政府が全国に導入求めた“山梨モデル”

この記事の画像(5枚)

4月30日、政府が全国の都道府県知事に対し導入するように通知したのは、2020年6月から開始された感染防止策「やまなしグリーン・ゾーン構想」、いわゆる“山梨モデル”です。

この“山梨モデル”では、飲食店の場合、座席間隔が1m以上確保されているか、30分に1回2方向の窓を全開にして5分間の換気をしているか、エレベーターに乗る人数は制限されているかなど、39ものチェック項目があります。しかもこの項目を実際にチェックするのは県の職員などの第三者。この項目をクリアすると「感染対策お墨付き」のグリーン・ゾーンと認証され、ステッカーが配布されるという仕組みです。

感染対策と飲食店営業の両立

めざまし8が取材したのは、山梨県甲府市にあるグリーン・ゾーンと認証されているラーメン店。店の中を見せてもらうと、以前ならテーブルに置かれていた調味料が撤去されていました。

山梨・甲府市のラーメン店店主:
調味料も直接手で触れたり、食事をする中で飛沫が付いたりもするので、その辺も考慮してお客様が欲しいとおっしゃった場合に都度消毒して提供するようにしています。

その他にも、トイレの電気を付けるのも便器の蓋が開くのも全自動にし、直接手で触れることを防いでいますが、こうした設備の購入には「機器購入支援金」として県から上限30万円の補助金が下りるといいます。

さらに、感染力の強い変異ウイルスの拡大を受けて、客に対して入店時間、名前、電話番号を入店管理簿に書いてもらい、1ヶ月間保存するという対策も4月30日からスタート。これにより、万が一店でクラスターが発生した場合にも、その場に居合わせた客を追跡できるようになっています。山梨県内では、4047軒の飲食店がこの“山梨モデル”をクリアして営業していて、感染対策と経営を両立させる制度として、今、脚光を浴びているのです。

政府は全国にこの“山梨モデル”の導入を求めていますが、果たして人口や店舗数も多い東京を含めた全国で、実現することはできるのでしょうか。

「“山梨モデル”難しい」東京の飲食店は困惑も 

東京都の人口は山梨県の約17倍、飲食店数も東京都は山梨県の約30倍を抱えています。そんな中、自治体の職員などが1店舗ずつ感染対策の調査・確認をして、認証するシステムをそのまま当てはめるのも難しい部分があるとの議論があります。

実際に都内にある飲食店に話を聞くとこのような答えが…

都内のラーメン店オーナー:
うちのお店は16席あるが、“山梨モデル”に則って座席間隔を1m間隔にすると、半分の8席での営業になってしまう。さすがに商売をやめるかという話になってくる。
都内で“山梨モデル”をやれる場所って無いと思うんで…もうちょっと考えて欲しい。

まずは、お店側の感染対策への努力を評価した上で、いかに“山梨モデル”を全国の飲食店に柔軟にシフトして寄り添わせることができるかが重要になってきそうです。

(「めざまし8」5月4日放送)