痛烈批判の背景に何が

「ピアーズ・モーガンのメーガン・マークルに対する病的な執着は、彼らが飲酒を共にした後、ピアーズが無視されたことから始まった。彼が(テレビ番組)『グッドモーニング・ブリテン』の中で喚き散らしたのは、女性に振られたことを受け入れられない男の精神的発露と、彼女を破滅させて自尊心を回復することで頭がいっぱいだからだ」

英国のジャーナリストで、インディペンデント紙などに定期的に寄稿しているシリン・ケイルさんは3月10日、こうツイートした。

ピアーズ・モーガンというのは英国の著名なジャーナリストで、デイリー・メール紙の編集長などを経て今では英国の民放ITVの朝の番組「グッドモーニング・ブリテン」のコメンテーターをしている。

そのモーガン氏は、今回のメーガン妃とヘンリー王子のテレビインタビューについて、番組の中で口を極めて非難した。

メ―ガン妃らを強い言葉で批判したモーガン氏(左) GOOD MORNING BRITAIN ITV
メ―ガン妃らを強い言葉で批判したモーガン氏(左) GOOD MORNING BRITAIN ITV
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「君主を蔑ろにした。怒りで煮えくりかえっている」

「僕は怒りで煮えくりかえっている。(インタビューを見て)気持ちが悪くなるほどだ。これは王室、我々の君主をゴミにする2時間番組だ。フィリップ殿下が入院して女王が大変な時に、全てをゴミにした。彼らは人種爆弾を投げ込んで、王族全てを白人至上主義者だと決めつけたが、誰が問題の発言をしたのかは言わなかった。ハリー(ヘンリー王子)は決して明らかにしないと言ったが、言えばいいじゃないか」

モーガン氏は番組の冒頭からこう非難を始め、メーガン妃が自殺も考えたという話になるとこう言った。

「悪いけど、僕はメーガン・マークルの言うことは一言も信用しない。彼女がここで天気予報を読んだとしても信じない。彼女は我々の君主をやっつけるために、周到にこの攻撃を考えたのだ」

メ―ガン妃は米国テレビ番組に出演し、子どもの肌の色について王室関係者から人種差別的な発言を受けたと主張した
メ―ガン妃は米国テレビ番組に出演し、子どもの肌の色について王室関係者から人種差別的な発言を受けたと主張した

モーガン氏はさらに批判を30分も続けた。この話題は翌日も番組で取り上げられ、モーガン氏はメーガン妃らに対する非難を繰り返したが、共演者が反論すると腹を立ててスタジオを出て行ってしまった。

ITVには4万1000件にのぼる苦情が寄せられ、モーガン氏は番組を降板することになってしまった。

ファンだったメーガン妃に振られて…?

このモーガン氏の罵りとも思える発言は、同氏のメーガン妃に対する恨みつらみからだとケイルさんはツイートしたわけだが、その指摘は英国のマスコミの報道に依拠するものだった。

そうした報道のひとつで、英大衆紙のザ・サン電子版3月10日の記事「ピアーズ・モーガンとメーガン・マークルはどう知り合ったのか?」によれば、モーガン氏はかねて米国のテレビ番組「スーツ」のファンで、出演していたメーガンさんとツイッターでやりとりをして、2016年にメーガンさんがテニスのウィンブルトン大会を観戦に来た際にパブに誘い一緒にカクテルなどを飲んだ。

その帰りにモーガン氏はメーガンさんにタクシーを呼んだが、メーガンさんはその足で別のパーティに行き、そこでヘンリー王子と会ってロマンスが芽生えたという。

ヘンリー王子夫妻が出演した番組はイギリスでも放送され、国民の受け止めは割れている
ヘンリー王子夫妻が出演した番組はイギリスでも放送され、国民の受け止めは割れている

以後、メーガンさんからの連絡は途絶え、「僕はジャガイモの袋のように捨てられてしまった」とモーガン氏はテレビで言ったこともあり、それ以来、メーガン妃には厳しくコメントするようになったという。

今回のヘンリー王子とメーガン妃のテレビインタビューをめぐっては、英国内で賛否両論が渦巻いているようだが、それらの背景には個人的な事情がある場合も否定できないようだ。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】

木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。