新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズで連載する「名医のいる相談室」では、各分野の専門医に病気の予防法や対処法を解説してもらう。
今回は「頻尿の原因と前立腺がんの最新治療法」について、泌尿器科の名医・窪田徹矢先生に話を聞いた。

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頻尿の原因「前立腺肥大症」

窪田徹矢先生:
泌尿器科の窪田徹矢です。千葉県松戸市でクリニックを開院しています。
 

男性は頻尿で悩まれている方がたくさんいらっしゃると思いますが、一番悩むのは「前立腺肥大症」です。

膀胱の下にあるクルミのような臓器が「前立腺」です。

おしっこは尿道を流れて出ますが、前立腺が肥大してくると尿道が狭くなっておしっこが出にくくなったり、膀胱が過敏になるとおしっこが近くなります

ここの部分が肥大するのが「前立腺肥大症」という病気です。
前立腺が肥大してくると「おしっこが出にくい」「おしっこが近い」という症状で悩まれます。

「前立腺肥大」の予防策

加齢と共に前立腺は大きくなってきますが、今まで何で大きくなってくるかがわかっていませんでした。
これが「テストステロン」という、いわゆる男性ホルモンが加齢と共にだんだんと減少し、そうすると前立腺が大きくなってくることがわかりました

予防法としては、男性ホルモンを減少させないことが大事
それは、筋トレをしたり、食生活の中では糖質を摂りすぎない、しっかりと睡眠をとること
 

本当に基本的なことですが、これで前立腺肥大を予防することができます。

男性で一番多いがん「前立腺がん」

男性で一番多いがんは「前立腺がん」です。
大事になってくるのが、採血をする「PSA検査」。ただ採血をするだけなので、50歳を過ぎたら1年に1度、PSA検査をするだけで、前立腺がんが有るか無いか、その確率がわかります。
 

前立腺がんの治療方法としては、手術、放射線、内分泌療法(ホルモン療法)があります。

手術は「ダヴィンチ」というロボット手術が主流になってきています。
もちろん保険が適用されます。

ダヴィンチ手術の利点

ダヴィンチ手術の優れているところは、
(1)ほとんど出血しない。開腹手術よりも50分の1から100分の1しか出血をしない。

(2)前立腺がんの一番の問題は、前立腺を取ると神経とかがやられてしまい、いわゆる尿漏れが出てきます。ダヴィンチだと細かい血管とか神経も細部まで見えるので、これによって温存することができる

これがロボット手術の素晴らしいところです。

頻尿解消は病院での検査から

泌尿器科は、尿が漏れる、おしっこが近いなどの理由で悩まれても、なかなか行きづらいと思われますが、まずはクリニックや病院に行ってしっかりと検査をすることが非常に大事です。

泌尿器科というと恥ずかしい検査をするとか思われる方が多いですが、検査は尿や超音波の検査だけなので、何かちょっとでも不調を感じたら、まず病院の医師に相談してみる。それが一番大事だと思います。

その中で、もしかしたら前立腺がんなども見つかってくるかもしれないので、まずちょっとでも変だなと思ったら泌尿器科の受診をお勧めします。

窪田徹矢
窪田徹矢

くぼたクリニック松戸五香 院長 平成15年 獨協医科大学卒業 その後千葉医療センター、成田赤十字病院で研修 平成20年 国保松戸市立病院 泌尿器科 医員 平成21年 千葉西総合病院 泌尿器科 医員 平成23年 同上医長 平成27年 同上部長(その後現在も非常勤勤務) 平成29年 くぼたクリニック松戸五香 開設