石に命を吹き込みアートに
石に“命”を吹き込んだ、「ストーンアート」がTwitterで注目を集めている。
石から生まれたアフリカゾウ。
— Akie Nakata (@akie2525) March 20, 2021
もともと素晴らしいゾウの皮膚感を持つ石だったので、筆数を少なく大切に仕上げました。
フランスにお家が見つかりました。 pic.twitter.com/wrET1PQbUQ
石から生まれたアフリカゾウ。 もともと素晴らしいゾウの皮膚感を持つ石だったので、筆数を少なく大切に仕上げました。フランスにお家が見つかりました。
Akie Nakata(@akie2525)さんは、石に感じる生き物を筆であらわすストーンアーティストで、コメントとともに自身が制作した石から生まれたアフリカゾウの写真を投稿。
この記事の画像(7枚)大きな耳と鼻に白い牙。その姿はアフリカゾウそのもので、今にも動き出しそうだ。そして投稿にもあるようにアフリカゾウの皮膚のような石の質感と相まって本物らしさが増している。
そしてこの作品は、石を削るなどの加工は一切せずに、絵の具の着色のみで完成させているというのだ。
この“アフリカゾウ”には、Twitterユーザーも感動したようで、「ぞうになるために石が生まれたみたい」「これは、言葉にならないっ。象ですっ。象さんがそこに居ますっ」などのコメントが寄せられている。
2010年から「ストーンアート」を制作しているAkie Nakataさんの作品は、どれも生命を感じる魅力がある。どのようにして石に命を吹き込み、また出会っているのだろうか?
Akie Nakataさんにお話を伺った。
石に感じた生き物の「命」を描く
ーーアフリカゾウの作品はどのようにして制作したの?
はじめから素晴らしいゾウの皮膚感を持つ石だったので、できるだけ筆数を少なく仕上げました。 制作工程で石の形を変える事は一切せず、筆で対話するような気持ちで彩色しています。技法としては石の形を一切変えないことを大切にしていますので、石の研磨、下地剤の塗布もしません。
使用している道具は筆と絵の具のみです。主にアクリルガッシュを使いますが、描き方そのものは独学です。絵の具の濃度など、向き合う石のひとつひとつに合わせて変えています。 わたしが描きたいのは、石との対話を経て、手の中で新しく生まれるような作品です。石に感じた生き物の「命」を描きたいといつも思っています。
ーー「ストーンアート」を始めたきっかけは?
もともと絵を描くこと、自然石、そして生き物が大好きでした。学生の頃、河原を散策していて、うさぎにしか見えない石に出会いました。その石を大事に持ち帰り、見えるままに筆を入れました。 絵を描くこと、自然石、生き物、大好きなすべてが手のひらの上でひとつになった感動を今も覚えています。
ーー石とはどのようにして出会っている?
わたしにとって石はキャンバスではなく、河原で出会うコラボワークのパートナーなので、タイミングを大事にお気に入りの場所を訪れています。
ーー石を見た瞬間に作品が思い浮かぶの?
思い浮かべるより先に、石が生き物として目に映るような感覚です。何を描くか決めているのは私でなく石だと感じています。
ーーこれまでにどのような作品を制作してきたの?何点か見せてほしい。
インコ、シャムネコ、若虎、多幸石(蛸)の4作品をご紹介します。シャムネコは、昔通っていた喫茶店の壁にシャムネコの油絵が飾られていて、重厚な額縁の中、澄まして振り返るその姿がとても印象的でした。今でもシャムネコは無性に惹かれる存在です。 久しぶりにシャムネコの石と出会えて大切に筆を入れました。丸い頭や柔らかな佇まいのある、蛸の原石にはなかなか出会えず、まだ5石ほどしか出会えていません。
どの作品の石も、まさに「その生き物になるために出会った」というような存在感がある。石を削ったりせず、筆と絵の具のみで制作するという「ストーンアート」。Akie Nakataさんにとって石は、コラボワークのパートナーだということで、次はどんな石と出会うのか? 今後の制作活動が楽しみだ。
【関連記事】
京都・鴨川で見つけた見事な“石アート”の投稿にご本人登場! 絶妙なバランスの作り方を聞いてみた
鉛筆の芯で作った“東京スカイツリー”が繊細すぎる…27時間かけた彫刻のコツを聞いた