電動化加速に向け株式売却

日産自動車は、保有するドイツの自動車大手・ダイムラーのすべての株式を11億4900万ユーロ、日本円で約1500億円で売却すると発表した。

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日産は、フランスのルノーとともにダイムラーと資本・業務提携し、小型車の共同開発などを進める計画だったが、その後、ルノー・三菱自動車工業との3社連合にかじを切り、協業は進展していなかった。

販売不振が続く日産は、売却で得た資金を世界で加速する車の電動化への投資にあてる方針。

日産とダイムラーでは開発の方向性が違う

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。日産はEV、電気自動車の開発でダイムラーとの協力関係を続けるよりも、なぜ自社での開発を優先したのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
日産とダイムラーの提携はカルロス・ゴーン氏主導で進めてきたので、1つの理由としては、ゴーン氏が日産から去ったということが関係しているのかもしれません。ダイムラーとの関係見直しというのは、現在の日産がポスト・ゴーンの経営戦略を進めていることを示しているのかもしれません。

もう1つ考えられるのは、一口にEVといっても、日産とダイムラーでは戦う土俵が違うということかもしれません。

三田友梨佳キャスター:
土俵が違うというのは、開発の方向性ということでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
はい、そうです。日産の売れ筋、メインのビジネスはあくまでも大衆車です。電動化技術でも手が届きやすい、価格の性能の良いEVが日産の開発の中心になります。

一方、ダイムラーの乗用車部門というのはメルセデスベンツで、高級なラグジュアリーカーに商品戦略が絞り込まれている方向なので、同じ乗用車でも目指す開発の方向性が違うのではと思います。

そこで日産は、ダイムラーとの関係継続よりもその分の資金を独自の普及価格帯の電動技術の開発に回していると見ることが出来るかもしれません。

ガソリン車ではトヨタ、ホンダにリードされていた日産ですが、電気モーターを駆動させる「e-POWER」などの独自の電動化技術を持っている会社でもあります。この分野でいち早く優位を確立しようという日産の本気が見える話かもしれないです。

三田友梨佳キャスター:
日産の本気の姿勢によってどのような車が生み出されるのか、日本の技術力に期待されます。

(「Live News α」5月5日放送分)