新型コロナ禍で、影響が深刻な水産業界。飲食店に海産物を卸す鮮魚店もその1つ。
こうした中で、島根・松江市の鮮魚店が「加工」に目をつけ、商品を開発。攻めの一手を取材した。

コロナ禍で水産業界に変化 “創意工夫の時代”に

蟹の甲羅の皿には、これでもかと山盛りになっている「松葉がに」の身。

松葉がにの身がたっぷり!
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ぜいたくな蟹三昧は、炊き込みご飯の素。

この商品を作ったのは料亭ではない。開発したのは、店に魚を卸している松江市の魚屋「SOL JAPAN」

「SOL JAPAN」配達もするネット販売担当・田中彩子さん:
納品がありますので、きょうは来ました。本業はこれ(鮮魚の卸)がメインのお仕事で

この日卸すのは、脂の乗った自慢の魚。しかし…

「蓬莱吉日庵」の料理長:
前はもっと量が多かった。多かったし、いろんなものが使えました。今は限られた中でしないといけないので、自分たちも、魚屋さんも、創意工夫の時代だと思います

コロナ禍で、水産業界にも変化が求められていた。

炊き込みごはんに生ふりかけ…加工商品を開発

「SOL JAPAN」は、58年続く鮮魚店。しかし、飲食店部門の売り上げは、前年から8割以上減少した。
そこで始めたのが、加工商品の開発。

隠岐で水揚げされた松葉がに

「SOL JAPAN」品質管理担当・橘真由美さん:
今朝、市場で買い付けをしました。ゆで上げて、ほぐしていきます

カニの殻も余すことなく、だし汁に。丁寧にほぐした身は、甲羅に山盛りにする。

そして、約300万円を投資した最新の冷凍機器で、商品化していく。

松葉がに炊き込みごはんセットは3,780円(税込み)。

2020年5月から始めた商品開発は7種類にのぼり、トビウオの生ふりかけは580円(税込み)。

決して安くない価格設定の背景には、コロナ禍で水産業界の抱える問題があった。

魚介類を通常に近い価格で買い取り…業界の支えに

「SOL JAPAN」・田中真一社長:
魚が売れないということになると、魚価が下がる。一般消費者には喜ばしいが、漁師、漁業従事者には死活問題

「SOL JAPAN」は、コロナ禍で安くなってしまった魚介類を通常に近い価格で買い取ることで、魚価の安定も目指している。商品は、全てインターネットで販売している。

「SOL JAPAN」配達もするネット販売担当・田中彩子さん:
少しでも非日常を味わいたいという方は、多いと思います

“おうち時間の充実”という高級志向も追い風となり、注文は、ひと月に250件以上。売り上げ全体の2割を占める勢い。

「SOL JAPAN」・田中真一社長:
加工品の良いところは、オリジナリティーを出せるところ。

「SOL JAPAN」・田中真一社長:
私どもも58年間魚屋をやってきて、たくさんのノウハウがあります。それが他社との差別化や、お客さんが当社の商品を「おいしいよね」ということにつながる

売り上げの減少や魚価の低下で、ダブルパンチに見舞われる水産業界。
新商品の開発には、業界全体を支えようという強い思いがあった。

(TSKさんいん中央テレビ)