4月27日、岩手・陸前高田市で行われた高田小学校の教師による研修会。
地元出身の教師が、最近小学校に赴任した教師とグループになって市内をまわり、復興の歩みを学ぶのが目的。

この記事の画像(13枚)

企画したのは陸前高田市出身の校長・金野美惠子さん。

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
(国営追悼祈念施設正面エントランスの)穴の数、あちらからあちらまであります。全部で1万8300個。東日本大震災で亡くなった人の数なんです

定年前の校長の"思い"

金野さんは、内陸の小学校に務めていた時に東日本大震災が発生。陸前高田市内に住んでいた両親を亡くした。

2020年、母校の高田小学校の校長に赴任した金野さんには特別な思いがあった。

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
いつも思うのはあなたたちが生きたかった分を、今の高田小学校の子どもたちは一生懸命生きてるから見ていてねって

津波の犠牲になった児童たち

東日本大震災で高田小学校の児童は高台に避難したが、保護者などが迎えに来て帰宅した7人が犠牲になった。

こうしたこともあり、児童の心への配慮から震災に直接向き合う授業は行っていなかったが、金野さんは命の大切さや、震災後の生き方を学ぶ授業に方針を転換した。

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
被災地における現状を、ここで生まれた子どもたちが知らないまま過ごしていいのか葛藤があった

現在、高田小学校は4年生以下が震災後に生まれた児童で、教師も18人中11人が市外から来ている。

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
復興教育に対するこんなことしたい、あんなことしたいという(教師たちの間に)温度差があると思う。その温度差を埋めてあげて、自分たちの足で歩いて、見て、聞いて、感じて、カリキュラムを組んでいければいい

金野さんが重視したのは「地域と関わりながら震災を学ぶこと」教師にもそのことをしっかり伝える。

「高田小の教師として何ができるのか」

研修に参加した養護教諭の小野寺綾子さん(25)。
教師になって5年目の小野寺さんは2021年、奥州市内の小学校から転勤してきた。

今年赴任・養護教諭 小野寺綾子さん:
高田の震災前のことも正直まだ分からない部分なので、震災前のことや、震災から復興にかけて今を知ることができるのはすごく嬉しい

津波伝承館を初めて訪れた小野寺さん。
地元のガイドから、あの日あったことをつぶさに聞き、津波の恐ろしさを胸に刻む。
そして、高田小学校の教師として、自分に何ができるのかを考えていた。

今年赴任・養護教諭 小野寺綾子さん:
目を背けてしまっていた部分がどうしてもあったので、少しでも子どもの支えになれるように関わっていけたらいい

一方、地元出身の教師も改めて命を守る大切さを見つめなおす機会になった。

陸前高田市出身 2年担任・大坊康子さん:
地元なので(つらい部分を)わかってるからこそ、高田ではあまり教育してこなかった。私たちも、ちゃんと向き合って子どもたちに伝えていかなければと思う

金野さんは2022年3月で定年となる。
最後の一年間で子どもたちに伝えたいのは「周りへの感謝を忘れず、どのような状況でも前に踏み出すこと」

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
この一本松や街並みを(子どもたちに)つなぐ役目が私たち教員。つないで子どもたちへ伝えて、その子たちがまた伝えていくような教育の営みがあると思う

今回の研修を通して金野さんの思いは、小野寺さんのような若い教師にも伝わったようだ。

高田小学校 校長・金野美惠子さん:
これからの子どもたちと職員たちが作り上げていく復興教育がとても楽しみ

(岩手めんこいテレビ)