について話を聞いた。
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胃がんの手術法
がん薬物療法専門医・後藤宏顕先生:
がんの根治治療は「取る」ことです。
小さかったら胃カメラ、大きくなってきたら手術しか基本的にはなくて、もし胃カメラの検査でがんがわかった場合、その大きさ、例えば2センチ以内の小さなもので狭い範囲の胃がんであれば内視鏡で取ることが可能です。
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それよりも大きくなった場合は、胃がんの深さが問題になります。
胃の壁は、粘膜、筋層、漿膜の3層構造なんですが、普通胃がんは粘膜から発生します。
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「粘膜」だけであればそこを取ればいい。これが胃カメラの治療です。
その粘膜の下が胃を動かす筋肉の層「筋層」。
そこまで胃がんが入り込むと、リンパ管を通ってリンパ節転移をきたしやすくなるので、粘膜だけを取ってもすでにリンパ節に転移している場合があります。
そうなると胃カメラの治療では無理なので、リンパ節ごと取る手術になります。
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ただ、いくら小さくさせても取り切れないほど全身にがんが広がっている場合は、できるだけがんを抑えて長生きする目的に切り替えて、抗がん剤治療をする必要があります。
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ロボット手術と遺伝子検査
後藤宏顕先生:
最新の治療法は、直接患者さんには触らない3D画像を見ながら機械を操作する「ロボット手術」です。
お腹の中に入っている器具が指のように細かく3Dで動くので、より精密に、進行しているがんもしっかり取れるロボット手術が始まっています。
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ロボット手術は、保険で認められたばかりです。
世界のどこかで超名医が機械に入って、日本のどこかでその手術を受けることが現実的には可能です。
ただ、できるドクターが少ないし、施設も限られているので、もし精密な最新の治療を受けたい場合は、前もって調べて病院に相談することが大切です。
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あとは、「遺伝子の検査」。
実は、がん患者さんの遺伝子検査は比較的進行してしまって、抗がん剤治療も一通り終わるぐらいの患者さんが初めて保険で認められています。
そうすると体力が相当落ちていて、せっかく良い治療が見付かっても、もはや出来ないとなってしまう。
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実はアメリカではもっと早い段階で検査を受けられます。
良い特効薬が見つかる可能性があるので、その流れですが、日本ではまだまだです。
ですから今後そういった遺伝子検査が早めにできると、抗がん剤のような全ての細胞をやっつけるようなものではなくて、ピンポイントで「この細胞だけ叩けばがんが縮小する」と前もってわかれば、もっと効率よく反応の高い治療をしてがんを縮小させて手術が受けられるのかなと思います。
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コロナの影響は・・・
後藤宏顕先生:
今はどの病院も、検査を提供する医療者側が患者さんからコロナに感染してしまうリスクがあるので、必ずPCR検査をしていただいて、陰性を確認してから治療を行います。
どうしてもワンクッション、PCR検査を受けなくてはいけないというところで若干ハードルが上がってしまいます。
今懸念しているのは、必要なんだけど足が遠のいてしまう方々が出るのではないかというところです。
是非受けられないわけではないので、症状があった場合は頑張って検査、治療を受けて頂くことをおすすめします。