新型コロナウイルスの新規感染者数に抑制がかかる一方、後遺症の問題が注目されている。後遺症の実態はどのようなものなのか。それに対して社会・政治がなすべきこと、我々が理解すべきことは何か。今回の放送では実際に後遺症に苦しむ患者の方の話を伺いながら、新型コロナ後遺症の実態と課題について掘り下げた。

コロナ後遺症の実態

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新美有加キャスター:
国立国際医療センターの調査結果によれば、退院した新型コロナ患者のおよそ76%に後遺症があるとのこと。まずは新型コロナの後遺症の実態について、去年新型コロナに感染し今も後遺症に苦しんでいらっしゃる声楽家の遠藤怜子さんにリモートでお話を伺います。
遠藤さんは線維筋痛症という持病の治療のために去年10月に都内の病院に入院し、院内感染したものと見られています。コロナ治療のため都内の別の病院に転院、症状改善後に元の病院に再転院しました。その後PCR検査で2回陰性が確認され退院。しかし2カ月経った現在でも後遺症に苦しんでいらっしゃるということです。

新美有加キャスター:
現在の体調はいかがでしょうか。

遠藤怜子さん:
普段の生活はできず、家族に助けてもらっています。

新美有加キャスター:
新型コロナウイルス感染症の症状はどういったものでしたか?

遠藤怜子さん:
呼吸機能がすごく低下し、42度の高熱も出ました。心不全に陥るところまで危なくなり、挿管もして、家族はECMOも覚悟してくださいと言われました。

新美有加キャスター:
後遺症はいつから自覚したのですか。

遠藤怜子さん:
麻酔から覚めたあとの記憶ですが、その時からずっと味覚はおかしく、髪の毛がやけに抜け、倦怠感があり自力で歩くことが難しい。検査が陰性になり、帰宅しても続きました。ただそれはずっと継続して感じていて、新型コロナの症状なのか後遺症なのか薬の副作用なのかわからない感じでした。

新美有加キャスター:
風邪をひいたときのような倦怠感とは違うものですか。

遠藤怜子さん:
私には線維筋痛症という持病があり、それ自体に倦怠感の症状があります。布団をかけているのも重くて辛いような症状ですが、それがさらに増えた感じがあります。

新美有加キャスター:
味覚障害については、酸味、甘味、塩味すべてを感じないような症状ですか?

遠藤怜子さん:
それらの区別がつかず、口の中が麻痺しているような感じがありました。今はだいぶ軽くなりましたが、体調によって味がしないことも。

反町理キャスター:
脱毛のお話も伺わなければいけないが、今も続いていますか?

遠藤怜子さん:
髪をとかしたりお風呂に入るだけで大量の毛が抜けてしまっていて。今は少し脱毛の量は少なくなったかなと思います。

"コロナ後遺症" 患者 声楽家 遠藤怜子さん

櫻井充 参議院議員・医師:
最近新しく出た症状はあるのでしょうか。

遠藤怜子さん:
血痰が出てびっくりしました。あとは睡眠障害。夜になると精神状態が不安定になり、眠れないことがあります。

反町理キャスター:
血痰に関して医師の診察や治療は。退院をされたということは、肺炎にも回復の目処が立って退院されているわけですよね。

遠藤怜子さん:
最後の病院に転院してからはレントゲンを撮っておらず、PCR検査のみです。

後遺症のフォローを受けられず

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
今どこかの病院で後遺症に関連して通院し、何らかの治療やアドバイスを受けておられるのですか。

遠藤怜子さん:
後遺症に特化してということはありません。断られてしまうことも多く、病院にかかる体力がない状態、診てくれるかわからない病院に行くことができなくて。線維筋痛症の専門の先生に相談しているのみです。

反町理キャスター:
コロナ治療のために転院した病院も陰性判定するところまでで、後遺症のフォローは受けられないと。退院時、医師から後遺症に関する注意や示唆はなかったのですか。

遠藤怜子さん:
全くありませんでした。病院の中もとにかく逼迫している状態で。私も陰性となってもコロナ病棟から一般病棟に移ることができず、自宅療養することを選びました。

反町理キャスター:
今は自分と向き合う中で日々を過ごしていらっしゃる。そんな中で日本社会のコロナへの向き合いをどんな思いでご覧になっていますか。社会のコロナへの理解度については。

遠藤怜子さん:
いろんな考えの方がいらっしゃいますが、やはり自分のできる範囲のことで気をつけていってほしいと思います。今感染して大変な思いをされている方や病院にもかかれない方もいる中で治った後の後遺症の話をされても、という方も多いかもしれません。でも軽症の方でもひどい後遺症が出る方がいることはデータで出ています。他人ごとではない。

反町理キャスター:
フェイスブックで自らの感染・重症化や後遺症のことを発信されましたが、訴えたかったことは。

遠藤怜子さん:
声楽家として活動させていただいている上での報告も必要でした。そして重症化の症状についても、データなり何か考えるきっかけにという気持ちもありました。断続的に続いている症状が後遺症と言えるのかわからず、後遺症のことは考えていませんでしたが。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
実際に診てくれる病院がないということ、医療の現場にいる者としてすごく反省しなければいけない。今医療に対して遠藤さんが望むことをお聞きしたいです。

遠藤怜子さん:
線維筋痛症の認知度が医師の方の中でさえあまりに低すぎて、心ない言葉を受けることも多々ありました。そこにコロナの後遺症が加われば本当に診てもらえるところがない。私だけでなく、多くおられる希少難病の方が新型コロナウイルスにかかったら本当に大変。少しでも対応していただけるような政府、病院、お医者様であってほしいと思います。

反町理キャスター:
遠藤さんのご出演はここまでですが、おっしゃりたいことがございましたら。

遠藤怜子さん:
重症化時に助けていただいた先生や看護師さんにすごく感謝しています。これ以上医療が逼迫してその人たちが大変な思いをしないように願っています。

「コロナ後遺症」として明確な基準がない

新美有加キャスター:
新型コロナ後遺症の具体的な症状について。新型コロナの後遺症外来を設けている東京都渋谷区のヒラハタクリニックによるデータでは、最も多い後遺症である倦怠感をはじめ多くの症状がある。これらを新型コロナの後遺症と判断する基準は。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
明確な基準はないと思います。他の感染症ではなかなか起こらない味覚障害や嗅覚障害であればともかく、倦怠感は人によって様々で難しい。因果関係が明確に見出しづらい。

反町理キャスター:
先ほどの遠藤さんも、退院時に後遺症についての話が全くなかったと。日本の医療制度に欠落している部分に見える。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
後遺症への十分なフォローができていないことは認めざるを得ない。もちろん、起こりうる後遺症についてご本人にある程度説明し、その場合にかかるべき病院までフォローしてあげることが実際のあるべき姿。しかし実際にそれをできる病院はほとんどない。次々に来る新しい患者さんに対応せざるを得ず、余裕がない。おっしゃる通り欠けている部分。

後遺症患者に20~40代が多い

反町理キャスター:
新型コロナは発症率も重症化率も高齢者ほど高いと言われているが、これも後遺症の患者には20代〜40代が非常に多い

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
そのクリニックにあまり高齢者の方々が行かれないのかもしれないが、しかし重要なのは若い人にかなり後遺症が出やすいこと。つらい思いをされる方も出る。危機感を持っていただきたい。感染してもいわゆる無症状であり、タイミングを逸してPCR検査でも陰性となったのだが後遺症がある、という場合もある。すると診断が難しい。

反町理キャスター:
後遺症は全体数の把握も難しいが確実にそういう人がいる。政治として向き合う方法は。

桜井充 参議院議員・医師

櫻井充 参議院議員・医師:
まず正しいデータを取ることから。3カ月後や半年後に渡る症状のデータを。また、症状が器質的問題か機能的問題か、もしくは精神的な問題なのかといったこともちゃんとデータ分析していくべき。

新美有加キャスター:
この後遺症に対する社会の認知度、理解度を深めるためには。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
国も含めて、何らかのきちんとした啓発を行っていただきたい。

櫻井充 参議院議員・医師:
新型コロナにおける差別解消の法律に関しては、国会議員で初めて感染した高鳥議員が中心になって作られている。ワクチン接種などのみではなく、全般に目配りしていかなければ。

BSフジLIVE「プライムニュース」3月2日放送