コロナ禍で外出を控え、人と会う機会が減っている。コミュニケーションも取りづらくなり、孤独を感じることもあるかもしれない。

そんな寂しさを和らげてくれそうなサービスが今、カラオケ店で始まり、注目を集めている。

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「アバティータイム」というサービスで、店内のカラオケルームで画面に表示されるアバターに、悩みなどを自由に話せるというもの。アバターは男性の「奏汰」、女性の「蓮」「詩」「音羽」の計4人となるが、利用者が選ぶことはできない。

実施するのはカラオケ「JOYSOUND」を展開する株式会社「エクシング」で、3月8日から始まった。

左:蓮 右:奏汰
左:蓮 右:奏汰

月曜日から土曜日(祝日含む)の14:00〜18:30の間に、飲み物を1本注文すると30分間アバターと会話できる。現在利用できるのは金山店(名古屋市)のみで、3月22日からは品川港南口店(東京都港区)でも対応する。※期間限定で、両店舗ともに3月31日で終了。

カラオケルームは最近ではテレワークの場所としても利用されるなど用途は広がっているものの、なぜ、アバターと会話をするというサービスを始めたのだろう? また、実際には、どの様な形で利用されているのだろうか?

株式会社「エクシング」の担当者にお話を伺った。

「中の人」がアバターを操作する仕組み

ーーなぜカラオケ店がこのサービスを始めた?

当社がカラオケルームという空間を生かした新たな需要創出をテーマに取り組む中で「気兼ねなく話ができる個室空間」であるという特徴と「モニターやスピーカー、通信環境が整っている」などの特徴を掛け合わせたとき、遠隔地の方と「話す」という人としての基本的な行為においてもカラオケは他の環境に比べ新たな価値を生み出せる可能性があると考えたためです。

また、2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業界によっては雇止めや減給等が発生し、新たな職や副業を見つけなければならない方が増加しております。

特に旅行・観光・エンターテイメント業界等、接客に携わる方へのダメージが大きいと思われますが、我々はそのような接客に長けた方々の新たな活躍の場を創出したいという考えを持っているからです。


ーーどんな仕組み?

「3tene」というアバターをリアルタイムで操作ソフトとWeb会議ソフトを組み合わせることにより、カラオケボックスのお客様とアバターワーカーが遠隔でコミュニケーションできるようになっています。

アバターは、自宅などの遠隔地にいる「中の人」により操作されており、アバターでありながらも人と人との血の通った会話をリアルタイムに楽しむことができます。


ーーどんな悩みでも対応してくれるの?

可能な限り対応致します(笑)。


ーーすでに始まっている店舗では、何か相談はあったの?

現状では、相談というよりもコロナ禍で人と会えない事の不満や愚痴を吐き出して頂いたり、雑談相手になったりすることが多いようです。また、このコロナ禍で一人でカラオケを楽しむ「ヒトカラ」も増えていますが、アバターに歌を聴いてもらい「感想」をもらうことで、モチベーションがアップするといったシチュエーションもありました。

アバター「詩」
アバター「詩」

好評であればサービスを継続する可能性も

ーー苦労した点は?

コロナ禍による影響は避けられず、もともと予定していた時期に緊急事態宣言が延長されたため、開始を1カ月ほど遅らせることになってしまいました。


ーーなぜ期間限定なの?

今回は実証実験サービスという位置づけであるためです。この実証実験の後に、課題やご要望をサービスの開発や改善に反映する期間を頂いた上、正式なサービスとして展開するか否かを判断したいと考えております。


ーーサービスを継続する予定は?

お客様からご好評を頂けた場合には、継続する可能性もございます。


ーー反響はあった?

SNS等では多数の方から「面白そう」「やってみたい」等の反響を頂いています。興味深いところでは、「自分もアバターになって働いてみたい」というお声もいただきました。

アバター「音羽」
アバター「音羽」

担当者によると、正式なサービスとなった際には、「中の人」として、コロナ禍で打撃を受けている旅行・観光・エンターテイメント業界等で接客に携わる人への、新たな活躍の場として提供したいと考えているとのことだ。さらに内容の濃いサービスとなることだろう。

コロナ禍で家に籠ることが多く、孤独感やストレスを解消できていない人は、「カラオケを楽しみつつつ、時にはアバターと会話」というこのサービスを試してみるのもよさそうだ。

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プライムオンライン編集部
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