新型コロナウイルスのワクチン接種において、重大な副反応・アナフィラキシーを心配している人も多いかもしれない。具体的な症状が、もし起きてしまったら?どんな人が気を付ければ良いのだろうか。

気になる疑問について、石川県の金沢大学附属病院・岡島正樹医師に聞いた。

“アナフィラキシー”とは…「致死率は高くない」

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金沢大学附属病院・岡島正樹医師:
「アナフィラキシーは怖い」という印象があるんですけれども、実はアナフィラキシーというのは、それほど致死率は高くない。適切に対処をすれば、死からかなり遠ざかることができる

金沢大学附属病院の岡島正樹医師。院内のコロナ対策チーム「COVSAT」の初代リーダーとして、重症者の治療にあたってきた。

現在は、病院内で行われている医療従事者向けワクチン接種の責任者を務めている。

アナフィラキシーとは、食べものや薬などによって全身に起こる強いアレルギー症状のこと。

その症状は、「皮膚」「呼吸器」「循環器」「消化器」のどれかに現れる。

具体的には、「皮膚」では発疹やかゆみ。「呼吸器」では息切れやせき。「循環器」は血圧の低下など。「消化器」は下痢や吐き気といった具合。

金沢大学附属病院・岡島正樹医師:
この4つ(皮膚・呼吸器・循環器・消化器)のうち2つがあった場合は、アナフィラキシー。例えば、皮膚がかゆい、息がちょっとしづらい。これは2つの症状がありますので、アナフィラキシーということで、緊急な対処が必要になってくる

症状が出たらどうする?気をつけることは?

もしアナフィラキシーが出た場合は、どうすれば良いのか?

金沢大学附属病院・岡島正樹医師:
1つしかないです。それは、「アドレナリン」という物質を筋肉内注射すること。しかもそれは一刻も早くですね。一刻も早くちゅうちょすることなく打つというのが、唯一の対処法ということになります

厚生労働省は9日、これまでに国内で新型コロナワクチンを接種した人のうち、国際基準に照らして、79人がアナフィラキシー症状を発症したと公表した。そのうち35%が、これまでにアナフィラキシーを起こした経験があったり、ほかの薬でアレルギーがある人だった。

このような人がワクチン接種を受ける際、気を付けたほうが良いことは?

金沢大学附属病院・岡島正樹医師:
15分ではなく30分様子を見る。厳重に観察するというのが1つの対処かなと思います。自分も安心しますし、医療者も安心します

コロナと戦い続けた医師「ワクチンは唯一の希望」

珠洲市総合病院で行われたシミュレーション
珠洲市総合病院で行われたシミュレーション

4月7日に珠洲市で行われたシミュレーションでは、アナフィラキシー対応で課題が見つかった。

珠洲市総合病院・浜田秀剛院長:
先生も遠慮して声を大きくしなかったので、実際の場合は、大声を出して人を集めるというのがまず大事。(接種が)始まってからは、ちゅうちょなく変えるべきところは変えていくと。そこは柔軟に対応していきたいと思っています

これまで、多くの新型コロナの重症患者と向き合い、コロナと戦い続けた岡島医師は、ワクチンの意義を語る。

金沢大学附属病院・岡島正樹医師:
いまだに亡くなられる方はいるわけです。(コロナに)ならないように、あるいは重症化しないように。コロナと戦ってきた僕にとっては、ワクチンは正直、現在の人類にとって希望の...唯一の希望かなと思いますね

(石川テレビ)

石川テレビ
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