女性だけの便利屋
少子高齢化が叫ばれて久しい日本だが、内閣府によると2017年10月1日現在、総人口1億2,671万人に対し、65歳以上の人口は3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は27.7%。また、65歳以上の人口を男女別に見てみると、男性は1,526万人、女性は1,989万人となっており、おじいちゃんよりおばあちゃんの方が多いことが分かる。
そんなおばあちゃんたちが活躍する「OKおばあちゃん」なるサービスが、話題を呼んでいる。
運営しているのは株式会社クライアントパートナーズで、女性ならではの安心感・気遣いで、様々なニーズやお困りごとに対して、オーダーメイドでサービスを提供している女性だけの便利屋だ。
2009年4月に設立した当初から、高齢者の雇用の受け皿になることを目標としていて、2012年6月頃に便利屋シニア部門として「OKおばあちゃん」を立ち上げたという。

長年培った家事や育児のスキル・ご近所や親戚付き合いで磨き抜かれたコミュニケーション力・酸いも甘いも噛み分けた豊かな人生経験・昭和の時代を生き抜いてきた強さなど、おばあちゃんだからこその強みを生かした主なサービス内容は以下の通り。
・子育てや介護の悩み相談
・近所付き合いのコツ、親戚への挨拶の仕方
・編み物や縫い物、刺しゅう
・繰り返し繰り返しやってきた、プロフェッショナル級の家事手伝い
ここには豊富な経験や知恵を持つおばあちゃんたちが約100人も在籍していて、年の功からくる生活の知恵であったり、人情の機微に通じていたりと、学ぶことがたくさんある貴重な存在だという。
現代のシニアに「おばあちゃん」という言葉を使うには、あまりにも若く元気な方ばかりだが、あえて「おばあちゃん」という言葉を使い、立ち上げのきっかけとなった思いや、社会に一石を投じたいという思いで、「OKおばあちゃん」というネーミングになったとのこと。
株式会社クライアントサービスの担当者に詳しい話を聞いてみた。
おばあちゃんスタッフは60歳から91歳まで

ーー「OKおばあちゃん」を立ち上げたきっかけは?
2012年頃、まだまだ年齢で仕事が制限されており、また高齢社会が問題視されていましたが、私たちは逆に、知恵があり、経験豊かな人がたくさんいる素晴らしい社会という見方もできるのではないかと思っておりました。シニアの方々の中には残りの人生、人の役に立ちたいと思っている優しい方が多くいらっしゃいます。
しかし年齢的な問題で、スキルがあっても仕事ができない方たちが活躍できる場を作りたいと考えたのが「OKおばあちゃん」を始めたきっかけです。
「昭和を支えて来てくれたおばあちゃんたちに感謝と敬意を持っていましたし、おばあちゃんたちの力をなめてもらっては困る、それを証明しましょう!」
「心の豊かさを求める時代に、おばあちゃんたちの安心感・寛容さを求める人たちが多くいらっしゃいますし、その経験に裏打ちされた知恵は、姥捨山の話ではありませんが、今の時代を救う!」と思って始めました。
ーー働くおばあちゃんの年齢制限はある?依頼者がおばあちゃんを指名できる?
年齢制限はありません。現在は60歳から91歳までのスタッフがいます。最高齢のおばあちゃんはお孫さんに付き添ってもらいながら面接に来てくれました。ちなみに非常に達筆で、筆耕というお仕事をしてもらっています。つい先日も、年賀状の宛名を書くお仕事をしていただきました。
おばあちゃんの指名も可能です。お客様の要望に沿って、そのニーズにあう、それぞれのおばあちゃんの力が発揮できるお仕事をしてもらっています。

ホームページに掲載された利用者の声を見てみると、おばあちゃんの経験と知恵がしっかり生かされていることがわかる。
「離乳食を一緒に作ってほしい」と依頼した30代女性:
本当に有難う御座いました。近くに頼れる家族や親戚、知人もいなく今回お願いしましたが色々なアドバイスも頂き助かりました。
「お墓参り、掃除代行」の依頼をした50代男性:
とても丁寧に作業していただいたことが伝わって来ました。お供え花もとてもきれいで満足しました。
「代筆」の依頼をした50代女性
私として少し恥ずかしい内容でしたが大変助かりました。ここでしかお願いできなかったから。
お話まで聞いて頂けましたし。先日お話聞いてくれた方に宜しくお伝えください!
利用者は女性6:男性4
ーー料金体系は?
出張費3000円+1時間3000円~(税別)
場所・時間・内容によって料金は異なります。
ーーたとえば「12月25日のクリスマス18時~、お台場で2時間、クリスマスパーティー用の料理を作ってほしい」という依頼だといくら?
クリスマスは特別料金が入りますので、2時間で11880円になります。
ーー依頼者の割合は?
利用者は、女性と男性では6:4の割合です。
年代は均等にいらっしゃいます。
ーー珍しい依頼はあった?
たとえば、キャバ嬢のお客様からご相談があったケースでは、お客様をどうあしらったらいいか?ということで、銀座ママの経験があるおばあちゃんに、お店での人間関係であったり、恋愛相談をしていましたね。

「OKおばあちゃん」はシニア部門だが、この会社ではシニア部門以外にも、多くのメディアで取り上げられ有名になったレンタルフレンドやレンタル家族、それにカルナーキュアというセラピー部門もあり、女性が心と脳の疲れを癒すセラピーを施してくれるという。
現代は核家族がベースで、経験と知恵を求める利用者側と、役に立ちたいとモチベーションのあるおばあちゃんは、意外といいマッチングなのかもしれない。
