福島の原発事故で被災し、その後、非行に走った少年がいる。少年院の活動を通じて自分、そして故郷と向き合う様子を取材した。
避難先で知り合った友人と不良に
犯行時19歳だった元少年:
(避難した)転校先で知り合った友人とどんどん一緒に不良になってしまった。
仙台市の東北少年院で取材に応じてくれたのは、犯行時19歳だった元少年。小学5年生の時、福島県で被災し、原発事故により県外への避難を余儀なくされた。
犯行時19歳だった元少年:
ゴーって音がしたので外に出たら、それが原発の爆発の音だった。どこかへ避難しようとなって。
しかし、家族とともに避難したその先で不良グループを作り、犯罪に手を染めてしまう。
犯行時19歳だった元少年:
友人関係も全て変わった。人からだまし取ったり、脅し取ったりはしなかったですが、それ以外の方法でお金を稼いだり…
元少年は逮捕され、入った先は地元・福島に近い東北少年院だった。
地域住民と写真の洗浄や震災遺構を掃除
その東北少年院で新たに始まったのが「震災プログラム」。
校舎の窓を拭く少年たち。津波にのまれた仙台市立荒浜小学校の校舎だ。
ひとつひとつ手で拭いているのは、津波で流された、持ち主不明の写真。
東北少年院では、2020年7月から「育て直し」の一環として、写真の洗浄作業や震災遺構の掃除を開始。地域の人と一緒に被災地での活動を始めた。
犯行時19歳だった元少年:
うれしいというか、(被災地が)大事にされている感じがして良いなと思います。
出院後は「楽しいことをプレゼントしたい」
犯行時19歳だった元少年:
もし地震がなくて、そういう仲間と出会わなかったらどういう人生だったのかなと考えたりはします。
犯行時19歳だった元少年:
(地震で)傷ついた方、亡くなられた方がいるのに、自分は命があるのに、悪いことをしている場合じゃないなと強く思い始めて。これからは真っ当に生きないといけないと強く思いました。
――出院したら被災地でやりたいことは?
犯行時19歳だった元少年:
実家近くでもまだ仮設住宅に入っている人がいる。楽しいこととかプレゼントとか、自分が働いたお金で渡したいと思っています。
震災で大きく変わった人生。
過ちを犯した少年たちは、活動を通して故郷の復興を見つめ直している。
(「Live News days」3月5日放送分より)