冷たくておいしいアイスクリーム。しかし、特に暖かい日には食べている間に溶け、最後はどろどろになってしまった…という人もいるかもしれない。
そんな中、株式会社ロッテから新たに“溶けにくい”アイスクリームが登場した。

その名も「とけにくいアイス ゆったりバニラ」で、3月1日から全国で販売を開始。販路を給食(学校・高齢者施設)や飲食店を想定していることから、現在は業務用のみで、「アイスはすぐに型崩れをして、どろどろになってとけてしまう」との常識を覆すべく開発したという。
たしかに配膳から食べるまでに時間が掛かることもある給食などでは、溶けるのが遅いのあれば最後までアイスの食感を楽しめる。
環境次第で冷凍庫から出して30分は溶けずにおいしく楽しめるということだが、どのような仕組みで溶けにくくしているのだろうか? また、現在は業務用のみということだが、今後は販路を拡大していくのだろうか? 担当者に話を聞いた。
施設での”アイスを食べたい”という声を実現
ーーなぜ「とけにくいアイス」を開発した?
「とけにくいアイス ゆったりバニラ」は、老人ホームなどの施設内でもおいしいアイスが食べたいというお客様の声から誕生いたしました。
調査を行うなかで、老人ホームではプリンやゼリーのようないわゆる「とけない」デザートがこれまで食事やおやつの時間に多く利用されておりました。食事に長い時間が掛かる入居者には、アイスは不向きなデザートと捉えていたためです。
また提供者も、限られた時間で多くの入居者へ食事を提供するため、食事の配膳を一度で行う必要があり「喉につまりにくく、カロリーも高いアイス」を食事でお出ししたくても難しいという状況がありました。しかし一方で、デザートとして食べたいものとしてアイスを挙げる入居者が多く、「とけにくい」という特長を備えたアイスが提供できたら、「食事時間」や「配膳」の課題を解決でき、より多くの方に喜んでいただけるのではないかと考えました。

ーーコンセプトを教えて
冷凍庫から出してしばらく置いてもカタチが長持ちし、冷たいままクリーミーで滑らかな食感のアイスをゆっくり味わうことができるという、業界の常識を覆すアイスです。
ーーなぜ溶けにくいの?
安定剤にゼラチンを使用しているので、冷凍庫から出してしばらく置いていても、液状化しにくい構造になっています。時間が経っても型崩れしにくいのが特長です。

ーーどのくらいの時間が経っても溶けないの?
室温25.0℃の環境で、-18℃の冷凍庫で温調した商品を比較した結果、カタチ自体は60分たっても維持されましたが、アイスとしてのおいしさを味わって頂きたいので、冷凍庫から出して30分以内に食べて頂く事をお勧めいたします。なお、同様の環境で通常配合のバニラアイスは30分でほとんどとけました。
ーー味や食感は変わらない?
他のアイスと変わらずクリーミーで滑らかな食感の美味しいバニラの味わいになっております。
複数の老人ホームの96名の入居者にたずねたところ、95.8%の方に「おいしい」と回答していただきました。

コロナ禍での手助けにも
ーー開発でこだわった部分はどこ?
冷凍庫から出してしばらくしても、とけて液状化することなくカタチを保ちつつ、一方でアイスとして滑らかで冷たく、クリーミーな食感やおいしさも維持させると言う両立に苦労しました。また、老人ホームの入居者の方々が食べるのに要する時間や容量なども確認しながら開発を行いました。
ーーなぜ業務用だけなの?
まずは、アイスが食べたくても食べられなかった、提供できなかった、という老人ホームや学校での声にお応えする為に、業務用での販売を開始いたしました。
今後の展開としましては、「すぐにとけてしまう」というアイスの特性から敬遠されていた飲食店の「テイクアウト」や「デリバリー」でのデザートメニュー開発・提供のお役に立てればと思っています。
販路については、弊社としてはアイスが「とけてしまう」ことにより、様々な理由でアイスが食べたくても食べられなかった方々にアイスをお届けし、笑顔になっていただきたいという思いがありますので、反響を見ながらご判断していきたいと考えております。

ーー「とけにくいアイス」はどこに需要があるの?
1:老人ホーム・学校
大勢の方に1度の配膳が必要である施設。食事スピードが個人によってばらつきがあり、時間がかかってもデザートとしておいしく食べられるため。
2:新生活様式で需要が高まっているテイクアウト店
テイクアウトメニュー拡充への寄与。
3:飲食店の定食や御膳のデザートとしての需要
食後に提供しなくて済むのでサービスのオペレーションが軽減、コロナ禍での人員削減対応での手助け。
4:デリバリー注文
デリバリーメニューの拡充。混雑時間帯での提供や配達の時間といった店舗が把握できない部分の対応もでき、今まで諦めていたデザートのデリバリーが可能になる。

ーー販売開始後、反響はあった?
完成した商品を老人ホームの入居者の方々に食べていただいた際に。「とてもおいしい」という言葉を頂戴した際に開発の苦労が報われたような気がしております。
老人ホームのみならず、「とけにくい」という新しい価値により、幅広く伸長する外食のテイクアウトやデリバリーへの提案の可能性が広がるということで、営業活動を推進しております。
溶けにくいアイスの開発のきっかけは、美味しいアイスクリームを高齢者施設でも提供したいとの要望がきっかけだった。
また現在はデリバリー需要が増えていることもあり、担当者が話すように、「とけにくいアイス」がいろいろな場面で広がっていくかもしれない。
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